ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-626-CP11-1 プレセプシンとプロカルシトニンの乖離症例に関する検討川崎医科大学 救急医学高橋 治郎、椎野 泰和、宮地 啓子、宮地 隆、竹原 延治、山田 祥子、堀田 敏弘、井上 貴博はじめに:敗血症のバイオマーカーとしてプレセプシン(PSEP)とプロカルシトニン(PCT)が利用可能であるが、どちらも単独で敗血症の診断が可能なほどの信頼性はない。目的:PSEPとPCT を比較し、敗血症のバイオマーカーとしての有用性を検討する。方法:2014 年12 月から2015 年7 月までに当院救急科に入院した患者を対象に、血液培養が採取される際にPSEP とPCTを同時測定した。感染の有無を臨床経過から後方視的に判断した上で、カットオフ値をPSEP500pg/mL、PCT0.5ng/mlと設定し、結果が乖離した症例について検討を行った。血液培養採取の適応には介入を行っていない。結果:対象は106 症例(複数回採取症例を含む)で、PSEP陰性PCT陽性を9症例、PSEP陽性PCT陰性症例を22症例認めた。PSEP陰性PCT陽性症例では、感染の関与が疑われない症例を5例(55.6%)、判断に苦慮する症例を2例(22.2%)、感染の関与が疑われる症例を2例(22.2%)認めた。感染が疑われた2 例中1 例で血液培養からE.cloacae が検出された。PSEP陽性PCT陰性症例では、感染の関与が疑われない症例を7 例(31.8%)、判断に苦慮する症例を3 例(13.6%)、感染の関与が強く疑われる症例を12 例(54.5%)認めた。感染が疑われた12 例中2例で血液培養からMSSA及びE.coliが検出された。PCT陰性であってもPSEPが1000pg/mL を超えた7症例は全例敗血症が強く疑われる症例であった。PCT が1ng/ml を超える症例であっても熱傷症例では感染をともなっていないと推測される症例も認められた。結語:PSEP、PCTいずれも偽陽性、偽陰性が疑われる症例を認め、バイオマーカーのみでの敗血症診断は危険である。また、今回の検討ではPCTが陰性であってもPSEP が1000pg/mLを超える症例では重篤な感染症である可能性が高いことが示唆された。今回は結果が乖離した症例に関する限定的な中間解析であり一般化はできないため、今後症例の集積を続け、血液培養、PCRの結果を追加し、検討を続ける予定である。ポスターCP 11 多臓器不全・敗血症① 2月12日(金) 9:30~10:30 CPポスター会場CP11-2 日本のclosed-ICUにおけるsevere sepsisの疫学:単施設後方視記述的観察研究1)医療法人鉄蕉会亀田総合病院 集中治療科、2)武蔵野赤十字病院救命救急センター、3)クイーンズランド大学臨床研究センター山本 良平1)、笹野 幹雄1)、軽米 寿之1)、南 三郎1)、佐藤 明1)、前田 淳子1)、安田 英人1,2)、林 淑朗1,3)【背景】日本のclosed-ICU におけるsevere sepsis の疫学は未知である。【目的】日本のclosed-ICUにおけるsevere sepsisの疫学の記述【デザイン】単施設後方視記述的観察研究【セッティング】日本の3 次医療機関のclosed-ICU【対象】2013 年4 月から2015年4月にICU入室した全てのsevere sepsisの患者【方法】ICUデータベース及び診療記録からの情報収集【主要評価項目】死亡率【副次評価項目】Event-freesurvival days【結果】全患者1224 人のうちseveresepsis は270 人(22.1%) であった(Table 1)。severe sepsisの28日死亡率は20.0%であった(Table2)。【結論】日本のclosed-ICUにおける2 年間のsevere sepsisの疫学を記述した。今後の臨床研究の仮説創出および研究デザインに役立つ基礎情報が得られた。CP11-3 当院における敗血症性ショックの予後と血中乳酸値についての検討1)昭和大学藤が丘病院 救命救急センター、2)昭和大学藤が丘病院 呼吸器内科高安 弘美1)、前田 敦雄1)、宮本 和幸1)、佐々木 純1)、林 宗貴1)、國分 二三男2)【目的】敗血症性ショックの予後と乳酸値の関係について検討する.【方法】2012年1月から2015年1月の間に当院救命救急センターへ入院し敗血症性ショックと診断された88例について、血中乳酸値を中心に各種パラメーターをretrospectiveに検討した.【結果】平均年齢71.5歳(32-101)、男性43例、女性45例であった.感染経路は肺炎32例、尿路感染20例、腹腔内19 例、蜂窩識炎・褥瘡4例のほか、髄膜炎、感染性心内膜炎などが少数であった.生存退院群58例、院内死亡群30 例であった.初期蘇生開始時の乳酸値の平均値は生存群で4.61mmol/l(0.88-10.85)、死亡群で6.80mmol/l(1.5-16.42)であり、生存群で有意に低かった(p=0.0091).蘇生開始後6~12 時間後の乳酸クリアランスは両群で差は認められなかった(p=0.2598).また、蘇生開始時の乳酸値4mmol/l 以上の症例54例の中では、6~12時間後の乳酸クリアランスは両群で有意差はなく(p=0.0699、AUC 0.644)、時間あたりの乳酸クリアランスにも差は認められなかった(p=0.1048、AUC 0.629).しかし、50%乳酸クリアランス率は生存群で有意に多いという結果であった(p=0.030).また、同54例の中で、6~12時間以内に乳酸値4mmol/l以下になった群での生存率は有意な差は得られなかった(p=0.2023)【結論】敗血症性ショックにおいて、早期の乳酸値の正常化が初期蘇生の指標になる可能性が報告され、SSCG2012 でも推奨されている.本検討でも乳酸値が予後予測の指標になる可能性が示唆される結果となった.文献的考察、検討を加え報告する.