ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-618-CP7-1 砕石位用膝窩型支脚器による仙骨部への外圧力と身体的特徴1)順天堂大学 医学部 附属順天堂東京江東高齢者医療センター、2)岡山県立大学 保健福祉学部水野 樹1)、高橋 徹2)【目的】砕石位における手術後に、仙骨部に発赤や褥瘡が発生することがある。褥瘡は、難治化、遷延化し、敗血症を併発し、多臓器不全から死亡に至ることもある。褥瘡の危険因子の一つに、患者の体型が知られている。本研究では、仙骨部へかかる外圧力と身体的特徴との関係を調査した。【方法】本研究は、岡山県立大学倫理委員会で研究承認(番号307)を得た。文書で同意の得られたボランティア健康成人21 人(男性11人、女性10 人)を被験者とした。電動手術台クラスI B 形R(タカラベルモント社、大阪)に、膝窩を支持する構造の膝窩型支脚器Knee CrutchR(長さ27cm ×幅16cm ×深さ6cm:タカラベルモント社)の左右を接続し、圧力センサが装着された体圧分布測定シートBIG-MATR(ニッタ社、大阪)を厚さ3cmの手術台標準マットレス上に敷いた。意識下の被験者の両股関節を体幹から90度屈曲、40度外転、20度外旋し、両膝関節を90度屈曲し、両下腿をそれぞれ対側の肩の方向に向けた砕石位をとった。ソフトウェアBIG-MATR(ニッタ社)内蔵のパーソナルコンピュータで圧力分布を読み取り、ディスプレイに表示された仙骨部に相当する部分をボックスで囲んだ。ボックス内のピークエリアの荷重値合計をピークエリアの中で荷重のかかっているセルの面積で割った値である、ピーク接触圧力(PeakContact Pressure: PCP)を測定した。PCP と身長、あるいは体重、BMI との関係について単回帰分析を行った。【成績】男性のPCP は97.2 ± 46.1mmHg、女性のPCP は89.1 ± 32.9mmHg で、性差はなかった。PCP と身長、PCP と体重、PCP とBMIとの間に有意な相関関係はなかった(p=0.057、p=0.070、p=0.246)。【結論】膝窩型支脚器を用いた砕石位において、仙骨部の外圧力には性差はなく、身長、体重、BMI に非依存性である。【参考文献】1)水野 樹、高橋 徹、他. 麻酔 63:1167-71、20142)Mizuno J, Takahashi T. Ther Clin Risk Manag 11: 255-261、2015ポスターCP 7 四肢・骨盤・体表 2月12日(金) 9:30~10:30 CPポスター会場CP7-2 複数の出血性素因のある患者に生じた特発性腹直筋血腫香川県立中央病院麻酔科武部 佐和子、武知 かおる、川西 裕之、中村 仁、池田 智子、井上 一由、谷津 祐市、長井 昭宏、松田 力哉、平崎 盟人腹直筋血腫は上下腹壁動脈の破綻により生じる腹壁の血腫である。症状が急性腹症に類似し、頻度が稀であるため、他の急性腹症と誤診されることもある。抗凝固療法中や、出血性素因の病態を背景としていることも多い。我々は、肝硬変、DIC、ITPなど複数の出血性素因のある高齢の女性が急性腎不全の加療中に、腹筋緊張などの明らかな誘因なく腹直筋血腫を生じた症例を経験した。造影CT所見から両側の腹直筋血腫と後腹膜血腫が診断された。短時間の血腫増大と大量出血のため急速に呼吸、循環動態が悪化し、積極的な止血術が必要となった。血管造影後、出血源の両側下腹壁動脈にたいして塞栓術を施行した。循環は安定し、腹痛は軽減したがその後も腹部膨満が増悪して呼吸困難となり人工呼吸器を装着した。再度血管造影後、右深回旋動脈の塞栓術を施行し、外科的に左右腹直筋鞘内の血腫除去術も行った。徐々に呼吸状態は改善し人工呼吸器を離脱した。腹直筋血腫は咳などの腹筋の緊張をきっかけとして生じることが多いが、何ら誘因なく発生する事もあり注意が必要である。本症例では複数の出血性素因があったことが、特発性腹直筋血腫を生じた主な原因と考えられた。早期診断のためには本疾患を急性腹症の鑑別疾患として認識しておく必要がある。腹直筋血腫は通常、保存的療法を行うが、本症例のように短時間に腹壁血腫が増大すると呼吸・循環不全に陥る可能性があり、時期を逸しない動脈塞栓術や外科的な血腫除去術などの積極的治療が必要であると考えられた。CP7-3 呼吸筋をターゲットとした特発性横紋筋融解症の1 症例名古屋大学大学院 医学系研究科 救急・集中治療医学分野中原 光三郎、塩屋 悠人、錦見 満暁、東 倫子、山本 尚範、江嶋 正志、田村 有人、沼口 敦、角 三和子、松田 直之【はじめに】特発性横紋筋融解症が,近位筋および内腹斜筋から呼吸筋群の広範囲にまでおよび,人工呼吸管理が長期化した症例を報告する。【症例】症例は,46 歳の女性である。腹痛を伴う軟便を主訴として近医を受診し,ウイルス性腸炎の診断を受け,2日後に当科を受診し,血液生化学検査でCK値 28432 U/Lの高値を認めた。疼痛に一致した内腹斜筋領域にCT検査で低吸収域を認め,横紋筋融解症の診断とし,救急集中治療部への入室とした。その後,横紋筋融解症は,肋間筋を含む呼吸筋群に進行し,PaCO2 84.6 mmHgレベルへのCO2 貯留により,人工呼吸器管理とした。さらに,尿量低下とミオグロビン尿により,急性腎傷害が進行し,持続血液濾過(QF 150 mL/時,QB1.8L/時,PMMA膜)を開始した。さらに,肺炎を合併し,喀痰培養検査からMSSAが検出されAmpicillin/Sulbactamを使用した。電解質,甲状腺機能を含むホルモン,皮膚筋炎などの自己抗体に異常を認めず,ウイルス感染を疑ったが,有意な手がかりが得られなかった。しかし,横紋筋融解を認めた左大腿の筋生検では,壊死を認めない筋細胞筋鞘への広範なリンパ球浸潤を認めた。血中クレアチンキナーゼ(CK)値は4,500 U/Lレベルで推移し,炎症細胞浸潤に対して少量メチルプレドニゾロン持続投与(1mg/kg/日)を開始した。この入室第12病日後よりCK値は順調に低下し,呼吸と腎機能の回復を得て,入室第15病日に一般病床への転棟とした。【結語】特発性横紋筋融解症が体幹から呼吸筋に進行し,人工呼吸管理を必要とした症例を経験した。本症例では,ステロイドが接着分子の産生を抑制し,筋鞘への細胞浸潤と横紋筋融解を抑制したと評価した。