ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-605-DP50-4 集中治療室において急変時の代理意思決定を行う家族が医療者に求めること~家族インタビューを通して~社会福祉法人 恩賜財団 済生会熊本病院戸敷 咲、井村 友美、山口 大介、西村 摩里子、柴尾 嘉洋【目的】家族が救急の現場で、代理意志決定をする際に求める情報や支援を明らかにするために本研究を行った。【研究方法】インタビューガイドに沿って半構造化面接を実施。内容分析を行ってカテゴリーを分類した。倫理的配慮は、当院の倫理委員会の承認後、家族へプライバシーが保持されること、参加・不参加により不利益が生じないこと等を十分に説明し文書で同意を得た。【結果】A病棟で急変時の救命処置について代理意思決定を行った2 例に、決断に至った理由、インフォームド・コンセント(以下IC)の際に十分理解出来たか、納得して決断できたか、医療者に求める支援などを把握するためにインタビューを行った。対象者は、配偶者・子ども・孫の計6名であった。その結果、【患者の意思】【患者背景】【家族背景】【ICの内容・回数・頻度】【ICに求めること】【ICの理解度】【決断後の家族の思い】の7 カテゴリーに分類された。【考察】【患者の意思】【決断後の家族の思い】【患者背景】では、事前に患者と家族が死生観を話す機会があったが、2 症例共に< 生きていてほしいけど苦しい思いはしてほしくない >との発言があり、本人の意思表示に関わらず葛藤が生じていた。決断に至った主な理由としては【IC の内容・回数・頻度】【家族背景】【患者の意思】から、患者の意思表示、IC 後の家族・周囲の総意であった。また、身近な医療従事者や、代理意志決定の経験がある知人の意見も参考にしていた。< 他の人はどうするのだろう >との発言もあり、生死の決断、責任の重さから様々な情報に左右されてしまう事が示唆された。【ICに求めること】【ICの理解度】では、経過や病状が挙げられ、できるだけ悪い情報は聞きたくないとの意見があった。また、医療者が十分と思える回数のICを実施していたが、救命処置や、予後のイメージを持てず、わかりやすい言葉・数値での説明を求めていた。DP50-5 PICU における終末期患者・家族のケアへの取組み長野県立こども病院藤澤 江里子〔はじめに〕小児の臨床の現場では終末期に携わる機会が少なく、医療スタッフの教育あるいは経験が積みにくく、専門家が育ちにくいという問題が指摘される。そこで今回小児の終末期の患者・家族に対する看護ケアにポイントを置き、症例振り返りおよび勉強会を行い、看護スタッフの思いやケア実践にどのような効果が得られるか検討したので報告する。〔方法〕●対象:PICU看護師27名、有効回答数19名(有効回答率70%)●調査方法:自記式質問紙調査●調査内容:終末期看護の経験、振り返りおよび勉強会(以下「介入」)への参加状況、介入前後の終末期看護に対する思い、看護実践に活かせた具体例、終末期看護に対する意識の変化●分析方法:質的に異なる内容をコード化しカテゴリー化を行い内容分析を行った〔結果〕終末期看護の振り返り、勉強会は対象者全員が参加しており、79%が参加後の終末期看護の意識に変化あり、63%が看護実践に活かせたと回答。さらにVAS スケールを用いた「終末期看護に対する意識の変化」の集計結果は平均6.56であった。記述内容を質的に分析した結果、「介入以前の終末期看護に対する思い」から、【倫理的葛藤】《代理意思決定サポートの迷い》、【終末期患者への看護経験や知識不足による難しさ】《医療者間で共有されない終末期医療とケア》《病院のルールによる限界》《看護師の気持ちの揺れ、ジレンマ、自信のなさ》、【心理的負担】が抽出された。「介入以降の終末期看護に対する意識の変化」から、【共有の効果】《わだかまりや考え方のズレの調整》、【振り返り、勉強会の有効性】《興味、関心度の強化》《知識、応用力の向上》《やる気や新たな目標の設定》、【心理的負担】《難しい》《不安の増強》《辛い》が抽出された。〔結論〕終末期患者・家族のケアへの取組みは、意識的に関わりを持つための手段として効果があり、今後も継続して行っていく必要性が示唆された。DP50-6 脳死下臓器提供における選択肢提示の現状と看護1)山口大学大学院 医学系研究科、2)小倉記念病院山本 小奈実1)、山勢 博彰1)、佐伯 京子1)、立野 淳子2)、田戸 朝美1)【目的】脳死の診断から臓器提供の選択肢提示、代理意思決定の現状とその時期の看護師による家族アセスメントとケアを明らかにする。【研究方法】対象者:脳死下臓器提供に携わった経験のある看護師20名期間:平成26年10月~平成27年6月内容:インタビューガイドを用いた半構造面接を実施した。内容は、臓器提供に関わった件数、ドナーカード保有の有無、臓器提供の選択を提示した人、看護師の家族アセスメント、看護ケア等とした。分析方法:面接内容を逐語録に起こし、インタビュー内容毎に関連する記述を抽出した。家族アセスメントと看護ケアに関する記述は、意味内容から1次コードを作成した後、内容の類似性からサブカテゴリー、カテゴリーに分類した。【倫理的配慮】 研究代表者の所属する倫理委員会の承認を得た。対象者には、インタビュー前に倫理的配慮について口頭及び文書で説明し、同意書にサインをもらった。【結果】 看護師の平均経験年数は15.1年、脳死下臓器提供の平均経験数は2.3件であった。患者数は17 名で、5 名がドナーカードを保有していた。臓器提供について家族からの申し出があったのは7 名、医師から選択提示したのは6 名であった。看護師は家族の状態を、「常に涙を流していた」「臓器提供なんて考えられない」等の情緒的反応や、「人の役に立ちたいという思いがあった」「家族で話し合ってきます」等の問題志向的反応があるとアセスメントしていた。看護では、「寄り添う」「気持ちの確認」「外観を整える」「情報の共有」などがあがった。【考察】 本人の意思表示や推定意思が確認できる場合、家族から臓器移植の意向を申し出る傾向があることがわかった。これは患者の希望を叶えたいという家族の思いの現れであると考えられる。看護師は家族の反応を様々な視点で捉え、家族への直接ケアや環境調整などを実践していることがわかった。