ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-655-CP25-4 当院開心術後患者の転帰を術前に予想できるか?1)神戸市立医療センター中央市民病院 リハビリテーション技術部、2)神戸大学大学院保健学研究科、3)神戸市立医療センター中央市民病院 麻酔科坂本 裕規1,2)、岩田 健太郎1,2)、井澤 和大2)、植田 浩司3)、下薗 崇宏3)、美馬 裕之3)【目的】術前の血液データと運動機能に着目し,開心術後患者の転帰に影響する因子について抽出することである.【方法】研究デザインは,後方視的研究である.対象は,2014 年5 月から2015 年4 月までに当院に入院し,冠動脈バイパス術,弁膜症手術,上行及び弓部大動脈人工血管置換術を受けた連続218症例である.除外基準は,術後脳梗塞合併例である.全218例は,自宅退院(退院群)と転院群に層別された.我々は,術前の推算糸球体濾過量(eGFR),ヘモグロビン(Hb)について診療記録より後方視的に調査した.運動機能の指標として,4m歩行テスト用いた.その結果より通常歩行速度,最大歩行速度を算出した.また,我々は,握力,膝伸展筋力を測定し,膝伸展筋力と体重値よりBody Weight Index(BWI)を算出した.我々は,握力,膝伸展筋力は左右各2回測定後,それらの最高値を本研究の指標とした.統計学的手法として,各指標は,Kolmogorov-Smirnov検定にて正規性が検定された.2 群間の比較にはχ 2乗検定及びFisherの直接法,t 検定,Mann Whitney U 検定が用いられた.なお,我々は2群間の比較にて有意差が認められた指標について,2項ロジスティック回帰分析を行い,転院に関与する因子を抽出した.【成績】年齢,eGFR,Hb,通常歩行速度,最大歩行速度,握力,膝伸展筋力にて2群間で差を認めた.年齢を調整因子としたロジスティック回帰分析の結果,eGFRが抽出された.【結論】今回,転帰を予測する術前因子としてeGFR が抽出された.術前のデータから転帰を早期に予測し,円滑に転院できるような体制をつくるとともに,転院先の回復期病院との連携を強化することが重要と考えられる.CP25-5 救命科入院患者に対する看護師協働の理学療法が離床に与える影響~入院時人工呼吸装着患者に着目して~1)市立函館病院 中央医療技術部 リハビリ技術科、2)市立函館病院 救命救急病棟、3)市立函館病院 集中治療室、4)市立函館病院 救命救急センター、5)弘前大学大学院保健学研究科山下 康次1,5)、大山 隼人2)、田中 清美2)、三上 祐樹2)、来生 恵2)、十文字 英雄3)、酒井 香3)、岡本 博之4)、武山 佳洋4)、高見 彰淑5)【はじめに】近年、重症患者に対するリハビリテーションが注目され、早期離床の効果が報告されている。しかし、救急科入院の患者に対する報告は少ないのが現状である。今回我々は、当院救命科入院中の患者に対し、看護師協働の理学療法を実践し若干の知見を得たので報告する。【対象】2010 年4月1日から2014年3 月31 日の期間に当院救命センターに搬送後に理学療法処方を受け、さらに入床時人工呼吸管理であり、入院中に歩行再獲得に至った患者とした。【方法】当院では2012年4月1日より看護師協働の理学療法(挿管中または抜管後の可及的離床)を開始しており、2010 年度~2011 年度をコントロール群、2012 年度~2013 年度を介入群とし比較検討を行った。なお、除外基準として、死亡例、神経学的予後不良例、医学的理由による離床制限例、長期社会的入院例は除外した。調査項目は、年齢、APACHEscore、入院から依頼・処方までの日数、鎮痛・鎮静期間、挿管日数、人工呼吸器装着日数、端座位・立位・歩行開始までの日数、救命センター入室期間、在院日数とした。統計解析は、student t- 検定またはMann-Whitney検定とし、有意水準は5%未満とした。【結果】対象は、コントロール群36例/介入群35例、内訳は、CPA/PCAS:16/17、外傷:8/6、急性中毒:7/5、溺水:2/1、その他:3/6、挿管中離床:0/5 であった。挿管日数、人工呼吸器装着期間、鎮静期間、救命センター在室日数、端座位・立位までの期間で有意に短縮を認め、歩行開始および在院日数は短縮傾向であった。【考察】重症患者においても多職種協働にて離床を視野に入れた戦略が必要であると考えられた。【結語】看護師協働の理学療法は、離床までの日数を短縮させる一助となることが示唆された。CP25-6 挿管人工呼吸管理中の早期理学療法介入は早期の機能回復に影響する1)済生会熊本病院 リハビリテーション部、2)済生会熊本病院 集中治療室、3)済生会熊本病院 心臓血管外科岡田 大輔1)、中村 通孝2)、上杉 英之3)、西上 和宏2)【はじめに】挿管人工呼吸管理中の早期理学療法介入は、身体機能の改善など様々な効果があることが報告されている。しかし、理学療法の介入時期別の検討は少なく、今回は72 時間以内の介入が短期の治療経過や患者転帰に与える影響について調査することを目的とした。【方法】対象は、2012 年6 月から2015 年5 月までの3 年間に当院ICU に入室後、72 時間以上人工呼吸管理が必要であった患者を対象とした。但し、死亡退院患者、入院前より50m 歩行困難な患者などは対象から除外した。それらを、挿管後72時間以内に介入した早期介入群と、72時間以降に介入した遅延群の2群に分け、比較検討を行った。【結果】早期介入群は43例(男性18 例、年齢73.4± 12.1 歳)、遅延群は51 例(男性38 例、年齢70.1± 11.2 歳)であった。早期介入群では全例挿管中より介入していたが、遅延群の介入率は60.8%であった。早期介入群では、挿管から理学療法開始までの期間が早く(1.7±0.8 vs 6.2± 3.7、p< 0.001)、早期に座位(4.9 ± 4.9 vs 8.8 ± 5.1、p < 0.001)や歩行(10.7 ± 11.9 vs 15.4 ± 13.6、p < 0.001)が開始されており、ICU退室時の歩行獲得率も有意に高かった(74.4% vs 52.9%、p=0.007)。ICU 滞在日数(14.7 ± 8.5 vs 17.7 ± 12.9 日、p=0.39)、在院日数(32.4 ± 16.5 vs 40.2 ± 22.5 日、p=0.16)には差を認めなかったが、人工呼吸器装着時間(189.8 ± 279.4 vs 344.7 ± 459.9 時間、p=0.07)は短い傾向にあった。【考察】72 時間以内の理学療法介入により、早期離床が可能となり、ICU 退室時の歩行獲得率の向上が図られた。今後は長期予後の調査も含め、早期介入が患者に与える影響を継続して調査していきたい。