ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-677-CP36-4 看護師の口腔ケア技術の向上のための取り組みと成果-RSTで活動する集中ケア認定看護師の関わり‐自衛隊中央病院山本 加奈子、手塚 正美、小宮 美香、岩澤 優子【背景・目的】A病院呼吸器ケアサポートチームは、口腔ケアマニュアル(以下マニュアル)を作成し、看護師の口腔ケア技術や知識の向上、患者の肺炎予防に取り組んでいる。効果的なチーム活動が行えるよう、各病棟1名のリンクナースの配置と担当制の集中ケア認定看護師を当て、チーム連携を行っている。3 年間の取り組みにより看護師の口腔ケアへの悩みが減り、口腔アセスメントやケア計画立案率が向上し、患者の口腔内トラブルの改善と減少が図れたため、その結果と今後の課題を報告する。【方法】平成24年4月から平成27 年3 月の間、A 病院に勤務する看護師を対象に口腔ケアに関する質問紙調査を横断的に実施した。また、口腔ケアマニュアル導入後の口腔アセスメントシート、ケア計画ツールである口腔ケアプロトコールの実施率と内容を調査した。【結果・考察】マニュアル導入後、看護師は口腔アセスメントの実施や計画立案、口腔ケア手順・方法の理解、意識障害患者のケアができる等の項目において有意に自己評価が上がった。また、口腔アセスメントシートの記入率は52% から90%へ、口腔ケアプロトコールの記入率は42%から80% へ上昇した。さらにケア計画では、プロトコールに準じたケア記録だけでなく、患者の個別性に応じたケアの追加記録ができるようになっていた。患者の口腔内トラブルは、62%から43%へ減少した。これより、マニュアルに準じた口腔ケア知識・技術の標準化を集中ケア認定看護師を活用し、チームで取り組んだことが、看護師の口腔ケア技術の向上につながり、患者の口腔内トラブルの減少につながったと考える。今後はさらに、口腔アセスメントやケア計画立案の実施率を上げられるよう認定看護師やリンクナースによる看護師への技術指導を継続し、看護師の主体性を向上させるとともに、患者・家族のセルフケア能力を高めるよう、看護師の教育的な視点を養う関わりを強化していくことが課題である。CP36-5 経口気管挿管患者に対する口腔ケアの検討 - 洗浄法と拭取り法による口腔内細菌数の変化に着目して-札幌医科大学付属病院 集中治療部看護室和田 沙矢香、入井 美保、中村 敦子、高田 美香、堀 由紀子、香西 慰枝【背景】人工呼吸器肺炎(VAP)の発症予防には口腔ケアが重要である。気管挿管下での口腔ケアには水道水等を用いた洗浄液で口腔を洗浄し吸引する方法があるが、洗浄液が残存することがあり、誤嚥性肺炎などの原因となることがある。一方、口腔内清掃後に洗浄液で洗浄する以外に拭取りもあり、汚染物質除去に有効であるとの報告がある。そこで本研究では経口気管挿管患者の口腔ケア方法として口腔内清掃後の洗浄法と拭取り法を実施し、施行前後の細菌数を測定し比較検討した。【目的】経口気管挿管患者に対する口腔ケアにおいて、口腔内清掃後の洗浄法と拭取り法のどちらが口腔内細菌の減少に効果的かを明らかにする。【方法】平成27 年3月~平成27 年7月、ICUに入室し経口気管挿管により人工呼吸器管理された患者を対象とした。小児、口腔粘膜障害のある患者、口腔内手術を施行した患者は対象から除外した。口腔ケアは、ブラッシングとスワブでの清掃を施行。その後、汚染物質の除去方法を1. 洗浄法2. 拭取り法の2 通りとし無作為に振り分けた。細菌数の測定は、細菌カウンタを用いインピーダンス法にて測定した。測定は口腔ケア施行前と施行直後に行い、採取部位は舌、口蓋、挿管チューブ固定側の頬粘膜とした。【倫理的配慮】当該施設看護倫理審査の承認を得た。【結果】洗浄群32例、拭取り群33 例で、両群の年齢、性別、基礎疾患などの患者背景に有意差はなかった。舌、口蓋、頬粘膜において両群いずれも口腔ケア実施後に有意に細菌数は低下した。しかし両群間での細菌数の低下には有意差はなかった。【結語】洗浄水の気管への流入を考えると拭取り法は、VAP予防に有効なケアであることが示唆された。CP36-6 経口気管挿管患者への安全で効果的な口腔ケア方法の検討- 標準的方法(Rinse 法)に対するWipe法の非劣性試験-1)藤田保健衛生大学病院 看護部ICU、2)藤田保健衛生大学医学部 麻酔・侵襲制御医学講座村松 恵多1)、河合 佑亮1)、山本 司1)、天野 綱介1)、原 嘉孝2)、下村 泰代2)、山下 千鶴2)、西田 修2)【はじめに】経口気管挿管患者の口腔ケア方法は、ブラッシング後に、吸引しながら水で洗浄する標準的方法(Rinse 法)と、口腔内をウエットテッシュやガーゼ等で拭き取る方法(Wipe法)がある。Wipe法はRinse法に比べ水を使用しないため気管内への洗浄水の流入が少ないと言われているが、Rinse法とWipe法で口腔ケアの効果を比較した研究は少ない。そこで我々は、Rinse 法またはWipe法前後の口腔内細菌数の除去率を効果の指標とし、Rinse法に対するWipe法の非劣性を検討した。【目的】Rinse法に対するWipe法の非劣性を明らかにする。【対象】ICU入室中の経口気管挿管中の患者(Rinse群11 名 Wipe群24名)【方法】歯ブラシによるブラッシング後と、Wipe法またはRinse法による口腔内細菌除去後の2地点で口腔内細菌数の測定を行い、両群の細菌数除去率の平均差と95%信頼区間を算出する。両群の細菌数除去率の平均差の非劣性マージン△は20%に設定する。【結果】細菌数除去率の平均値(標準偏差)はWipe群で74.7(21.2)%、Rinse群で68.4(20.9)%であった。両群の細菌数除去率の平均差(95%信頼区間)は、6.3(-9.4 - 21.9)%であった。【考察】両群の細菌数除去率の平均差の95%信頼区間下限値は-9.4%であり、非劣性マージン△を上回っていたため、Rinse法に対してWipe 法は非劣性であることが示唆された。口腔内細菌の気管内への流入はVAP発生の要因のひとつであると考えられており、Rinse 法では水での洗浄の際にこれを助長させる危険性がある。Wipe法はRinse法と比較して、口腔内細菌除去時の気管内への細菌流入を低減でき、かつ口腔内細菌数除去の効果は劣らないことから、Wipe 法は経口気管挿管患者へのより安全で効果的な口腔ケア法である可能性が示唆された。【結論】Rinse法に対してWipe法は非劣性である。