ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-679-CP37-4 PICU での時間外入室が患者予後に及ぼす影響の検討兵庫県立こども病院 救急集中治療科福原 信一、石田 悠介、楠元 真由美、梶原 伸介、山口 善道、竹田 洋樹、上谷 良行【背景】ICUでの患者予後に影響を与える因子については、これまで様々な観点から検討がなされている。ICUにおける入室時間帯の違いが患者予後に及ぼす影響については、海外から、在室日数、死亡率などをアウトカムとしての報告が見られる。小児についても海外のPICU から、入室時間帯と患者予後の関係についての報告がなされている。今回我々は、自施設PICU での入室時間帯の違いが、患者予後に与える影響について検討した。【方法】対象:2014 年4月から2015年3月までの12カ月の期間に、当院PICU を退室した15 歳以下の小児患者とした。17:30から翌日08:30 までに入室した時間外入室の患者を<時間外群>とし、それ以外の時間帯に入室した患者群を<時間内群>として2群に分類した。時間内群には、休日・祝日の日勤帯入室患者を含めた。PICU での医療従事者の配置は、時間内は医師4名以上と日勤看護師、時間外は医師2名と夜勤看護師。院内登録データから患者データを抽出した。患者予後の指標を在室日数・死亡率とし、両群での差を後方視的に検討した。【結果】対象患者は309名。時間外群158名、時間内群151名。時間外群vs時間内群において、性別・月齢・基礎疾患の有無・PIM2 に有意差は見られなかった。入室契機、予定入院、入室経路、搬送距離に有意差を認めた。在室日数は、時間外群vs時間内群で中央値2(1-4)日vs 3(1-6)日(p<0.01)、死亡率は3/158 vs 7/151( p<0.01)であった。【結論】今回の検討では、入室時間帯が時間外入室の患者群において、在室日数が短期間となり、死亡率が低値となる結果であった。時間外入室が小児患者の予後に及ぼす影響を明らかにするためには更なる検討が必要である。CP37-5 当院における小児集中治療室長期在室者の傾向1)京都府立医科大学付属病院 集中治療部、2)京都府立医科大学麻酔科学教室徳平 夏子1)、田畑 雄一1)、井上 美帆1)、三井 誠司1)、木下 真央2)、成宮 博理1)、黄瀬 ひろみ1)、木村 彰夫1)、佐和 貞治2)、橋本 悟1)集中治療室では、侵襲の大きい術後や重篤な疾患などの、重点的な急性期管理を行なうために、人員と物品の配置が行なわれている。しかし、これらの環境を整えて適切な急性期管理を行なったなかには、急性期を越えて病態が平衡状態になった時点でも重症管理が必要な場合を経験する。特に小児では、心奇形に代表される複雑先天性疾患などの重篤な病態、小さいが故に一期的な根治術が選択出来ない場合、また成人に比べた場合に予備力の少なさなどから、重症病態での管理が短期に限られないことが予想される。今回、当院小児集中治療室における、長期在室の現状を調査した。対象は、2009年から2014年の6年間に京都府立医科大学小児集中治療室に入室した症例のうち、29 日以上滞在した症例を対象とした。この期間に入室した症例は1217 例。このうち29 日以上滞在した症例64 例、平均在室日数は89日、新生児15例、乳児32例、小児15例であった。入室区分では緊急入室31例、女児30例、循環器疾患50 例であった。また46 例が2 回以上の小児集中治療室入室歴があった。今回、4週間を越えて小児集中治療室在室が必要であった小児症例を検討した。長期在室者の割合は5%であり、決して少ない数とは言えない。先天性疾患に関して特に重症例が集約されていることは大きな要因と考えられる。一方で、在室期間の長さと12ヶ月未満が76%を占めることをあわせると、全身状態の安定化という大命題に加えて、長期在室者における成長発達に関する十分な配慮が改めて検討すべき事項であると考えられた。また今回の検討では74%が集中治療室に複数回入室することから、今日high intensity ICUが重要視される中でも、急性期重症管理に専門性を強く持つ集中治療医のintensity は、長期在室例において変化することが考えられ、関係部署との連携の重要性が改めて示された。CP37-6 小児集中治療室における臨床研究への同意取得に関連する要因の分析1)京都府立医科大学附属病院集中治療部、2)京都府立医科大学附属病院麻酔科、3)京都府立医科大学附属病院小児外科、4)京都府立医科大学附属病院小児循環器科、5)京都府立医科大学附属病院小児心臓血管外科井上 美帆1)、加藤 祐子2)、石井 祥代2)、徳平 夏子1)、田畑 雄一1)、古川 泰三3)、糸井 利幸4)、山岸 正明5)、佐和 貞治2)、橋本 悟1)【目的】臨床研究を計画する際は、同意取得を試みる患者・家族数や研究期間を推定する必要があるが、これまで臨床研究の同意取得率の報告が少ないため、計画をするのが困難なことがある。本研究では小児集中治療室(PICU)における臨床研究の同意取得率や同意に関連する患者・家族要因を明らかにする。【方法】2015年2 月から7 月に PICUへの3日以上の入室が予想される小児を対象にした血管カテーテルからの採血を伴う観察研究のために、両親からの同意取得を試みた。両親の精神的なストレスが大きい場合は対象から除外した。予定入室症例は麻酔科術前外来や病棟にて、緊急入室症例はPICU にて麻酔科または集中治療部の医師が研究についての説明をおこなった。【結果】120 入室・102 人のうち、患者が研究の組み入れ基準を満たし、家族に同意取得のための説明を行った63 人を解析の対象とした。89%(56/63)が小児心臓血管外科の予定入室患者であった。全体の89%(56/63)の家族より同意を得た。月齢(中央値[IQR])は同意群で11.2[4.1-21.1]ヵ月、非同意群で27.6[14.6-39.5]ヵ月と非同意群で高かった(p=0.03)。性別、PICU 入室前の入院日数、診療科(小児心臓血管外科/その他の診療科)、予定・緊急入室は同意・不同意に関連がなかった(p> 0.05)。説明の場に父親が同席したのは同意群で46%(26/56)、非同意群で86%(6/7)と非同意群で多い傾向があった(p=0.10)。【結論】小児集中治療室における血管カテーテルからの採血を伴う観察研究では、約9 割の家族から同意を取得することができた。同意取得率に影響を及ぼす患者・家族要因についての情報は、臨床研究の計画を行う上で有用と考えられる。