ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-599-DP47-4 敗血症性ショックに対しVA-ECMOを導入し救命したチアノーゼ性心疾患の一例1)宮城県立こども病院 集中治療科、2)宮城県立こども病院 心臓血管外科小泉 沢1)、楠本 耕平1)、小西 章敦2)、松川 周1)【背景】ECMOは治療抵抗性敗血症性ショックに対する循環補助の最終手段と位置づけられているが、そのエビデンスは十分ではない。小児では開胸かつ比較的高流量のECMOによって予後良好であった報告が多い。【症例】1 歳2か月、男児、体重6.8kg、体表面積0.4m2。【既往歴・手術歴】VACTER 連合(Fallot 四徴症、中間位鎖肛、椎体形成異常)、日齢1 に人工肛門造設術、2 か月で右modified Blalock-Taussigシャント(mBTS)術、1歳で肛門形成術を施行。【経過】今回、人工肛門閉鎖術の翌日夕より腹部膨満、ショックとなりICUに入室(Day1)、消化管穿孔、汎発性腹膜炎、敗血症性ショックと診断した。気管挿管、抗菌薬、輸液蘇生、循環作動薬開始後に開腹手術を実施、S状結腸に穿孔部を認め修復した。帰室後も循環動態は不安定で腹部膨満著明のため、感染源コントロールが不十分な可能性を考慮し、Day2 再開腹を行うも、腹腔内に感染源は確認できなかった。開腹創にサイロを形成し腹腔を減圧して管理した。十分な輸液・輸血と高用量の循環作動薬投与下でも左室収縮は不良となり、低血圧、徐脈にて短時間の胸骨圧迫を反復して要したため、ECMO導入を決定した。開胸下に心房脱血、大動脈送血にてvenoarterial ECMO(VAECMO)を導入、持続血液ろ過透析を併用した。mBTSに対する外科的介入は行わず、最大perfusion indexは1.4L/min/m2であった。比較的早期から循環動態は安定し、Day4約77時間でECMOを離脱した。 Day7人工呼吸器から離脱、Day9ICU退室、精神運動発達レベルは病前まで回復しDay27退院した。【考察】本症例では、治療抵抗性の敗血症性ショックに対し開胸VA-ECMO を導入し、決して多くはないECMO流量で循環は維持され救命できた。心機能低下は一過性でseptic cardiomyopathy と考えられた。感染源を制御できたことが、転帰良好の要因と考えられ、VA-ECMOによって回復までの時間的猶予が得られた。DP47-5 血液悪性腫瘍患者の重症呼吸不全3 症例に対してのECMO 使用の検討日本医科大学付属病院 麻酔科学教室森田 智教、杉田 慎二、竹田 晋浩、坂本 篤裕血液悪性腫瘍患者の重症呼吸不全は時に人工呼吸器管理が必要となり、その予後は悪い。ARDS の治療戦略が改善され患者の予後も改善されてきたが、依然として挿管を伴う血液悪性腫瘍患者の重症呼吸不全の死亡率は50%以上である。ECMOはICU患者のARDS に対して死亡率の低下などの効果を認めている。しかし成人の血液悪性腫瘍患者のARDSに対してのECMO の使用の報告は少ない。その理由としてはECMOの使用、血液悪性腫瘍は共に出血、感染のリスクが高い傾向にあり、血液悪性腫瘍患者にECMOを使用するのは注意が必要であるからと考えられる。我々は血液悪性腫瘍患者の重症呼吸不全に対してのECMOの使用を3 例経験した。症例1 はAML に対して化学療法開始後の真菌性肺炎によるARDS 発症。septic shock となりVeno - arterial ECMO開始後は心機能、呼吸機能も改善した。ECMO使用中は新たな感染、出血はないものの血小板の減少が著名であり連日の血小板輸血が必要であった。ECMO開始5 日目に離脱し、その後肺炎は改善した。症例2はB -ALL に対して化学療法後にseptic shock、DIC による肺胞出血認めVeno - artreal ECMO の導入となった。ECMO 使用中は合併症なく、循環動態の完全を認めECMO開始5日目に離脱しその後26日後にICU退室となる。症例3はAMLの患者でDICによる鼻出血のため気道閉塞を認め、循環動態、呼吸状態の安定なく、原疾患への治療による全身状態の改善を期待しVeno - artreal ECMO の開始となった。翌日より化学療法開始となったが、全身状態の改善はなく、回路内の凝固も認めたためECMO5 日目に離脱を試みた。離脱中に不整脈が頻発し、離脱困難であり死亡確認となった。今回、上記の症例を文献的考察を含め報告する。