ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-682-CP39-1 胸部大動脈ステントグラフト内挿術中のアナフィラキシーによる心停止に対しPCPSが有用であった一例KKR 札幌医療センター 麻酔集中治療科渡部 亮、吉田 知由、伊藤 伸大、山根 真央(症例)76 歳男性。B型大動脈解離に対し降圧安静療法を施行され退院。その後外来通院していたが解離腔の拡大を認めたため、胸部大動脈ステントグラフト内挿術(thoracic endovascular aortic repair,TEVAR)が予定された。(既往)高血圧(経過)全身麻酔、気管挿管でTEVAR を開始した。右大腿動脈からシースを挿入し造影剤としてイオキシランを用いて大動脈の血管造影を施行。その直後に気道内圧上昇、血圧低下、徐脈を認め心停止に至り、イオキシランによるアナフィラキシーと考えられた。直ちに胸骨圧迫を開始しエピネフリン、アトロピン静注を行ったが自己心拍は再開せず、右大腿動静脈から経皮的心肺補助装置(percutaneous cardiopulmonary support , PCPS)を導入する事とした。TEVARのため大腿動脈が確保されX線透視装置が用いられており、PCPS用送脱血管を迅速に留置可能であった。胸骨圧迫開始14 分後にPCPS を確立。PCPS 開始後、心電図波形が心室細動となったため電気的除細動を3 回施行、PCPS 開始8分後に自己心拍が再開した。手術は中止し気管挿管のままICUに入室、同日PCPS を離脱し翌日に抜管した。神経学的後遺症は認めなかった。(結語)TEVAR 術中のアナフィラキシーによる心停止に対しPCPS が有用であった症例を経験した。アナフィラキシーによる心停止にPCPS を導入し救命した報告は少ないため、文献的考察を加え報告したい。ポスターCP 39 心肺蘇生・蘇生後ICU管理① 2月13日(土) 9:30~10:30 CPポスター会場CP39-2 ドクターヘリが要請されたCPA症例の検討手稲渓仁会病院 救命救急センター奈良 理、森 幸野、大城 あき子、葛西 陽子【はじめに】心肺停止(CPA)症例に対するドクターヘリの関与は各施設様々である。今回我々は、道央ドクターヘリが要請された心肺停止(CPA)症例の予後に与える影響を検討した。【対象と方法】2005 年4 月から2011 年3月までにドクターヘリが要請されCPA 症例は325 例で現場死亡確認や要請地域の医療機関に搬送された132 例を除く、3 次医療施設に搬送された193 例を対象とした。退院時の転帰で予後良好群(GOS1-2)と予後不良群(GOS3-5)の2群に分け、予後に与える因子を検討した。【結果】予後良好群17例、予後不良176 例で、両群間で年齢、性別に有意差は認められなかった。予後良好群の平均距離は30km(最長64km)であった。予後良好因子は発症目撃あり、バイスタンダーCPRあり、ドクターヘリ合流前の自己心拍再開あり、初期波形がショック可能波形であった。搬送後にPCPSを用いて蘇生を行った10例中3例、低体温療法を行った23例中10例が予後良好であった。【考察】ドクターヘリが要請されたCPA症例の予後良好例は一般的な予後良好例と同様であったと考えられた。しかし、ドクターヘリの関与がなければ、早期の医療介入や高次医療機関へ搬送に時間要することから、蘇生後の根本治療や後療法を考慮した場合にドクターヘリが有効な症例を示唆できたと考える。CP39-3 E-CPR における乳酸クリアランスの予後指標としての研究済生会横浜市東部病院 救命救急センター中道 嘉、折田 智彦、佐藤 智洋、吉田 浩輔、明石 卓、倉田 早織、山崎 元靖、北野 光秀【背景・目的】近年、院外心停止症例に対しての治療指標として乳酸クリアランスを用いるようになってきているが、E-CPRについての指標および明確な目標値の報告は少ない。今回、我々は心原性の院外心停止例に対しE-CPR 導入後の治療指標として乳酸クリアランスの有用性を検討した。【対象・方法】E-CPRを導入した心原性の院外心肺停止患者連続40 症例(E-CPR導入による急性期致死的合併症例、疾患による機械的合併症(心破裂など)等は除外)を対象とした。40症例を生存群19例と死亡群21例に分け、来院時の乳酸値、6 時間後の乳酸クリアランスを比較検討した。また、6時間後における乳酸クリアランス値の最適カットオフ値を算出した。【結果】来院時の乳酸値は生存群124.84±45.52MG/dl・死亡群108.74±44.96MG/dl(P=0.27)と有意差はなかったが、来院後6時間後の乳酸クリアランス値は生存群にて優位に高い(P=0.0044)結果となった。さらにROC曲線より6 時間後乳酸クリアランスにおける最適カットオフ値を算出したところ35%(感度0.71・特異度0.79)となった。【考察・結語】来院後6 時間での乳酸クリアランスは生存群にて優位に高く、最適カットオフ値は35%であった。心原性院外心肺停止患者に対してE-CPR導入症例では6 時間後乳酸クリアランス値35%を治療指標として利用できる可能性がある。