ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-672-CP34-1 高機能患者シミュレータを用いた、経鼻高流量酸素療法による呼吸軽減効果の評価杏林大学 医学部 麻酔科学教室神山 智幾、本保 晃、森山 潔、小谷 真理子、山田 達也、萬 知子【背景】経鼻高流量酸素療法(High-flow nasal cannula therapy: HFNC)は、30L/分以上の高流量・高濃度酸素を経鼻で供給できるシステムである。高流量酸素投与は、死腔の洗い流しによりCO2 の再呼吸を減らし、呼吸負荷の軽減が期待されるが、生体での検証は難しい。今回、高機能患者シミュレータ(Human Patient Simulator : HPS)を用いて、HFNC のCO2洗い流し効果が呼吸へ与える影響について調べた。【方法】HFNCは 35L/min, 100%に設定してHPSに装着。HFNC装着後と離脱後のPaCO2, 呼吸数(RR), 一回換気量(VT)の経時的変化を3回測定し、3項目の増減についてone-way ANOVA repeated measuresにより解析した。HPSは、PaCO2 40mmHgとなるようにRR及びVTが変動する正常成人モデルを用いた。【結果】HFNC装着後は、速やかにPaCO2(41.4±0.2mmHg→39.8±0.1mmHg), RR(13.7±0.6bpm→12±0bpm), VT(790±15mL→680±4mL)が経時的に減少した(p<0.0001)。HFNC離脱後は、速やかにPaCO2(39.7±0.1mmHg→41.4±0.2mmHg), RR(11.7±0.6bpm→13.7±0.6bpm), VT(675± 8mL → 788 ± 11mL)と、3 項目共に経時的に増加し、HFNC 装着前の値に戻った(p < 0.0001)。【考察】HPS ではHFNC の呼気CO2洗い流し効果により、HFNCの呼吸負荷軽減作用が確認された。過去に報告された心臓手術後の患者を対象にしたHFNC装着後の呼吸変化を観察した研究では、本研究と同様にRRが減少したことが報告されている。HFNCが呼吸に与える影響については、更なる検証が必要と考えられた。ポスターCP 34 気道・呼吸・呼吸管理⑤ 2月13日(土) 9:30~10:30 CPポスター会場CP34-2 当院で開心術後にHFNC を使用した症例の検討産業医科大学病院 集中治療部長田 圭司、原山 信也、清水 智子、金澤 綾子、尾辻 健、荒井 秀明、二瓶 俊一、相原 啓二、蒲地 正幸【背景】非術後患者では急性呼吸不全症例に対するネーザルハイフロー(High-flow nasal cannula以下HFNC)の有効性を示す報告が近年散見される。開心術後の術後呼吸不全、低酸素血症は再挿管率に影響を及ぼすことから、術後呼吸不全症例でHFNCを使用する頻度が増加している。今回、当院で開心術後にHNFC を使用した症例、HFNC 使用後に再挿管となった症例で検討した。【方法】2014年1月から2015年7月に当院で開心術後にICU入室した77例を後方視的に検討した。抜管後HFNCの使用の有無で患者背景を検討し、HFNCを使用した症例を対象に、再挿管症例(R群)と非再挿管症例(NR群)で再挿管に関与する因子を検討した。【結果】77例中16 例でHFNC を使用し(H 群)、61 例で使用しなかった(N群)。抜管までのIn-Outバランス(H群2007ml、N 群746ml)、抜管時P/F 比(H 群254、N 群302)、透析の有無(H 群37.5%、N 群3.3%)に有意差を認めた(p < 0.05)。また、再挿管例でHFNCを使用している頻度が高く(43.8%)、HFNCを使用した症例では挿管期間(H群4.5日、N群0.9日)、ICU滞在日数(H群14日、N群6日)も有意に長かった(p<0.05)。手術時間、麻酔時間、人工心肺時間、%肺活量、1秒率に差は認めなかった。抜管後HFNCを使用した16例のうち、心タンポナーデ、けいれんにより再挿管となった2例を除き、再挿管となったのは3例(R群)、再挿管を回避できたのは11例(NR群)であり、再挿管の原因は、心不全、喀痰排出困難であった。R 群、NR群で抜管までのIn-Outバランス、抜管時P/F比に有意差を認めず、R群でICU滞在日数が有意に長かった。【結語】開心術後再挿管例でICU滞在日数が長く、高頻度にHFNC を使用していた。今回の検討でHFNC 使用した症例では体液バランスの増加、酸素化障害を認めたが、再挿管例では差は認めなかった。開心術後、再挿管の原因として酸素化障害だけでは再挿管のリスクを予想できず、喀痰排出困難も再挿管の一因と考えられ注意を要する。CP34-3 当院におけるハイフローセラピー(high flow therapy:HFT)の検討聖マリア病院 呼吸器内科上瀧 善邦、迫田 頼武、有森 陽二郎、上野 正克、松元 崇史【背景】HFT は、高流量の酸素投与が可能なデバイスを用いた比較的新しい酸素療法であり、近年その有用性が報告されてきている。【目的】当院で行われたHFTの実施状況を検討し、有用性や安全性を明らかにする。【方法】2014年6月から2015年5月までの1年間で、当院でHFT が行われた症例を対象に、その実施状況をレトロスペクティブに検討した。【結果】同期間に実施されたHFT は36 例(男性22 例 女性14 例 平均年齢75 歳)であった。HFT のデバイスはすべてNasal High FlowTMであった。34例は鼻カニュラを使用し、2例は気管切開孔から気管切開・気管内チューブ接続用アダプタを使用していた。診療科は呼吸器内科が32例、循環器内科が2 例、心臓血管外科が2 例であった。疾患は細菌性肺炎が最多であった。HFTの目的は急性呼吸不全が27 例、人工呼吸器からの離脱目的が8例、その他が1例であった。HFT 開始時の平均酸素流量は32.1L/ 分(20~50)、平均FiO2は60.6(30~100)、平均使用期間は5.7日(1~23)であった。HFT を開始後、人工呼吸器へ移行した症例は5 例認められた。【結語】HFT は酸素化の改善とQOLの維持の両面に優れた酸素療法である。急性呼吸不全のみではなく、人工呼吸器離脱後や、緩和治療の領域など、その特性を生かした幅広い使用が期待される。