ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-650-CP23-1 意識障害を主訴として救急搬送された肺動脈血栓塞栓症の一例1)岐阜市民病院 救急・集中治療部、2)岐阜大学医学部 麻酔・疼痛制御学講座上田 宣夫1)、大畠 博人1)、菊地 俊介1)、太田 宗一郎1)、飯田 宏樹2)、山本 拓巳2)今回、我々は意識障害を主訴として救急搬送された、重篤な肺動脈血栓塞栓症例を経験したので報告する。症例は49歳男性、既往歴に全盲、不安うつ病があり、向精神薬を服用していた。平成27 年6 月30 日9 時頃、自宅にて意識消失して倒れているところを介護士に発見され救急搬送された。最終生存確認は4日前であった。当院搬送時、意識レベル1/1/1、呼吸回数40回/分、SPO288%(ルームエアー)、血圧150/100mmHgであった。静脈血液ガス分析では、アシドーシスはなかったが、Hb21g/dL、Na 値149mEq/L と脱水を認めた。意識レベル低下のため、直ちに気管挿管し人工呼吸開始した。頭部CT、MRI では意識障害を示唆するような特記すべき所見はなかった。胸部レントゲン上誤嚥性肺炎を認めた。心エコーはpoor record で心機能や肺高血圧の有無は不明であった。しかし、人工呼吸管理後の血液ガス分析では、P/F100 程度と肺酸素化能の著明な低下を認めた。また、分時換気量12Lにて、呼気終末二酸化炭素分圧は20mmHgであったのにも係らず、PaCO2は68mmHgと解離を認めた。さらに、膝窩静脈に超音波上血栓も認めたため、直ちに、胸部造影CT を施行した。その結果、両側肺動脈の主幹部から下幹全体に大きな血栓塞栓が認められた。骨盤腔内に静脈血栓は認められなかったため、下大静脈フィルターの挿入は適応外と考え、モンテプラーゼ、ウロキナーゼ投与し、その後、ヘパリン、ワーァリン投与にて抗凝固療法と人工呼吸管理をった。その結果第10 病日には、肺動脈主幹部の血栓塞栓はほぼ消失し、第29病日には、肺動脈血栓、下肢静脈血栓ともに消失した。また、第20病日には無事人工呼吸管理を離脱し、ICU退室となった。本症例を通じて、原因不明の、呼気終末二酸化炭素分圧とPaCO2の解離や、脱水を伴った下肢静脈血栓が認められる場合は、肺動脈血栓塞栓症の存在を疑うことが重要であると考えられた。ポスターCP 23 心臓・循環・体液管理③ 2月12日(金) 15:00~16:00 CPポスター会場CP23-2 手術前日まで抗凝固療法を実施していたにもかかわらず骨盤骨折手術直後に発症した重症肺血栓塞栓症の1 症例公立昭和病院 救命救急センター佐々木 庸郎、渡辺 隆明、山口 和将、小島 直樹、稲川 博司、岡田 保誠骨盤骨折を含む多発外傷に対し緊急手術を行った後、早期から抗凝固療法を含む静脈血栓塞栓症予防処置を開始していたにもかかわらず、第21 病日に行った骨盤内固定術直後に重症肺血栓塞栓症を発症した1 症例を経験したので報告する。【症例】24 歳、男性。交通事故で救急搬送された。初期蘇生後、不安定型骨盤骨折、腸管・腸間膜損傷、肛門裂創の診断で、緊急で骨盤創外固定術、開腹高位前方切除術、ストーマ増設術などを行い、気管挿管下集中治療を行った。全身状態改善を待ち第4病日に抜管し、第7病日に集中治療室を退室した。静脈血栓塞栓症予防のため間欠的空気圧迫法を第1病日から、低分子ヘパリン投与を第4病日から開始した。静脈血栓塞栓症予防処置はその後も第20病日まで継続し、D ダイマーは第9病日をピークに低下しその後は10μ g/ml未満で経過していた。第21病日に骨盤内固定術を行った。手術終了後手術台からストレッチャーに移乗した直後に心肺停止状態となった。CPR開始したが安定したROSC は得られなかったためPCPS を導入し、超音波検査その他で肺血栓塞栓症による心停止と判断してt-PA投与を行った。造影CT検査で確定診断後、下大静脈フィルターを挿入し、集中治療室で低体温療法を実施した。第23病日にPCPSを離脱し、第40病日に集中治療室を退室した。意識清明となったが、恥骨部の術創管理に時間を要した。【考察】骨盤骨折は静脈血栓塞栓症のハイリスクであり、本邦でも本症例と同様の症例報告が行われている。骨盤骨折では、予防処置を行っても致死的な肺血栓塞栓症が起こりうることを念頭に置き、内固定手術を実施するにあたり特別の注意が必要であると思われる。CP23-3 下肢静脈血栓症から肺塞栓症と卵円孔開存による奇異性動脈塞栓症を生じた一例1)信州大学 医学部付属病院 高度救命救急センター、2)信州大学 医学部 救急集中治療医学三山 浩1)、清水 邦彦1)、秋田 真代1)、山本 勇輝1)、嘉嶋 勇一郎1)、望月 勝徳2)、小林 尊志2)、高山 浩2)、新田 憲市2)、今村 浩2)50台男性。仕事中に材木が落下、左脛骨骨幹部骨折となり、近医入院。受傷2日目に髄内釘にて固定された。その後リハビリ開始したが、骨癒合傾向に乏しく、CT 上も仮骨形成認められず、受傷2ヶ月半後に抜釘施行された。抜釘2日後、トイレ歩行時に呼吸苦、目の視覚異常、右大腿の疼痛、左上肢のしびれを自覚。造影CT にて、DVT、PTE、左鎖骨下A・右大腿A のAAO 認めた。IVC filter留置、t-PA製剤・ヘパリン投与を開始後、更なる精査加療目的に当院転院搬送となった。来院時、気道・呼吸は安定SpO2 95%、左橈骨動脈の脈拍触知消失、両側足背動脈触知も、右下肢冷感あり。血液検査でPT-INR 1.05, D-dimer 14.0と上昇あり。心エコー上、明らかな心内血栓なし、ASD認めず。右室拡大と右心負荷ありTRPG 34.34mmHg。患肢は少なからず側副血行路があり、入院後は、ヘパリン化で保存的に加療。頭蓋内病変精査で頭部MRI・頚部エコー施行も、脳梗塞や頚動脈病変は認めなかった。入院2日目に左心収縮能は改善、右心系の圧負荷所見は著明に改善し、血栓閉塞に対し、Fogarty で血栓除去施行。左橈骨、右足背Aの触知は良好となった。術後ヘパリンをNOAC へ変更。奇異性塞栓精査の為、術後4日目に施行した経食道エコーにて小さな卵円孔開存孔を認めた。マイクロバブル試験にてバルサルバ負荷で左房に流入する所見を認めた。入院10 日目のCT でIVCfilter に新たな血栓の付着なく、深部静脈血栓は残存も大きな血栓は認めずIVC filterは2週間で抜去した。経過良好で、リハビリ目的に転院となった。下肢の骨折、長期臥床にて深部静脈血栓症から肺塞栓を生じ、右心負荷上昇にて卵円孔からの右→左シャントが発生し、動脈塞栓を生じた事を経食道エコーで確認できた症例を報告する。