ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-687-CP41-4 緊急心臓血管外科手術後におけるデクスメデトミジンとプロポフォール併用鎮静の有用性1)金沢大学 周術期管理学、2)金沢大学附属病院 集中治療部谷口 巧1)、佐藤 康次2)、越田 嘉尚2)、野田 透2)、岡島 正樹2)<はじめに>心臓血管外科手術後の管理において、循環動態、呼吸状態の安定を維持するために鎮痛・鎮静は必要不可欠であり、重要な管理項目の一つである。特に緊急心臓血管術後においては循環動態の維持に加えて人工呼吸管理の際に鎮静が必要であり、鎮静薬の種類により予後が変動するとの報告もある。これまで、我々は心臓血管外科手術後の鎮静に関してデクスメデトミジン(DEX)とプロポフォールの併用療法が循環動態の維持に有用であることを小規模の検討で報告してきたが、今回、緊急心臓外科手術後においてより症例数を増やして、DEX とプロポフォール併用鎮静の有用性を示すことを目的とした。 <対象と方法> 2011年1月から2014年12月までに、緊急心臓血管手術後に当院ICUに入室した患者66名(男/女 46/20、平均61歳)を対象とした。そのうち42名に関してICU入室後ただちにDEXとプロポフォールによる鎮静を行い、DEX群とし、24名に関してはプロポフォールのみで鎮静を行い、対照群とし、両群間で比較検討を行った。検討項目は、鎮静後の血圧の変動、降圧薬の使用量、抜管までの時間、血液検査所見の変化とした。 <結果>DEX とプロポフォール併用鎮静は平均58 時間(24-197時間)施行した。血圧、脈拍は安定しており、降圧薬は42 例中34例で減量することができた。併用療法を中止したところ、降圧薬を増量した患者は8例から16例に増加した。抜管までの期間はプロポフォール単独群より短時間であった(5 days vs 8 days; p<0.05)。また、上室性不整脈が発生する頻度は有意にDEX群で低かった(19% vs 32%; p<0.05)。なお、血液検査においては、両群間に有意差を認めなかった。<結語>今回の検討により、緊急心臓血管外科術後にDEX とプロポフォールの併用鎮静が循環動態の維持、降圧薬の減量、不整脈の発生抑制において有用であることが判明した。CP41-5 デクスメデトミジンで浅い鎮静管理を行っている患者に追加で用いる鎮静薬はせん妄のリスクになるか?JA広島総合病院 救急・集中治療科櫻谷 正明、平田 旭、河村 夏生、筒井 徹、吉田 研一PAD ガイドラインに代表されるように、ICU 管理を行う重症患者に対して、浅い鎮静が好まれるようになっている。当院では浅い鎮静管理を行うために、デクスメデトミジンを用いることが多い。しかし、しばしば、単剤での鎮静が困難であり、追加で鎮静薬(ミダゾラムやプロポフォール)を用いることが必要なことがある。ベンゾジアゼピン(BZA)はせん妄のリスクになると言われているが、デクスメデトミジンと併用した鎮静薬がせん妄のリスクになるかははっきりとしていない。当院ICUに2013年2月以降に入室した、成人の気管挿管、人工呼吸管理患者で、デクスメデトミジンを用いて鎮静管理を行った患者を対象に、前向きの観察研究を行った。器質的な頭蓋内疾患(脳卒中、蘇生後、頭部手術後、頭部外傷など)がある患者は除外した。デクスメデトミジンに加えて追加で鎮静薬を使用した患者と、単剤で使用した患者を比較した。主要評価項目はせん妄発生率とした。せん妄は、CAM-ICU で評価し、ICU入室期間中に一度でもせん妄があれば、せん妄ありとした。対象患者は279 名で、このうち除外基準に該当した14名を除外した265名で比較検討を行った。年齢は中央値(Q1-Q3)で、73(64-80)歳、男性は64.5%、APACHE IIは20(16-26)だった。102名で追加で鎮静薬を投与されており、年齢, 性別, 緊急入室, 重症敗血症, 入室時SOFAスコア, BZA 常用, 高血圧, 糖尿病, ステロイドの使用をpropensity score マッチングするとせん妄の発生は44/102(43.1%)vs. 37/102(36.3%)と有意差はなかった。デクスメデトミジンを用いた浅い鎮静管理を行っている患者に追加で鎮静薬を用いる場合は、追加の鎮静薬使用量が低用量になることが影響していると考えた。CP41-6 食道癌手術後の手術室抜管症例におけるDexmedetomidineによる夜間の不穏予防効果の検討岩手医科大学 医学部 麻酔科山田 直人、中野 雄介、星 有己枝、熊谷 基、鈴木 健二【はじめに】長時間手術後に夜間の不穏発症が問題となることがある。食道癌症例において手術の低侵襲化による周術期管理方法の変遷があり、当院でも手術室抜管を始めたが、手術当日の夜間の不穏と翌日の日中傾眠が問題となった。Dexmedetomidine(以下DEX)は呼吸抑制が軽微なために非挿管下の使用が可能である。また、せん妄の予防と治療効果がある。食道癌手術後に手術室抜管を行った症例について、DEX による夜間の不穏と日中傾眠の予防効果を検討した。【方法】対象は体腔鏡補助下食道癌根治術を施行した食道癌症例で、手術室抜管を行った10 症例とした。集中治療室入室後より術後1 病日の午前6 時までDEX 0.2~0.7μg/kg/hrで持続静注を行った。鎮静度の評価はRASS(Richmond Agitation-Sedation Scale)を用いた。RASS -1~-2を目標とし、2 時間毎に評価した。DEXの使用ついてRASS +1 以上の場合、3μ g/kg/hr へ増量し、RASS - 1 に下がるか、増量から15 分経過後は元の流量に戻した。またRASS - 3以下の場合は半分の速度へ減量した。RASS 以外のモニタリングと治療は当院外科の従来の治療指針に基づいて行ったが、DEXの副作用出現時(呼吸抑制、徐脈、低血圧)と夜間の不穏についての対応は、当科で作成したDEX 使用チャートに基づいて行った。【結果】全症例で集中治療室入室後から2 時間以内にRASS - 1 となり、翌朝6 時までRASS -1~-2、午前10時にはRASS 0 であった。術後1病日に日中傾眠(RASSの低下)と副作用の発生は認めなかった。【結語】食道癌手術後の手術室抜管症例において夜間の不穏と日中傾眠の予防にDEX は有用である可能性が示唆された。