ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-673-CP34-4 救急・集中治療室におけるHigh-Flow Nasal Cannulaを用いた診療成績の解析名古屋大学大学院医学系研究科 救急・集中治療医学分野日下 琢雅、東 倫子、松田 直之【はじめに】名古屋大学救急・集中治療医学分野は,集中治療領域における「診療教育」および「診療研究」の促進として,全身性炎症管理バンドル,急性期長期予後改善バンドル,肺線維症管理バンドルなどの急性期管理バンドルを定めている。この中で,high flow nasal cannula(HFNC),そしてbiphasic positive airway ventilation(BiPAP)を,「末梢気道開放バンドル」として設定している。MEIDAI救急・集中治療部の管理データベースより,急性期呼吸管理におけるHFNCの可能性を探る。【方法と結果】2012 年4 月1 日から2015年3 月31 日までの3 年間の全1,499 例の集中治療管理において,HFNC として43 例(2.9%)が抽出された。APACHEII は平均27.0,SOFA は平均7.4 だった。ICU 死亡率は16.3% であり,病棟移動後を含む30 日死亡率は23.3%,90 日死亡率は30.2%だった。これらは,敗血症,ショック,間質性肺炎など急性呼吸不全の広範な病態に用いられていたPaO2/FIO2比の平均は,HFNC 導入前で166.9 mmHg,導入後で177 mmHg だった。HFNC のみで管理できたものは24 例(55.8%),気管挿管からのHFNCへの移行は3例(7.0%),気管挿管への移行は,喀痰増加や酸素化低下を理由とした6例(14.0%)だった。【結語】HFNCの導入および管理は簡便であり,さらに患者ストレスを減らす特徴がある。さらに,早期にリハビリテーションを導入しやすい。当講座では,気管挿管前にminitracheotomy の必要性と連動させて,HFNCとBiPAPを優先する指針であり,末梢気道開放バンドルの一環として採用する方針である。本シンポジウムでは,自施設の呼吸管理データを紹介するとともに,急性期管理におけるhigh-flow nasal cannulaの意義について共に討議したいと考えている。CP34-5 当センターICUにおけるNPPV症例の検討大阪市立総合医療センター集中治療部宇城 敦司、大塚 康義、奥村 将年、山本 泰史、和田 翔、岩田 博文、菅 敏晃、宮内 清司、嶋岡 英輝(はじめに)近年、集中治療領域において、多くのエビデンスに裏付けられNoninvasive Positive Pressure Ventilation(以下NPPV)の使用が増加してきている。NPPVはその手軽さから、救急外来、一般病棟、集中治療室など様々な場面で使用されている。今回、当センターICU におけるNPPV が導入された症例の検討を行った。(期間)2012 年9 月-2014 年9 月までの2 年間(対象)NPPVによる治療を受けた18歳以上の患者82 名(方法)NPPVから離脱できた症例を成功例、気管挿管が必要となった症例を失敗例とし、次の(1)-(8)の項目について検討を行った。(1)NPPV の適応、(2)APACHE2、(3)呼吸数/ 呼吸数の変化、(4)NPPV 開始前、開始後1 時間、2 時間後の血液ガスデータ、(5)GCS、(6)鎮静剤の使用・投与量、(7)NPPV 開始前の人工呼吸管理の有無および期間、(8)NPPV失敗例の検討(NPPV 施行時間、気管挿管までの時間、失敗の原因)(結果)NPPV 成功例:失敗例がそれぞれ58名、24 名で失敗例に2 名の死亡がみられた。適応は、抜管後呼吸不全、抜管の促進、心原性肺水腫の順で、検討を行った(2)-(6)の項目については両者に有意差をみとめなかった。項目(7)の失敗例で人工呼吸管理期間が長い結果となった(成功例:失敗例=39時間:50時間 p=0.04)。項目(8)の失敗例の検討では、NPPV開始から気管挿管までの時間は20時間(中央値)、失敗の原因は、努力様呼吸/多呼吸、NPPVの不忍容、心不全の順となった。(まとめ)今回の検討では、NPPVの失敗は、NPPV適応前の人工呼吸管理期間とNPPVに対する不忍容および非同調が主たる原因となった。成功例、失敗例共にNPPV施行中の鎮静レベルおよび鎮静剤の使用に差がみられなかったことから、NPPVの不忍容(intolerance)はNPPVの成否を見極める重要な指標のひとつと考えられる。CP34-6 HCU 病棟におけるNPPV 使用患者の実態社会福祉法人 三井記念病院吉田 美帆、菅原 彩子、原田 有未、高橋 優菜、吉川 真由、福田 幸人、松本 千香江【目的】当院のHCU病棟は内科、外科患者が混在する病棟であり、慢性呼吸不全や術後心不全等により人工呼吸器や非侵襲的陽圧換気法(=NPPV)を用い呼吸をサポートする患者が入院している。今回、病棟におけるNPPV使用患者の実態を調査し現状報告する。【介入の実際】2014年1月~12月のNPPV 使用患者35名(男25名、女10 名)を対象に調査を実施した。NPPV導入の原因となった疾患は肺炎13名、心原性肺水腫やその予防(1名は心臓術後)4名、非心原性肺水腫1名、感染契機によるCOPD増悪4名、その他の呼吸不全13 名(術後無気肺3名・胸水4名等)であった。このうち、HCU 滞在中にNPPV 離脱が出来た患者は25 名(男18 名、女7 名)、出来なかった患者は10名(男7名、女3名)だった。離脱できなかった患者の中、経口挿管へ移行4 名、NPPV装着したまま死亡5名、NPPV のまま在宅へ移行1 名であった。一般的NPPV 装着適応でない、意識レベル清明でない患者に20 名、循環が安定していない患者に5名、自己喀痰出来ない患者に5名使用していた(項目は重複する)。【考察・結論】今回HCU病棟におけるNPPV使用患者の実態調査を行い、NPPV離脱後呼吸不全に移行せず良好な経過をとった患者が半数以上を占めていたことがわかった。そしてNPPV装着の一般的適応に当てはまらない状態で開始した患者もいることがわかった。しかし今回検討することで、呼吸不全により意識レベル低下していたがNPPV使用し呼吸状態が改善し意識レベルが改善した患者や、カテコラミン使用し循環が安定し呼吸も改善みられ離脱できた患者がいることを知ることができた。