ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-610-CP3-1 髄液細胞数上昇を認めない肺炎球菌性髄膜炎の1 例浦添総合病院 救命救急センター 総合診療科後藤 崇夫、佐藤 良太、屋宜 亮兵、福井 英人、北原 佑介、那須 道高、八木 正晴【症例】既往のない66歳男性。自動車単独事故にて救急搬送された。治療を要する外傷はなかったが40.1℃の発熱と意識障害を認めた。意識はGCSでE4V4M6、質問に対する返答が一貫しない状態であった。髄膜刺激症状はなく頭部CTで占拠性病変や頭蓋内出血を認めなかったが、胸部レントゲン及び胸部CT において左肺に浸潤影が認められた。発熱と意識障害から髄膜炎の合併を懸念し腰椎穿刺を施行した。髄液検査は細胞数2/mm3、糖124mg/dL(血糖203mg/dL)、蛋白83mg/dL で髄液のグラム染色で細菌を認めなかった。セフォタキシム1g を投与し入院とした。4 時間で血液培養4 本からグラム陽性球菌が検出された。血液検査では白血球13200/ μ L,CRP18.7mg/dL と炎症反応高値を認めた。入院翌日のCRP は30.6mg/dLと上昇を認めた。2 日後に血液培養、4 日後に髄液培養からペニシリン感受性肺炎球菌が検出され肺炎球菌性髄膜炎の診断にてセフトリアキソン2gを12時間毎に投与した。治療開始後速やかに解熱、意識状態改善認めたため2 週間の治療を行い退院とした。症例は髄液細胞数の上昇を認めないにも関わらず細菌性髄膜炎であった。また髄液糖は血糖の1/2以上の数値であり低下していなかった。細菌性髄膜炎における髄液所見は多岐にわたる。髄液細胞数の上昇が見られない場合も細菌性髄膜炎を除外することはできなかった。診断は病歴、身体所見、検査所見から総合的になされるべきであるが死亡率の高さ、機能予後の観点から疑った場合は髄液所見に関わらず治療開始すべきであると考えられた。今回、髄液細胞数上昇を認めない肺炎球菌性髄膜炎を経験し、文献的考察を加えて報告する。ポスターCP 3 感染・感染対策① 2月12日(金) 9:30~10:30 CPポスター会場CP3-2 異常行動で搬送されたLemierre症候群の一例1)獨協医科大学病院 研修センター、2)獨協医科大学病院 救命救急センター、3)獨協医科大学病院 神経内科日高 有司1)、寳住 肇2)、西平 崇人3)、坂本 千代織2)、高野 雅嗣3)、神津 成紀2)、松島 久雄2)、和氣 晃司2)、小野 一之2)23歳男性。2 日前よりの発熱、咽頭痛認め近医の内科を受診、抗菌薬を処方されて帰宅。翌日自宅外を半裸ではいつくばる姿を発見され2 次病院へ搬送された。病着時はショックバイタルであり、左眼球変位を伴う強直間代性痙攣発作を2回認めたため人工呼吸器管理となった。腰椎穿刺施行にて細胞数上昇あり、髄膜炎、脳炎の疑いで当院転院搬送された。来院時DIC を認め、前医よりのMEMP、ACV に加えVCM追加、DIC の加療含む集中治療管理とした。 治療に反応性あり、徐々に昇圧剤や輸液量の低下は得られたものの、CK30000IU/Lを超える横紋筋融解症を認めた。第5病日抜管。GCSE4V4M6であり明らかな見当識障害認めた。MEMPよりCTRXに抗生剤変更したところ、CKの低下も得られた。造影CT施行したところ肺野に斑状影を2か所認め、頸静脈に血栓を疑う所見あり。MRIにて小脳に微小梗塞を認めた。第6病日、前医より血液培養検査からF. necrophorum が検出され、Lemierre症候群と診断された。抗菌薬はSBT/ABPCに変更し神経症状残存するものの全身状態安定しているため、第8 病日一般病棟へ転棟となった。CP3-3 たこつぼ型心筋症の合併が考えらえた破傷風の1 例1)JA尾道総合病院 内科、2)JA尾道総合病院 循環器内科徳毛 健太郎1)、大道 和佳子1)、益田 健1)、瀧口 侑2)、吉田 敬1)破傷風は自律神経障害による激しいバイタルの変動で管理に苦慮する疾患である。カテコラミン過剰に伴い、たこつぼ型心筋症を発症し得ることが予想されるが、報告は多くない。今回我々は、たこつぼ型心筋症を合併したと考えられる重症破傷風の一例を経験した。【症例】88歳女性、主訴は嚥下困難、頸部筋緊張。来院8日前に畑仕事中に左前腕を受傷し、来院前日から嚥下困難、体動による頸部筋緊張を認めるようになり救急受診した。破傷風と考えられICUへ緊急入院となった。抗破傷風人免疫グロブリン、破傷風トキソイドを投与し、メトロニダゾール、ミダゾラム持続投与で経過を見ていたが、筋痙攣が頻回となり、挿管・人工呼吸管理とした。血圧の変動が激しく、ノルアドレナリン、ドパミンを使用した。第4病日よりマグネシウム持続投与を開始した。来院時の心電図に特記すべき異常はなかったが、第4病日にIII、aVF、V1-V3で異常Q波を認め、CK、トロポニンT上昇を認めた。全身状態を考慮し心カテーテル検査は施行しなかったが、第5病日に陰性T波が出現し、心エコー検査でたこつぼ型心筋症様の左室収縮不全を認めた。たこつぼ型心筋症が強く疑われたが、これ以上の精査は難しく、経過観察とした。マグネシウム投与開始後、徐々にバイタルは安定し、カテコラミン減量、中止が可能となった。第25 病日に気管切開を施行し、その後はミダゾラムを減量し中止した。意思疎通も可能となり、第37病日に一般病棟へ転床となった。【考察】破傷風において、交感神経の脱抑制に伴うカテコラミン上昇に起因して、たこつぼ型心筋症を併発することが予想される。本症例は明確な診断には至っていないが、病態・経過からは破傷風に関連して、たこつぼ型心筋症を発症していたと考えられる。また同様の報告は少ないものの過去にいくつか存在する。以上を踏まえ、文献的考察も含め本症例を検証し報告する。