ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-657-CP26-4 劇症型溶血性連菌球菌感染症の一例大分大学医学部附属病院 高度救命救急センター黒澤 慶子、田邉 三思、竹中 隆一、和田 伸介、石井 圭亮、重光 修【症例】55 歳男性 主訴 発熱。Marfan症候群で28 年前にBentall 手術の既往あり。来院前日39℃の発熱を認め、意識レベルの低下があり前医へ救急搬送された。検査の結果、著明な炎症反応上昇をみとめ、敗血症性ショックと診断。前医外来処置中に一度心停止当院へ転院となった。来院時、大動脈弁置換後の機械弁の評価をおこなったが、疣贅確認されず、機械弁の感染は否定的とのことであった。来院翌日、血液培養からはStreptococcus pyogenesが検出され、症状経過より劇症型溶連菌感染症と診断した。感染源は臀部の褥瘡と考えられた。入院第7病日の血液培養結果では菌検出認めなかったが、38℃を超える発熱は継続した。入院第10病日、大動脈弁の弁座に疣贅をみとめ感染性心内膜炎を確認した。抗菌薬治療継続したが、解熱無く第25病日よりSpikigFever を呈した。入院第54 病日、大動脈弁置換術および大動脈弓部分置換術施行。術後38日目、入院から92病日に全身状態改善し転院となった。【結語】劇症型溶血性レンサ球菌感染症は突然発症し、早期介入無ければ重篤な結果を来す事も稀ではない。抗菌薬治療に加え、適切な集中治療管理が良好な転帰の一助となった。CP26-5 ARDS、NOMI、PRES、下腿コンパートメント症候群を合併した重症急性膵炎の一例1)八戸市立市民病院 救命救急センター、2)八戸市立市民病院 麻酔科貫和 亮太1)、昆 祐理1)、大川 浩文2)、野田頭 達也1)、今 明秀1)【はじめに】重症急性膵炎における重要な合併症として多臓器不全がある。今回、重症急性膵炎に急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、非閉塞性腸間膜虚血(NOMI)、可逆性後部白質脳症症候群(PRES)、下腿コンパートメント症候群を合併した症例を経験したので報告する。【症例】41歳女性。意識障害のため救急搬送された。来院時GCSE1V1M1、血圧・SpO2測定不能、全身チアノーゼのcold shock の状態だった。画像検査でARDS、NOMI・腸管壊死、急性膵炎と診断し、緊急手術で壊死腸管を切除した。術後呼吸状態極めて悪く、VV-ECMO を開始、支持療法を行った。第2 病日に腸管吻合し閉腹した。第3 病日、右下腿コンパートメント症候群を発症し筋膜切開を行った。第4 病日、呼吸状態改善しVV-ECMO 離脱、第5病日に抜管した。第7病日、意識障害が続いていたためCT 撮影したところ、両側後頭葉の脳梗塞が判明、分布からPRES と判断した。その後、急性膵炎再燃があったが保存的加療で改善した。筋膜切開を行った下腿筋の壊死があり切除した。リハビリを行い、後遺症は残るものの第78病日に転院した。膵炎重症度は予後因子5 点、CTgrade1点で重症、APACHE2 スコアは39点だった。【考察】急性膵炎では膵や周囲組織の虚血、自己消化により炎症性サイトカインが産生され全身の血管内皮細胞や好中球が活性化しSIRSやARDS等の臓器障害が引き起こされる。また、エンドセリン等の血管攣縮因子が産生され血管攣縮が起こり膵壊死やNOMIが合併する。NOMIを合併した場合の死亡率は極めて高いとされる。また、血管攣縮因子が高濃度血中へ流入すれば、遠隔臓器に血管攣縮が起こることもある。本症例のNOMI、PRES、下腿コンパートメント症候群も一連の血管攣縮が原因と考えられる。【結語】重症急性膵炎の合併症にはARDS等の臓器障害とともにNOMIやPRES といった虚血性合併症の出現に注意する必要がある。CP26-6 重篤な敗血症を呈した降下性壊死性縦隔炎の3 例1)手稲渓仁会病院 麻酔科・集中治療室、2)手稲渓仁会病院 総合内科・感染症科横山 健1)、秋本 貴子2)、石原 聡1)、山口 春子1)、上村 亮介1)、西迫 良1)、立石 浩二1)、片山 勝之1)深頸部膿瘍は、主に歯周病、扁桃周囲炎、異物を原因とする。時に炎症が拡大し縦隔まで及ぶ降下性壊死性縦隔炎(DNM)を呈することがある。DNMは急速に進行し死亡率20-40%が報告される重篤な感染症である。今回、治療に難渋した重症DNMの3 例を経験したので報告する。【症例1】70歳代女性。咽頭痛、食欲不振にて近医で抗生剤点滴されていた。右頸部腫脹増悪し前医受診。咽頭部に自壊部位あり自然排膿されていた。翌日CTにて縦隔内への炎症波及が疑われ当院搬送。頸部ドレナージ後ICU入室となった。経過中、感染コントロール良好となったが、その後縦隔炎コントロール不良から呼吸不全、腎不全、心房細動による循環不全に陥り術後38 日目に永眠。【症例2】70 歳代男性。数日前に魚骨を引っかけたエピソードがあった。当日、運転中に具合が悪くなり停車中のトラックに追突。車外に出たところで動けなくなり救急搬送された。当院搬入時、発語困難、左下顎から頸部に発赤、腫脹あり。CTにて深頸部膿瘍が所見され、緊急左深頸部切開ドレナージ術を施行。ICU入室後、重篤な敗血症性ショックに陥った。術後2日目のCTにて、右頸部、縦隔への炎症拡大が所見され、右頸部切開ドレナージ、胸腔鏡下縦隔ドレナージ術を施行。その後も感染、不整脈管理に難渋したが追加のドレナージ術等の治療が功を奏し術後28日目にICU退室。術後57日目に転院。【症例3】80 歳代女性。3 日前より咽頭痛、嚥下困難が出現。当日、呼吸困難のため前医受診し縦隔膿瘍の診断にて当院紹介。CTでは左咽頭後壁から横隔膜にまで及ぶ膿瘍が所見され、緊急深頸部切開ドレナージ、縦隔ドレナージ術を施行。術中より敗血症性ショックに陥ったが、治療効果からショックからは離脱。その後、不整脈管理に難渋したが徐々に全身状態は改善し術後26 日目にICUを退室。【まとめ】いずれの症例も重篤な敗血症を呈した。感染管理に加え、心房細動を主とする循環管理に難渋した。