ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-600-DP48-1 バルサルバ洞動脈瘤破裂術後に生じた悪性症候群に対する1 例1)長野赤十字病院 心臓血管外科、2)諏訪赤十字病院 心臓血管外科坂口 昌幸1)、高野 環1)、毛原 啓1,2)、福家 愛1)、寺崎 貴光1)、西村 和典1)【はじめに】バルサルバ洞動脈瘤破裂術後に生じた悪性症候群に対する1例を経験したので報告する。【症例】34歳、男性。突然の息切れを主訴に来院。胸部聴診で連続性雑音を聴取。UCGで右バルサルバ洞に右室に突出する瘤を認め、同部から右室にshuntを認め、Qp/Qs.=3.6。バルサルバ洞動脈瘤破裂右室穿破の診断で翌日準緊急手術を行った。術中I型VSDも認め、瘤切除+パッチ閉鎖+VSD直接閉鎖を施行した。ICU入室直後は尿量100ml/hを維持していたが、次第に乏尿となり術後第2病日には無尿になった。酸素化の悪化、39-40℃の高熱を認めた。術後の採血でCK12000まで上昇しCr 値の上昇を認めた。術後心筋梗塞+急性腎不全+SIRSの診断で、挿管呼吸管理、CHDF等を行った。術後第5 病日に人工呼吸器から離脱したが、発熱,せん妄、低O2血症、高CO2 血症を認めNIPPV を開始した。術後第7 病日以降も発熱せん妄腎機能障害は遷延し、血清CK1000-2000 と高値が持続した。術後UCGではLOSとは考え難い所見であった。術後第12病日に、発熱,筋硬直,CKの高値より悪性症候群の可能性を考えダンドリウム75mg/日投与開始したところ、次第に解熱し血清CK値も正常化した。第14病実NIPPVから離脱、透析からも離脱し、術後45 病日に独歩退院された。なお術中から術後第7 病日までプロポフォールを、術後から第7病日までデクスメデトミジンを持続投与していた。【考察】開心術後に発症した悪性症候群の報告は、本邦では数例とまれで、多くは抗パーキンソン病治療薬中止や、術後せん妄にハロぺリドールなどの抗精神薬の投与が起因となったものであった。本症例では原因薬剤の同定は難しいが、プロポフォールとデクスメデトミジンが考えうる原因薬剤と思われた。同薬剤による悪性高熱の報告は極めてまれだが、日常診療で悪性症候群を念頭に置くことが重要であると思われた。【結語】バルサルバ洞動脈瘤破裂術後に生じた悪性症候群に対する1例を経験した。デジタルポスター 48 中毒・体温異常・悪性症候群② 2月14日(日) 11:00~12:00 デジタルポスターブース8DP48-2 重症敗血症として治療中に発症した悪性症候群の1 例1)市立函館病院 麻酔科、2)札幌医科大学 医学部 麻酔科学講座田中 清高1)、川向 洋介1)、西原 教晃1)、土屋 滋雄1)、辻口 直紀1)、山蔭 道明2)【症例】37 歳の女性。既往に知的障害、てんかんがありバルプロ酸、フルニトラゼパム、ブロモクリプチン、リスペリドン、ビペロデン、ゾテピン等を投与されていた。腹満を主訴に当院救命救急センターに搬送された。体温38℃、心拍数 140 bpm、乳酸値5.0mmol/L、CK 358 IU/L、WBC 14,600、ならびにCTで著明な腸管拡張と門脈ガスを認めたため、腸管壊死を伴う麻痺性イレウスを疑い外科入院となった。翌日40℃を超える高体温、170~180 bpm の頻脈から重症敗血症を疑い、ICU に入室させ、気管挿管下人工呼吸管理、PMX、CHDF を開始した。しかし、臨床症状の割に炎症反応の上昇が軽度なこと、入院翌日の採血でCK 18,469IU/L、ICU 入室直後で32,374 IU/Lと異常高値を認めたため、悪性症候群を疑いダントロレン80 mg/日の投与を開始した。さらに経過中にDIC も併発し治療を要した。CHDF継続により腎機能が改善したICU第6 病日になってもCK 6 万IU/L前後の高値が持続したため、細胞外液大量補充と利尿剤持続投与によるwash-out療法を開始し、それからは順調にCKは低下した。ICU第7病日に抜管を試みたが、喉頭浮腫により再挿管となった。その後、in-out バランスを調整し体重コントロールを行った上で、さらに予防的にステロイド全身投与を行いICU第13病日に抜管となった。第18病日にICUを退室し、入院68日目に転院となった。【考察・結語】重症敗血症を疑い治療を開始したが、結果的に悪性症候群であった症例を経験した。臨床症状が重複する部分が多いため、抗精神薬投与歴のある敗血症症例では本症を疑い、早期診断・治療を開始することが肝要である。DP48-3 髄膜炎と鑑別困難だったセロトニン症候群の1 例1)防衛医科大学校 救急部、2)防衛医科大学校 集中治療部井上 堂司1)、秋冨 慎司1)、寺山 毅郎1,2)、橋本 賢一2)、田中 良弘1)、高瀬 凡平2)、池内 尚司1)発熱・意識障害で搬送され脳炎・髄膜炎疑いとして治療開始したが、入院後の経過および内服癧からセロトニン症候群と診断された1症例を報告する。47 歳女性、38度台の発熱および不穏から震えが出現したため救急要請となった。病院 到着時のGCSはE1V1M5と意識障害があり、鼓膜温で41.4度の発熱と明らかな項部硬直を認め、血液所見上も白血球は14300/ μl と増加認めたため、脳炎、 髄膜炎疑いとして治療を開始した。その後の家族からの問診と近医への問い合わせで、患者は精神科に受診歴があり、睡眠剤以外にも抗うつ薬も大量に処方されていたことが判明し、セロトニン症候群、悪性症候群も追加鑑別を行った。髄液および血液培養結果から感染所見は得られず、また意識レベルが短い経過の中で急激に回復したことと、意識が戻った際に本人が大量に処方されていた薬を内服したことを告白したことから、今回はセロトニ ン症候群と診断した。初療時は患者の意識レベルが低下しており、内服状況を確認できない場合、症状のみから脳炎、髄膜炎とセロトニン症候群、悪性症候群を見分けることは容易ではない。今回、これらの鑑別および診断の観点から若干の考察を行ったので報告をする。