ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-662-CP29-1 ICUにおける皮膚障害発生要因の検討熊本大学医学部付属病院 看護部菅尾 知世、嶽道 愛、川西 友香、中村 由実子、井上 郁子、藤田 麻未、吉里 孝子、本 尚美【目的】当ICUにおける褥瘡有病率3.7%(推定発生率2.9%)は病院全体の推定発生率(0.44%)と比較し高値を示している。また、医療機器関連圧迫創傷(以下MDRPU)の発症が増加傾向にあり、重症患者の皮膚ケアは非常に重要と言える。今回、当ICUに入室する患者の皮膚障害発生の実態調査を行い、褥瘡ならびにMDRPUの発生率とその関連要因について分析を行い、皮膚障害のアセスメントの強化ならびに予防ケアにつなげる。【方法】平成26 年6 月から8 月末までに入室した全患者を対象に、独自に作成した皮膚障害調査シートを用いて後ろ向きに実態調査を行い、患者状態と皮膚障害発生における関連要因(患者属性・重症度・Hb値・Alb値・TTR値・SIRSの有無・体重・浮腫の有無・PF比・最低血圧・昇圧剤の使用の有無・皮膚乾燥の有無・鎮静剤使用の有無、鎮静度など)について調査した。得られたデータは統計学パッケージSPSSver13 を用い、多変量解析を行った。平均の差についてはt検定を行った(P<0.05)。尚、本研究は院内の研究倫理審査の承認を得て実施した。【結果】調査期間中の褥瘡発生は0%であった。MDRPU発生は6件(6.6%)であり、全て褥瘡の診断であった。共通する項目には、骨上部における長時間の圧迫が考えられた。使用した医療機器に着目して発生率をみてみると、動脈ライン、末梢ライン、挿管チューブ、圧迫帯との関連があった。皮膚障害発生に影響する因子として、SIRS項目数、浮腫、皮膚乾燥、鎮静度、DICスコア、医療機器使用数が高い傾向にあった。【考察】ICUにおける医療機器関連圧迫創傷の発生には、動脈・末梢ライン、挿管チューブならびに重症度やSIRS 項目、浮腫、皮膚乾燥、深い鎮静度やDIC の存在が挙げられ、重症感染症やDIC合併患者、るい痩などが発生に関与していることが推察された。褥瘡予防からMDRPUの予防ケアの重要性が明らかになった。ポスターCP 29 褥瘡・スキンケア 2月12日(金) 15:00~16:00 CPポスター会場CP29-2 気管内挿管チューブ固定テープによって引き起こされる皮膚障害要因の検討金沢大学附属病院濱口 真実子、津田 恭子、越田 貴美子、越野 みつ子【概要】集中治療部では、人工呼吸器を装着している患者が多い。当院集中治療部では月に30~40%の挿管患者が固定テープによる皮膚障害を起こしている現状がある。よって、年齢や栄養状態・浮腫の有無といった生理的要因に加えて、皮膚の角質水分量を測定し客観的に評価することで、皮膚障害の発生要因を明らかにすることを目的とした。【方法】気管内挿管された79名を対象患者とし、対象者の概要、浮腫の有無や採血データといった皮膚障害の要因となりうる調査項目についてデータ収集した。また、モバイルモイスチャー(Mobile Moisture HP10-N、Courage + Khazaka 製)を使用し、両頬骨中央・顎先中央で、角質水分量を測定し記述統計を行った。【倫理的配慮】研究の参加は自由であり、途中で辞退しても不利益は生じないこと、個人が特定されないよう収集・分析を行うこと、学会において公表することを文書と口頭で説明し、同意書の署名をもって同意とした。利益相反なし。【結果】気管内挿管日数は皮膚障害あり群が6.1±4.8日、皮膚障害なし群で3.8±2.9日であり有意差があった。角質水分量の最大値は、皮膚障害あり群で63 ±13、皮膚障害なし群で56 ±13 であり有意差があった。総蛋白でも、皮膚障害あり群が4.6 ±0.5、皮膚障害なし群で4.9±0.6であり、有意差があった。その他の調査項目に関しては、有意差はなかった。皮膚障害あり群20人中10人が後期高齢者であった。【考察】顔面の角質水分量が高くなると皮膚障害の要因になると示唆されたが、浮腫があるといって角質水分量が高くなるわけではなかった。しかし、浮腫は皮膚を菲薄化させており、それに加え、角質水分量が多くなる状態、たとえば発汗や不感蒸泄、流涎などにより湿潤している環境になると、さらに皮膚障害発生のリスクが高まるのではないかと考えられた。よって今後は、顔面の角質水分量を増加させないようなケア方法を検討していく必要がある。CP29-3 ECMO 施行中に発生した褥瘡に関する検討1)国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 看護部、2)国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 集中治療科福嶋 春奈1)、西村 奈穂2)、井手 健太郎2)、奥田 裕美1)、佐藤 摂1)、伊藤 好美1)【背景】PICU での褥瘡発生リスクとして、人工呼吸管理、低血圧などと共にECMO も挙げられている。【目的】ECMO施行中の褥瘡の特徴を調べること【対象・方法】2009-2014 年に成育医療研究センターPICUでECMO施行中褥瘡発生を認めた症例の後方視的検討【結果】65例にECMO施行し、21例(33褥瘡)で褥瘡を認めた。ECMO 施行日数中央値13(最小- 最大4-60)であった。グラフ1 に年次推移と発見時褥瘡深度(National Pressure Ulcer AdvisoryPanel:NPUAP分類)を示す。褥瘡部位は後側頭部15褥瘡(月齢中央値[最小- 最大]6[0-116])、仙骨・腸骨5 褥瘡(30[0-116])、下腿2 褥瘡(118)の順に多く、2 例で退院後半年以上のフォローを要した。【考察】ECMO施行中約30%で褥瘡が発生し、ハイリスクと考えられた。発生部位は後側頭部が多く、他部位と比べ低月齢であった。2013 年より1 日1 回の背面観察をルーチンとしており、年次的な増加はより軽症での発見が増えたと推察する。【結語】今後ECMO施行中の皮膚合併症として褥瘡リスクを検討し、予防や早期発見に役立てていく必要がある。