ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-668-CP32-1 当センターInternational Nutrition Survey2013-2014からみる,集中治療領域における栄養療法のoutcome公立豊岡病院 但馬救命救急センター岡 和幸、杉野 貴彦、藤崎 修、前山 博輝、吉岡 崇、松井 大作、番匠谷 友紀、門馬 秀介、蕪木 友則、小林 誠人【はじめに】集中治療領域での栄養療法は早期からの経腸栄養が推奨されているが,投与カロリーやその他の要因については定見がない.当センターはInternational Nutrition Survey(以下INS)に2013 年に参加してそれまでの栄養療法の効果を調査し,その結果に基づいて投与カロリーの増加を目指した独自プロトコルを導入した.その後INS2014 に参加しプロトコルの効果を検証した.【目的】当センターの栄養プロトコルが患者治療経過に与える影響を明らかにする.【方法】INS2013及びINS2014 に参加し,それぞれの患者の栄養状況と治療経過について調査した.【結果】INS2013/INS2014ともにそれぞれ24 例ずつの症例を対象に調査し,平均年齢は67.5/65.9(歳),APACHEII は25.0/23.0 で大きな差は見られず,国内他施設の平均年齢62.9 歳・APACHEII 22.5と比べても大きな差はなかった.目標カロリーに対する投与カロリー充足率は37.0%/51.7%と大幅に上昇していたが,国内他施設平均の56.5% に比してやや低い傾向であった.タンパク質充足率は38.0%/31.0% と変化なく,国内他施設平均55.8%と比べ低値であった.経腸栄養開始時期はINS2013 で48 時間を超えていたが,INS2014 では45 時間と若干の早期化が見られていた.また,経腸栄養の中断時間も8.2時間から6.0時間に短縮していた.一方で人工呼吸管理日数は3.9/3.0(日),ICU 滞在日数は10.9/10.4(日)とそれぞれ大きな変化はなく,国内他施設と比較し人工呼吸管理日数が短い傾向があり,ICU滞在期間は大きな差がないようであった.【考察】プロトコル導入によってカロリー充足率は向上したが,患者治療経過の改善にはつながらなかった.また,当センターの成績は他施設に比べ,重症度が同等でカロリー充足率が低いにも関わらず治療経過が良好で,いわゆるtrophic feedingで良いものと推測された.一方でタンパク質投与充足率が低いため,今後更に新たなプロトコルを作成し影響を調査していく.ポスターCP 32 栄養管理① 2月13日(土) 9:30~10:30 CPポスター会場CP32-2 ゲル化剤添付経管栄養投与に伴い巨大胃石を形成した一例1)筑波大学附属病院 救急・集中治療部、2)JAとりで総合医療センター 脳神経外科古川 彩香1)、榎本 有希1)、上田 泰弘2)、宮 顕1)、小山 泰明1)、萩谷 圭一1)、下條 伸威1)、山崎 裕一郎1)、河野 了1)、水谷 太郎1)【症例】58 歳,女性【診断名】縊頸, 蘇生後脳症【現病歴】最終生存確認の20分後に不完全縊頸の状態で発見され救急要請された.救急隊現着時は心肺停止(心静止)であり,心肺蘇生を行いながら前医へ搬送され, 最終生存確認から約1 時間後に自己心拍が再開し、心停止後症候群の管理目的で同日当院へ転院した.来院時の対光反射は消失し,頭部CT でも皮髄境界は不鮮明で神経学的予後は不良と考えられた。 脳波は平坦,聴性脳幹反射でもIII-V波の出現はなかった。転院時から循環動態は不安定で昇圧薬を要し,また経過中に中枢性尿崩症や中枢性副腎不全を来たした. 循環動態安定化後の第7 病日より,経鼻胃管からGFOR の投与を開始し,第9 病日より半消化態栄養剤へ変更した.しかし水様下痢が出現し,整腸剤投与でも改善がなく第14病日よりゲル化剤添加半消化態栄養剤へ変更した.変更後下痢は改善したが,血清リン値が上昇したため第16 病日より半消化態栄養剤の併用へ変更した.変更後に再び水様下痢が出現し,第18 病日から半固形化半消化態栄養剤へ変更した.下痢が持続するため,第19病日にゲル化剤添加半消化態栄養剤へと再変更し,血清リン値の上昇を抑制するため炭酸ランタン水和物を併用したところ下痢は改善した. 第29病日に胃管の留置位置確認のために撮像した腹部Xp で胃壁に沿った石灰化を認め,胃石の形成が疑われた.経過中、排便は定期的にあり嘔吐も見られなかった。第30 病日,入院加療継続のため前医へ転院となった。【考察】胃石は胃の蠕動低下や酸低下,胃内容排出遅延などにより誘起され,糖尿病や胃の外科手術歴のある患者でしばしば認められる.本症例では,蘇生後脳症による消化管運動低下が,胃石形成の一因であると考えられた.消化管蠕動運動が不安定な患者でゲル化剤添付栄養剤を使用する際は胃石形成を念頭において管理を行う必要がある。CP32-3 ICU から退院に至るまで管理栄養士が介入した熱傷患者の一例1)医療法人徳洲会 福岡徳洲会病院 栄養管理室、2)医療法人徳洲会 福岡徳洲会病院 集中治療センター栗並 美保1)、江田 陽一2)、二ノ坂 建史2)【はじめに】ICU 患者の病態は重篤であり、短い在室期間に原疾患の治療が第一に考えられる。 そのため栄養開始が後回しにされることも少なくない。当院ではチームICUとして多職種が治療に携わっており、管理栄養士もその一員として活動している。今回、熱傷患者に対しICUから退院に至るまでの介入経過を報告する。【症例】66歳男性。自宅火災に遭い、当院に搬送となった。気道、顔面、頭部後頚部、手掌、手背の2 度熱傷で、TBSA:13%、BI:6.5、PBI:72.5。気道熱傷による咽頭浮腫に対し気管切開を施行し、ICU入室となった。【経過】ICU入室に伴い栄養アセスメントを実施。腸管機能は維持されていたため、第2病日より経腸栄養開始。その後、検査結果、腹部や排便状況等を確認、再評価を行った。第5病日、言語聴覚士にて嚥下評価を行い経口摂取可能と判断され第7 病日より経口摂取開始。咽頭浮腫や嚥下時の疼痛、栄養素の補充を考慮した食事内容を提供。第15 病日には一般病棟へ転棟となった。NST 介入依頼もあり病棟での継続的栄養評価を行っていった。その後、不穏や食事に対する要望強く、食事調整を密に行った。熱傷創部及び栄養状態経過良好にて、第57病日にリハビリ目的で転院となった。【結果】経腸栄養を少量より開始し第5 病日には1500kcal/ 日まで増量。食事内容は、軟菜刻み食にとろみをかけるなど形態にも工夫を行った。食事も全量摂取が可能となり血清アルブミン値は1.8g/dl から退院時2.9g/dl まで改善した。【考察】高侵襲下の状態では至適栄養量予測は難しい。また、熱傷患者では繰り返し植皮術が行われることが多い。そのため手術前後の栄養投与内容や栄養量、栄養状態を把握し患者に見合った栄養計画を立てることが重要となる。そのためには、重症病態を十分理解し栄養アセスメントを行っていくことが必要だと考える。今後もICU 管理栄養士として積極的な栄養療法に携わっていきたい。