ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-586-DP41-1 ICU病棟における重要ルート類自己抜去の要因~抜去群と非抜去群の2 群間比較より~1)富山県厚生農業協同組合連合会高岡病院 看護部 救命救急病棟、2)金沢医科大学寺井 彩1)、浦上 恵里1)、松木 健宏1)、寺井 孝弘2)【目的】集中治療領域(以下ICU)における重要ルート類の自己抜去は、生命に直接的な影響を与える危険性が高い。それ故自己抜去を未然に防ぐ必要性がある。そこで、同じ入院環境にありながら自己抜去に至る患者(以下抜去群)と至らない患者(以下非抜去群)の違いを調査し、自己抜去に関連する要因を導き出すことを本研究の目的とした。【方法】対象はH23 年4 月からH26 年3月の間に発生した抜去群34例、同時期の非抜去群40 例とした。非抜去群は無作為的に40 例抽出した。先行文献で信頼性大・中とされた挿管チューブの自己抜去に至った患者の心身の要因、ヒヤリハット報告におけるチューブ類自己抜去に関する発生要因についての大規模研究より導き出された患者要因より9項目を選択し、カイ二乗検定を行った。カイ二乗検定の結果、有意差がでた項目について項目同士の関連性を調査するため、回帰分析を行った。【結果】9 項目についてカイ二乗検定を行った結果、『JCS』(P<0.001)、『せん妄』(P<0.001)、『RASS』(P<0.001)となり、3項目については自己抜去に関連が認められた。調整済残差の結果より、JCS は1 ケタ、せん妄有り、RASS +で抜去群が有意であった。さらに先の3 項目についてステップワイズ法による重回帰分析を行った結果、せん妄とRASS を投じた時点で変数投入が打ち切られた。y =1.337+0.343(せん妄)-0.67(RASS)と得られた。R2乗値は0.264 と当てはまりの悪い回帰式が得られた。またP値はせん妄は1%有意で説明力あり、RASS は5%有意で説明力があるとされた。【結語】重要ルート類を抜去する患者側要因として『せん妄有』『RASS +』『JCS1 ケタ』が挙げられ、その中でも、『せん妄有』は特に自己抜去との関連性が強いと示唆された。デジタルポスター 41 医療安全 2月14日(日) 11:00~12:00 デジタルポスターブース1DP41-2 当センターにおけるCAM-ICUの評価と挿入物の自己抜去の関連についての検討1)兵庫県災害医療センター 看護部、2)兵庫県災害医療センター 救急部高砂 伊代1)、津田 雅美1)、足立 久美子1)、井上 明彦2)当センターは、独立型救命救急センターであり病床数30床、うちICUが12床である。せん妄は、重篤な患者での発生率が高く、当センターICU入室患者の多くも不穏・せん妄を来たすことが多い。そのため、重症患者の確実で安全な医療・看護の提供において、せん妄対策は重要な因子である。しかし、当センターでは、不穏・せん妄に対する評価ツールを使用しておらず、統一した評価・対応のための評価スケールの導入の検討が必要であった。そこで、2011 年にワーキンググループを立ち上げ、鎮静スケール(RASS)を導入した。そして、2013年より疼痛スケール(BPS、NRS、PRS)の使用を開始し、2014年よりせん妄スケール(CAM-ICU)の導入に至った。そこで今回、CAM-ICU導入前後での挿入物(挿管チューブ、気切チューブ、胃管カテーテル、動脈ルート、中心静脈カテーテル、末梢静脈ルートを対象とする)の自己抜去件数を比較し、CAM-ICU の評価と挿入物の自己抜去の関連について検討した。【方法】ICU入室患者を対象とし、インシデントレポートをもとにCAM-ICU導入前の2013 年2月~2014年2月までの1年間と、導入後の2014年3月~2015年3月までの1年間の挿入物の自己抜去件数を比較した。【結果】CAMICU導入前:26 件、導入後:25件であり、挿入物の自己抜去の件数は減少を認めず、有意差はなかった。また、導入後における挿入物の自己抜去時のCAM-ICUの陽性・陰性の有無を比較すると、陽性:49%、陰性:43%、不明:8%と有意差はなく、CAMICUが陰性であっても自己抜去はみられており、CAM-ICU のスケール評価だけでは予防できない結果となった。【考察】CAMICUの評価と挿入物の自己抜去の関連については、評価ツールの活用だけでなく、患者の個別性の分析と異なるせん妄の知識・ケアの充実・向上が課題である。また、CAM-ICU の評価が全ての疾患に対して妥当性はあるか、正確性があるかの検討が必要と考えられる。DP41-3 チューブ類計画外抜去の前駆症状に対する看護師の認識の違いと行動制限の臨床判断国立病院機構千葉医療センター 看護部永野 何奈、新井 洋、田中 由見子、森口 裕美、亀崎 智都江【目的】計画外抜去発生時とその前の勤務帯での看護師の前駆症状の認識、行動制限への臨床判断の違いに伴うチューブ類計画外抜去との関連性を明らかにする。【研究方法】計画外抜去発生時の8症例の受け持ち看護師(以下当事者)、発生前の受け持ち看護師(以下前勤務者)へ患者の前駆症状の認識や行動制限に対するアセスメントについて半構成面接法を用いて調査した。【倫理的配慮】所属機関の倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】前駆症状を認識していたのは前勤務者8人中6人、当事者では2人であった。前勤務者で行動制限を検討したのは4症例あり、いずれも前駆症状を捉え3人が行動制限の継続、1 人が行動制限を解除した。当事者で行動制限を検討したのは3症例あったが、前駆症状を捉えていたのは2人、3症例すべてで行動制限の変更または解除を行い計画外抜去に至っていた。行動制限の解除時間を設けず両勤務帯を通して行動制限を実施していた症例は3症例あり、患者はいずれも計画外抜去や拒否的な態度へと移行した。【考察】行動制限の解除は前駆症状の軽快につながるが、それを看護師が行動制限に伴う一時的な興奮であったと捉えてしまうと、計画外抜去の要因になると考える。しかし、行動制限の継続した実施は前駆症状を進行させ、患者の拒否的な態度は看護師が行動制限の変更、解除を考慮する判断要因になったと考える。行動制限を解除することで、前駆症状の進行するリスクは低下できるが、計画外抜去のリスクは高まるため、患者の安全性と前駆症状の緩和を考慮した行動制限の実施が必要と考える。【結論】行動制限の変更や介助に伴い前駆症状が軽快してもそれは一時的な物であり、計画外抜去のリスクはある。