ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-632-CP14-1 白血病寛解導入療法中に人工呼吸を開始したが、原疾患の制御が困難で看取りを行った1 例福島県立医科大学 麻酔科学講座箱崎 貴大、井石 雄三、最上 翠、小原 伸樹、五十洲 剛、村川 雅洋【はじめに】急性骨髄性白血病患者では治療中に腫瘍崩壊症候群から人工呼吸が必要になる場合がある。原疾患の治療が奏功すれば患者の予後改善は期待できるため、人工呼吸は有用であるが、治療効果を予測することは困難で、腫瘍増勢抑制に失敗すれば無益な治療となりうる。今回我々は骨髄単球性白血病(M5a)に対する寛解導入療法中に肺胞出血を来し、人工呼吸を開始したが原疾患の病勢が強く、人工呼吸中止後にICU で看取りを行った症例を経験したので報告する。【症例】66歳男性、ICU入室1か月前にM5aを発症し、7日前から寛解導入療法を開始した。ICU入室0病日朝に呼吸困難が出現し、酸素15 L/min投与でもSpO2を保つことができなくなった。本人は以前から延命治療を望まない旨を主治医、家族に伝えていたが、寛解導入が奏功すれば短期的予後が期待できると説明され、人工呼吸に同意した。気管挿管し人工呼吸を開始したところ、多量の肺胞出血を認め、P/F ratio 83となったため、気道陽圧開放換気を開始した。2 病日、出血がある程度軽快し、酸素化も改善傾向にあったので、従圧式強制換気へ設定を変更した。その後も寛解導入療法の影響で血小板数の回復なく、連日血小板を投与した。18病日、血小板数回復を認めたが、白血病細胞も増加したため、原疾患の制御は困難であると判断し、できる限り早く人工呼吸を中止し、家族と終末期を共にする方針とした。22 病日呼吸器を中止したが、原疾患の悪化により、24病日永眠された。【考察】発症から急激に進行した血液悪性腫瘍であった。本人は延命治療を望んではいなかったが、家族の希望もあり、寛解に希望をもち人工呼吸を行った。原疾患の制御は困難だったが、ICU入室中に本人、家族への十分な説明時間を得ることができ、死を受容する時間を提供できた。人工呼吸中止が死を早めた可能性はあるが、本人、家族、主科医師と十分な協議を行い、適切な終末期を提供することができた。ポスターCP 14 倫理・終末期 2月12日(金) 9:30~10:30 CPポスター会場CP14-2 集中治療室での重症心不全患者の緩和医療を考えさせられた一例1)東京医科大学循環器内科学分野、2)東京医科大学先進的心不全治療医学講座、3)東京医科大学看護部渡邊 江莉1)、岩崎 陽一1,2)、小林 正武1,2)、斎藤 哲史1)、篠原 幸恵3)、長村 生野3)、山下 淳1)、渡邉 雅貴1,2)、山科 章1,2)症例は拡張型心筋症による心不全stage Dでかねてより慢性心不全急増増悪による入退院を繰り返していた70代男性。2013年に機能性僧房弁閉鎖不全症が悪化し、冠動脈病変治療と併せて左室形成術(Dor procedure変法)及び冠動脈バイパス術を施行した。その後は在宅訪問診療や、心不全陽圧換気療法、除細動機能付き心室再同期療法(CRT-D)などによる集学的心不全管理を行った。その後は、ご家族の協力もあり、主に在宅訪問診療をメインとした管理により、再入院回数は減少し、多くの時間を自宅にて過ごすことができていた。2015年の春ごろより、誘因なく下腿浮腫、腹水貯留によると思われる腹部症状と食欲不振が進行し、下痢と便秘を繰り返し、低カリウムを原因とする持続的心室頻拍症に対して数回のCRT-D適切作動も経験した。同年の夏には自宅にて胸水、腹水貯留による呼吸困難が出現し、全身倦怠感も高度となり、自尿を認めなくなったため当院集中治療室に緊急入院として、持続的血液濾過透析(CHDF)を中心とした循環器集中治療を行った。同時に、本症例においては当院の慢性心不全認定看護師を中心とした心不全チームが患者の尊厳も同時に遵守できるように、重症心不全終末期の意思決定を支えるため、advance careplan, living willなどを含めサポートを行いつつ、最終的にはモルヒネを用いて緩和医療開始しICD機能offの上、第28病日、ご家族に見守られながら永眠された。欧米の循環器学会や、本邦の日本循環器学会のガイドラインを参照すると、終末期心不全には緩和医療が推奨されている。しかしながら、自分自身が担当医として経験した本症例を通し、実臨床現場、特に集中治療領域における終末期心不全患者の緩和医療の在り方について、様々示唆深い経験をしたので、本症例の臨床経過を併せながら報告を行う。CP14-3 集中治療におけるインフォームドコンセント公立陶生病院 救急救命センター鈴木 知秀、市原 利彦、中島 義仁、川瀬 正樹(目的)集中治療におけるIC(インフォームドコンセント)は時として非常に困惑するときがある。特に重症例は病態、年齢、ADLにより家人も困惑することがあり、living will が明解でないことも多い。特に救急現場からの症例では時間は限られる。集中治療におけるIC を再考する。(対象)ERからの緊急手術を要する症例、患者の意識がなく身寄りがいいないか、積極的関与がない症例(精神疾患、身内の個人情報)、終末期の治療継続かの問題がある。終末期は待機手術あるいは、内科疾患で入院後状態の悪化で集中治療管理を行い、多臓器不全となり、あらゆる手段を使っても救命困難な症例とした。それぞれの症例をとりあげ、同意書なしに緊急手術を施行例1例、身内の同意が得られない症例1例、終末期3例(小児、開心術後、内科疾患)を対象とした(結果)緊急手術2 例は同意書なしで施行し、救命できた。外傷で家族同意がない治療の症例1 例は死亡した(積極的介入の限界)。期間は種々であるが、終末期で全力を尽くしても救命できなかった3例は死亡した。(考察)病態の終末期にも術後の症例、内科的急変疾患、小児など対応が異なってくる。また家人の同意がない場合にICUの対応は慎重を要する。ICは看護師はじめ薬剤師、リハビリ技士、ICU 医、主治医の全員での詳細な対応と共有が必要である。全症例を通じ患者背景 家人の態度、対応は各々異なる。多臓器不全から救命不能となってきた症例は、生命維持装置の維持をどこまで行うか、抗生剤や種々の高額な薬剤(DIC)に対する継続の問題、血液製剤の大量使用についての3 点が議論される。医師のIC 次第でもあるが、緊急現場のおける侵襲的治療選択や継続の難しさが散見される。(結語)集中治療におけるIC はチーム全体で話し合い解決していくことが望しい。個々の症例においての反省を含め集中治療におけるIC の困難性を考えたい。