ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-609-CP2-4 集中治療室に病棟担当薬剤師が配置されたことの有用性の検討1)藤沢市民病院 看護部 ICUCCU、2)藤沢市民病院 医療技術部 薬局佐藤 茜1)、平野 了子1)、矢澤 愛里沙1)、高橋 瑞江1)、小磯 昭一1)、田中 大2)、三田 亜希子1)【はじめに】藤沢市民病院では平成25 年度から集中治療室(以下ICU)に病棟担当薬剤師が配置された。本研究は病棟担当薬剤師の配置が看護業務にどのような影響を及ぼすかを明らかにすることを目的として実施した。【方法】薬剤師配置後1 年の時点で、ICU看護師23名を対象に記述式のアンケート調査を実施。収集したデータをKJ法に基づいてカテゴリー化した。【結果・考察】アンケート回収率は100%であった。「安心・安全な業務への寄与」、「看護業務の充実化」といった2つのカテゴリーに分類された。「安心・安全な業務への寄与」では、「薬剤について聞きやすい・相談しやすい」や「配合禁忌やルート選択等についてすぐに聞ける」等の薬剤の相談に関するコードが26個得られた。ICUでは多くの薬剤を管理・使用することから、看護師は薬剤の取り扱いに不安や疑問を抱えている 。しかしICUに薬剤師が配置され、コミュニケーションが円滑に図れたことが看護師の不安軽減に繋がった可能性がある。また、薬剤師が「ICUの患者についてよく把握してくれている」「使用頻度が少ない薬剤のアドバイスをタイムリーにもらえる」等のコードから、看護師が薬剤師から、個々の患者に必要な薬品情報やアドバイスをその場で得られることで、より安全で確実な薬剤投与に繋がると考えられる。「看護業務の充実化」では、「患者のケアにあたる時間が増えた」「看護業務の時間にあてられる」等のコードが7 個得られた。ICU の薬品管理に薬剤師が参画することで、看護師が薬品管理に割いていた時間を看護ケア等の看護業務に費やせたと実感している。本研究では、看護業務にかかる時間の変化については検討していないが、患者ケアに費やす時間が増加したという意見から、薬剤師の配置が看護業務の充実化やケアの質向上に寄与すると考える。【 結論】病棟担当薬剤師の配置は、安心・安全な業務への寄与と看護業務の充実化において有用である。CP2-5 自宅退院が困難と予想された超高齢者のAS患者に対して看護師中心で取り組むチーム医療が有効であった一例1)近江草津徳洲会病院 看護部、2)近江草津徳洲会病院 心臓血管外科、3)滋賀医科大学 心臓血管外科清原 由希1)、木脇 恵子1)、小池 雅人2)、浅井 徹3)【背景】超高齢社会を迎えている本邦では、80歳以上の大動脈弁狭窄症(AS)患者が増加している。A病院では約5年間に、ASに対して大動脈弁置換術(AVR)を受けた患者が54名(複合手術35例)で、平均年齢は74±8(53-90)歳、80歳以上の後期高齢者患者が18名(33%)にも達した。高齢心疾患患者は、合併症が多い上に身体能力が低く、長期入院や心臓血管外科手術後容易に身体デコンディショニングを生じ、廃用が進行して自宅退院が困難になることが多い。今回超高齢者のAS、心筋梗塞後の患者に対して、看護師中心の多職種が関わるチームで行う周手術期管理が有効であったので報告する。【症例】86 歳女性。同敷地内に次女家族が住んでいるが本人は自宅で一人暮らし。自宅で労作時呼吸困難増悪を認め、AS、高血圧症、糖尿病等で通院していた近医を受診。うっ血性心不全、発症時期不詳の心筋梗塞と診断され入院加療となった。心エコー検査、CAG 施行され重症AS、三枝病変で心臓血管外科紹介、手術治療目的でA病院転院となった。転院直後より自宅退院に向けて、多職種が関わるチーム医療で周手術期管理を行った。転院後11日目に、AVRおよび冠動脈バイパス術(CABG)施行された。覚醒遅延を認めたが、術後40時間で人工呼吸器より離脱、術後43 時間で離床・歩行訓練を行い独歩で一般病室に転室し、術後44 時間で食事を開始した。術後に介護申請を行い、術後32 日目には地域包括ケア病床に転棟してリハビリを強化した。術後41 日目、A病院入院52 日目、他院を含めて入院加療82日目に心配なく元気に自宅退院となった。【結語】心臓血管外科のハイリスクな複合手術を受ける超高齢者に対して、患者の直ぐ側にいて、チーム医療のキーパーソンである看護師中心のチーム医療で取り組む周手術期管理が、早期回復管理、自宅退院に有効であった一例を経験した。CP2-6 食道癌の高齢患者への周手術期ケア ~内科から外科へと継続したケアによりQOL 維持した一事例~日本赤十字社 富山赤十字病院松倉 早知子【はじめに】食道癌手術を受ける高齢者に入院前から呼吸リハビリテーション等の術後合併症予防をしているが、術後のQOL低下が課題であった。そのため、消化器内科(以下、内科)入院期間から術後合併症予防を開始し、術前の身体的・精神的準備と術後のQOL の維持を目的に取り組んだ一事例を報告する。【実践】患者は70 歳代後半、胸部食道癌(Stage3)、術前化学療法2 コースと鏡視下食道亜全摘・胸骨後頚部胃管再建術が予定された。症状は飲み込みにくさがあったが通過障害はなく経口摂取可能、Performance status(以下、PS)0、呼吸機能は%VC81.4、FEV1.0%95.4、喫煙歴があった。医師(内科・外科、麻酔科等)、看護師(内科・外科の外来・病棟、ICU等)、専門・認定看護師、理学療法士、栄養士等の多職種と連携し、手術2 か月前、内科病棟での術前化学療法1 コース目から介入した。インセンティブスパイロメトリーを用いた呼吸リハビリテーションと呼吸ケアチーム介入を開始した。歯科医・衛生士による口腔ケア、摂食・嚥下・口腔ケアチーム介入を開始し、口腔環境の改善と嚥下評価を継続した。栄養サポートチーム介入を開始し栄養状態のアセスメントと介入を継続した。退院後に自宅でケアを継続できるよう指導し生活に合わせた計画を患者とともに立案した。外来受診時に、呼吸機能や口腔環境、栄養状態、不安や意欲等を評価し介入した。術前化学療法2 コース目にADL 低下はなかったが呼吸機能低下、食欲低下、気分の落ち込みがあり、その後、回復し退院した。外科病棟に入院時はPS0 を維持し、予定手術を受けた。術後、喀痰貯留があり、排痰介助や口腔ケアによる気道浄化と早期離床を図った。嚥下評価し、経口摂取を開始した。【評価】術後合併症なく術後19 日目に退院、PS1、趣味に意欲があり、QOLが維持された。【倫理的配慮】患者に口頭でレポート作成の了承と看護倫理委員会の承認を得た。