ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-656-CP26-1 BCG 膀胱内注入療法後に敗血症性DIC となった1 剖検例群馬大学 大学院医学系研究科 救急医学中島 潤、萩原 周一、青木 誠、村田 将人、金子 稔、中村 卓郎、大嶋 清宏【患者】70歳代、男性。【既往歴】腎盂癌、糖尿病。【現病歴】X-2 年に右腎盂癌に対し右腎盂尿管全摘出術を行った。X 年4 月に膀胱内再発あり、4月30日にBCG膀胱注入療法を実施した。5 月2 日より全身関節痛が出現し、5 月20日に整形外科を受診した。BCG膀胱注入療法による反応性関節炎を疑われNSAIDs内服開始されたが、5月22日に全身疼痛が著明となり当院に救急搬送された。【来院時現症】GCS:E4V4M5、血圧 114/75mmHg、脈拍 115/ 分、呼吸数25/ 分、体温35.6℃、SpO2 98%(face mask 6L/min)。全身の関節痛を訴え、不穏状態だった。血液検査でWBC 32600/ μ L、CRP 17.4mg/dL と炎症反応の上昇を認めた。血液ガス分析ではpH 7.352、pCO2 23.7、pO2 86.9、HCO3- 15.6、BE -11.1、Lac 7.5と代謝性アシドーシスがみられた。胸部CT では右肺下葉を中心として広範なすりガラス影を認めた。また急性期DICスコア5点(SIRS3項目、血小板、FDPで陽性)であった。【入院後経過】BCG膀胱内注入療法を契機に発症した反応性関節炎、結核感染、重症敗血症、DIC と考えた。抗結核薬としてINH、RFP、SMを、右肺病変に対してLVFX を投与した。また、DICに対してrTM、AT-3を投与した。数日の経過で重症敗血症やDICから離脱し呼吸・循環状態は改善傾向であった。6 月1日に吐下血とそれによる血圧低下を生じたため緊急で内視鏡的止血術を行ったが、その後も吐下血を繰り返した。6月9日に大量吐血しショックとなったが、内視鏡的止血が困難であった。大量輸血も奏功せず同日死亡確認し、病理解剖を行った。【考察】BCG膀胱内注入療法を契機に反応性関節炎を発症し、その後敗血症、DIC となった1 例を経験した。最終的に止血困難の上部消化管出血を発症し、救命はできなかったが、稀な症例と考え報告した。BCG 膀胱内注入療法は膀胱癌に有用な治療法であるが、重篤な副作用の報告があり、注意を要する。当日は病理解剖の結果と文献的考察を加えて報告する。ポスターCP 26 多臓器不全・敗血症② 2月12日(金) 15:00~16:00 CPポスター会場CP26-2 膿瘍ドレナージを施行できず、多数の播種病巣を生じ急激な経過で死亡した侵襲性Klebsiella 感染症の1 剖検例日本赤十字社和歌山医療センター 集中治療部亀井 純、辻本 登志英、小谷 祐樹、山田 裕樹、千代 孝夫【症例】70歳台男性。来院3日前からの臀部痛を主訴に当センター救急外来を受診した。肛門周囲膿瘍と診断して切開排膿を行われ、細菌性肝膿瘍を同時に指摘され緊急入院した。入院後に眼内炎による視力低下、その後ショックをきたしたため、全身管理目的で集中治療室に入室した。気管挿管、人工呼吸管理を開始し、大量輸液や高用量の循環作動薬を用いてサポートを行いながら、抗菌薬治療を継続した。一時はバイタルサインが安定し始めたが、入院5 日目に急激に循環動態が悪化し、CTでは脳浮腫、敗血症性肺塞栓症を認め、また肝膿瘍や肛門周囲膿瘍の残存を認めた。その後もバイタルサインは改善なく、入院6日目に死亡した。【考察】肝膿瘍から眼内炎や髄膜炎など播種病変を生じる侵襲性Klebsiella感染症がアジアを中心に多数報告されている。合併症をきたすことにより予後は不良となり、肝膿瘍に対するドレナージが治療において重要とされる。未治療かつコントロール不良の糖尿病が基礎疾患にあることや臨床経過から、侵襲性Klebsiella 感染症と早期に診断して適切な抗菌薬を投与していたにも関わらず、眼内炎や髄膜炎、敗血症性肺塞栓症を発症し多臓器障害を呈して救命できなかった。本症例は肛門周囲膿瘍を契機とした経門脈感染で、肛門周囲膿瘍に対して切開排膿を行ったが残存、肝膿瘍は病巣のサイズからドレナージを行わず、感染巣コントロールが不十分であったことが救命できなかった一因と考える。CP26-3 空腸動脈の感染性動脈瘤が破裂した感染性心内膜炎の1 症例武蔵野赤十字病院 救命救急センター三浪 陽介、須崎 紳一郎、勝見 敦、原田 尚重、原 俊輔、安田 英人、東 秀律、平山 優、安達 朋宏、本澤 大志症例は感染性心内膜炎、化膿性脊椎炎にて半年前まで当院に入院していた41 歳男性。全身状態改善したためリハビリ病院に転院し経過良好であり,自宅退院したばかりであった。しかし突然の腹痛,呼吸困難,下肢優位の脱力が出現し近医救急搬入となった。近医にて乳酸アシドーシスとCT画像で腹水を指摘され,当院入院歴があることから当院搬入依頼となった。当院搬入時の血圧92/23mmHg,脈拍134/minとショック状態であり,造影CTを施行したところ空腸動脈に動脈瘤を認め、経過から感染性動脈瘤が疑われた。腹水貯留もあることから空腸動脈瘤破裂による出血性ショックもしくは敗血症性ショックと診断し精査加療目的に当科入院となった。搬入後直ちに抗菌薬VCM+PIPC/TAZを開始し, 搬入同日にIVR による動脈瘤のコイル塞栓術を施行,残存したfeederに翌日再度IVRを施行した。以後,空腸動脈瘤からの出血についてはコントロール良好であり経口摂取も開始,保存的に加療可能であった。また入院後の経食道心エコーでは大動脈弁の疣贅付着も認められ感染性心内膜炎と診断した。血液培養からEnterococcus facalis が検出された。 感染性心内膜炎に対しては外科的治療を行わず抗菌薬ABPC+GM投与を継続した。全身状態改善したため今後の抗菌薬投与継続のため第16病日に当院感染症科転科となった。今回我々は空腸に感染性動脈瘤を形成した感染性心内膜炎の1 症例を経験した。そこで, その治療のStrategyについて報告する。