ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-627-CP11-4 敗血症性DIC における遺伝子組換えヒトトロンボモジュリン製剤投与のプロトコール化の有用性1)滋賀医科大学 医学部附属病院 救急・集中治療部、2)滋賀医科大学 麻酔科学講座、3)滋賀医科大学 救急集中治療医学講座加藤 隆之1)、村尾 淳司1)、水野 隆芳2)、岸本 卓磨1)、山根 哲信1)、辻田 靖之1)、田畑 貴久3)、高橋 完1)、萬代 良一1)、江口 豊1)【はじめに】遺伝子組換え型ヒトトロンボモジュリン(TM- α)は、敗血症性DIC の治療薬として注目されているが、合併症として出血性病態があり、適応に苦慮することがある。我々は、2013 年4 月よりPAI-1(Plasminogen Activator Inhibitor-1)60ng/ml以上を必要条件として出血性病態を減らし安全に使用することが出来たので報告する。【対象と方法】2010年4 月から2015年7月までに滋賀医科大学附属病院集中治療室において加療した患者のうち、重症敗血症にアンチトロンビンIII 製剤を使用し、TM- αを併用した26 例を対象とした。TM-α適応にPAI-1 60ng/ml以上を必要条件としたプロトコール作成前後でわけ、非プロトコール群12例(2010年4月から2013年3月)、プロトコール群14例(2013年4月~2015年7月)とした。両群の集中治療室入室時APACHE(acute physiology and chronic health evaluation)II score、28日死亡率、輸血施行率につき、後方視的に検討を行った。統計学的解析において、単変量解析にはカイ二乗検定を用い、p値<0.05の際に有意差ありと判定した。【結果】入室時のAPACHE II Scoreは非プロトコール群においては23.91±9.13、プロトコール群においては23.42±8.81であり、重症度において統計学的有意差は認めなかった。28日死亡率は非プロトコール群50%、プロトコール群35.7%(p=0.462)、輸血施行率は非プロトコール群50%(6例/12例:脳出血1例、下血1例、貧血進行4例)、プロトコール群28.6%(4例/14例:下血1例、貧血進行3例)(p=0.263)であった。【結論】敗血症性DICにおける遺伝子組換えトロンボモジュリン製剤投与のプロトコール化は、輸血施行率の低下と重症敗血症の予後を改善する傾向があった。今後症例を重ねて検討していく。CP11-5 敗血症性DIC におけるアンチトロンビン製剤とリコンビナントトロンボモジュリン併用投与の有効性の検討東京女子医科大学東医療センター 救急医療科高橋 宏之、栗山 桂一、吉川 和秀、植木 穣、高橋 政照、磯谷 栄二【目的】敗血症性DICに対してアンチトロンビン(AT)製剤のみ投与した症例と、AT製剤とrTMを併用した症例の臨床効果を比較しrTMの有効性を検討する。【対象と方法】2013年10月から2014 年9月までに当センターで敗血症性DIC の治療を行った症例を対象とした。DIC診断時にAT活性が70%未満の症例にはAT製剤を、明らかな出血がない症例にはrTMを投与した。AT単独群とAT+rTM 併用投与群の第7 病日DIC 離脱率、院内生存率の比較を行った。両群間の比較はMann-Whitney のU 検定、転帰の比較はχ 2乗検定またはFisherの正確確率検定で行い、有意水準5%をもって有意差ありとした。【結果】AT 単独群は32 例、AT+rTM群は33 例あった。男女比、APATCHE スコア、急性期DICスコア、AT活性には差を認めなかったが、年齢はAT単独群で低く、SOFA スコアはAT単独群で高値であった。SOFAスコアの内訳では肝臓と循環がAT単独群で高値であった。第7 病日DIC 離脱率はAT単独群、AT+rTM群でそれぞれ25.9%、67.7%とAT +rTM群で高値であった。病院内生存率はそれぞれ40.6%、72.7%で、AT+rTM群で高値であった。感染巣の違いによる転帰の違いを考慮し最も症例数の多い肺炎で検討したところ、AT 単独群は11 例、AT+rTM群は20 例であった。年齢、男女比、APATCHE スコア、急性期DICスコア、AT 活性に差は認められなかったが、SOFA スコアはAT単独群で高く、その内訳では循環のみ高値であった。第7 病日DIC離脱率はそれぞれ18.1%、65% で、AT+rTM 群で高値であった。病院内生存率は27.2%、70% とAT+rTM 群で高値であった。治療開始後のAT 活性の推移はAT+rTM群で高い傾向にあり、敗血症全例での投与開始2日目、および7日目では有意差をもって高値であった。【結語】出血リスクの少ない敗血症性DIC に対するrTMの投与は有効な治療であると考えられた。今後は出血リスクの高い症例に対する治療法の検討が必要と考えられる。CP11-6 低IgG血症の有無による敗血症性ショック患者における静注用免疫グロブリン製剤の有効性の検討大分大学 医学部 附属病院 集中治療部古賀 寛教、後藤 孝治、大地 嘉史、小山 淑正、佐々木 美圭、荻原 洋二郎、牧野 剛典、甲斐 真也、安田 則久、北野 敬明【背景】Taccone らは,ICU に入室した敗血症性ショック患者21 名のうち57%が低IgG血症(650 mg/dl未満)であり, 血清IgG 値正常患者(生存率100%)と比較し予後が悪化(生存率50%)していたと報告している(Shock 2009)。よって,低IgG 血症の敗血症性ショック患者に対し静注用免疫グロブリン製剤(IVIG)投与の有効性が期待されるが,これまでこのような観点からの検討はない。当院ICUでは,IVIGの効用・効果を満たした敗血症性ショック患者に対し,IVIGを使用してきた。【目的】今回,2012年1月から2014年12月の3年間に当院ICUに入室した敗血症性ショック患者でIVIG(保険適応量:5g/日,3日間)が投与されていた患者67 例を後方視的に調査し,IVIG 投与前の血清IgG 値により,L 群(IgG:650 mg/dl 未満)とN 群(IgG:650 mg/dl 以上)群の予後を比較検討した。さらに,IVIG 投与前後におけるIgG 値,PCT値,β -D グルカン値,各種培養結果,使用抗菌薬,早期経腸栄養の有無,持続的腎代替療法の有無,抗DIC治療の有無を抽出した。また,APACHE2スコア,SOFAスコア,急性期DICスコア,人工呼吸期間,ICU滞在日数,28日生存率を算出し,両群間で比較検討した。【結果】L群は22例(33%),N群は45例(67%)であった。投与前の血清IgG 値はL 群597(532-623)N 群 991(851-1148)(median(IQR)); P < 0.05)。投与後の血清IgG 値はL群925(828-1077)N 群 1324(1077-1464)(median(IQR)); P < 0.05)。血清IgG 値を除くすべての測定項目は両群間で有意差を認めなかった。28日生存率はL 群81%, N 群84% と有意差を認めなかった(Log rank test; P=0.71)。【結語】低IgG血症の敗血症性ショック患者に対し保険適応量(5g/ 日,3日間)のIVIG を投与することで,血清IgG値正常患者と同等の生命予後をもたらす可能性がある。