ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-612-CP4-1 防水スプレー吸入により呼吸障害をきたした1 例名古屋第二赤十字赤十字病院 麻酔集中治療部中村 藍子、田口 学、藤井 智章近年防水スプレー吸入による呼吸障害は製品の改良や注意喚起により減少したが、報告が散見される。今回当院において経験した防水スプレー(成分:フッ素樹脂、n-ヘプタン、ブタン、プロパン)の吸入後に呼吸障害をきたした症例を報告する。【症例】55歳男性。肺気腫の既往、喫煙歴あり。自宅玄関内で防水スプレーを使用し、その後喫煙した後に咳、呼吸困難が出現し、救急要請した。救急隊接触時にSpO2は47%(室内気)を示し、酸素投与が開始された。来院時リザーバー付酸素マスク15L/min使用下にPaO2は83mmHgであった。胸部単純写真で両肺野に網状影、胸部単純CTでは気腫性変化と中葉・舌区・両下葉中心にスリガラス陰影を認めた。酸素投与し経過観察するも呼吸状態の改善が不良でありICU 入室となった。酸素化改善のためnasalhigh flow(NHF)を使用し呼吸管理を行った。二次感染を考慮し抗生剤(CTRX)投与、急性肺障害に対してシベレスタットナトリウムを使用した。徐々に改善を認め第7病日にNHFを離脱したが、酸素投与を必要とした。第8病日に抗生剤、シベレスタットナトリウム投与を終了しICU退室となった。酸素投与が不要となるまでには約1カ月を要した。【考察】防水スプレーの吸入により撥水剤であるフッ素樹脂が肺の表面活性物質と拮抗することで肺胞虚脱をきたすことや、フッ素樹脂の加熱による熱分解産物が発生した場合にはより強い肺毒性が生じることがいわれている。肺障害は多くの場合、酸素投与のみで数日で自然に軽快することが多いとされるが、本症例では肺気腫の既往や喫煙によりフッ素樹脂が加熱され熱分解産物が生じたことが酸素化悪化や肺障害の遷延に影響した可能性が考えられる。酸素化維持において高濃度の酸素投与や呼気終末陽圧の効果が期待できるNHFは有用であると思われた。本症例について文献的考察を加え報告する。ポスターCP 4 気道・呼吸・呼吸管理① 2月12日(金) 9:30~10:30 CPポスター会場CP4-2 急速な経過をたどった皮膚筋炎関連間質性肺炎の一例市立豊中病院 麻酔科香河 清和、二宮 万理恵、松本 充弘、川瀬 太助、前田 英里、大井 智香子、盤井 多美子、吉河 久美子、佐々原 友子、高田 幸治【症例】68歳女性【既往歴】狭心症、高血圧、虫垂炎術後、子宮筋腫術後【内服薬】オルメサルタンメドキソミル、アスピリン【経過】関節痛(3 週間前)、咳嗽(9 日前)を認めて近医受診。発熱、左胸痛より、両側肺炎、左胸膜炎と診断され当院一般内科に入院した。スルバクタム・アンピシリン2日間、セフタタジム、クリンダマイシン3 日間投与で改善せず、酸素化不良を認め、呼吸器内科へ転科した。皮疹と呼吸不全の急速進行から皮膚筋炎関連肺障害を疑い、ICU 収容となった。ICU 入室当日に皮膚生検、BAL施行後にNasal high flow cannula、メチルプレドニゾロンパルス開始したが、数時間後に酸素化不良で気管挿管、人工呼吸管理となった。挿管後にたこつぼ型心筋症、PSVTを認め、補液、強心剤、昇圧剤投与、除細動を施行した。その後も循環動態は不安定で全身浮腫進行、急性腎不全を呈した。2 日目に得た皮膚生検結果は皮膚筋炎に矛盾せず、抗CADM-140/MDA5 抗体検査を提出した。3日目も循環動態は不安定でPSVTを繰り返し、除細動施行、ランジオロールを投与した。4日目ステロイドパルス終了後に酸素化は若干の改善を一時的に認めたが、呼吸器条件の緩和には至らず、後療法移行後に呼吸障害は増悪した。またプロカルシトニン高値、乳酸値上昇から敗血症の可能性を考慮してタゾバクタム・ピペラシリンを投与した。5 日目循環動態は若干改善したが腎機能は低下し、タゾバクタム・ピペラシリンは中止した。6日目には炎症所見の増悪を認め、7日目に永眠された。抗CADM-140/MDA5 抗体陽性、抗ARS 抗体陰性と後日判明し、Clinically Amyopathic Dermatomyositis と診断された。【考察】皮膚筋炎関連間質性肺炎は予後不良で、今症例も呼吸療法、ステロイドパルス施行も反応性に乏しく救命し得なかった。免疫抑制剤は全身状態より使用できなかった。【結語】急激に進行し救命し得なかった皮膚筋炎関連間質性肺炎を経験した。CP4-3 名古屋大学病院救急・内科系集中治療室における間質性肺炎の管理の解析名古屋大学大学院 医学系研究科 救急・集中治療医学分野東 倫子、日下 琢雅、海野 仁、眞喜志 剛、山本 尚範、江嶋 正志、田村 有人、沼口 敦、角 三和子、松田 直之【はじめに】間質性肺炎の急性増悪の集中治療に対して,当講座は,2014 年に肺線維化管理バンドルを策定し,治療成績の向上を目標としている。これまでの間質性肺炎の急性増悪の管理内容を解析した。【方法と結果】2013 年1月1 日から2014年12 月31 日の2 年間で,間質性肺炎の集中治療の症例を抽出した。当該期間に間質性肺炎と診断したのは全33 例で,23例の特発性含み,平均年齢69.7 ± 11.2, ICU 入室日のAPACHEII スコアが28.8 ± 5.8 だった。ICU 管理平均日数は14.5 ± 10.2 日であり,気管挿管15 例(45.5%),NPPV 11例(33.3%),ハイフローネーザルカヌラ4例(12.1%),酸素マスク3例(9.1%)が最重症期の呼吸管理方法だった。ICU死亡は10例(30.3%)であり,ICU退出後5例(15.2%)が他の専門診療科の病棟で28日以内に死亡し,28日死亡は15例(45.5%)だった。解析結果として,28日生存は血液浄化,気管挿管におけるPEEPとの関連を認め,ステロイド大量療法およびKL-6に関連を認めなかった。【結語】当講座における2014年までの間質性肺炎のICU死亡率は30.3%であり,より高い治療成績への改善が期待される。当講座は他診療科の指導を含めて,間質性肺炎の管理結果を解析し,2015年に肺線維化管理バンドルを改訂した。