ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-580-DP38-1 敗血症管理における低血糖と転帰の関係日本大学 医学部 救急医学系 救急集中治療医学分野古川 誠、木下 浩作【背景】敗血症治療中の血糖管理の重要性は知られているが、低血糖を呈し転帰不良のものが存在する【目的】来院時及び入院中に低血糖を呈した敗血症症例の転帰を検討する【対象】2011 年から12 年に当施設に入院した敗血症症例117 例【方法】来院時及び入院中に血糖値を測定し、来院時血糖値及び入院中最低血糖値70mg/dl 以下を低血糖群とし、各々の死亡率を検討した。入院中の血糖値目標は120~180mg/dlとし、高血糖時はインスリンの持続注射もしくは皮下注射を行った。【結果】来院時は低血糖群10例で死亡率80.0%、非低血糖群は死亡率29.9%で、有意差(p=0.0014)を認めた。入院中は低血糖群40 例、非低血糖群77例、死亡率はそれぞれ52.5%と24.7%で有意差(p=0.0029)を認めた。インスリン使用下での低血糖発生例5例中死亡例は1例だった。【考察】敗血症のような生体侵襲時には高血糖になることが一般的であり、低血糖状態は内分泌や糖新生等の生体システムに異常があるものととらえる必要がある。低血糖は転帰不良の原因ではなく結果としてとらえ、単全身的な精査と介入が必要と考える。【結語】経過中に低血糖を認めた敗血症症例は転帰が不良である。低血糖は生体システム障害の指標として考える必要がある。デジタルポスター 38 多臓器不全・敗血症③ 2月13日(土) 13:30~14:30 デジタルポスターブース8DP38-2 敗血症患者における予後と栄養関連マーカーとの関連性について大阪大学 医学部附属病院 高度救命救急センター竹川 良介、清水 健太郎、小倉 裕司、嶋津 岳士【背景】重症患者の予後を改善する上で早期からの栄養管理が重要と考えられており、栄養管理の生化学的指標としては血清総蛋白(TP)、アルブミン(Alb)、中性脂肪(TG)、コレステロール(Chol)、コリンエステラーゼ(ChE)などが用いられている。重症患者の急性期において、これらは低値を示す場合が多く、急性期の栄養状態や予後を規定する指標は十分に検討されていない。そこで我々は、重症患者における急性期の栄養状態や予後を規定する指標を確立することを目的に検討を行った。【方法】2011 年4 月より2015年7 月までの間に当院高度救命救急センターに入院した敗血症患者で7 日以上生存した症例を対象として、カルテを後方視的に観察した。観察項目は第14 病日までのTP、Alb、TG、ChE、T-Chol、HDL-Chol、LDL-Chol の継時的変化で、これらと予後との関係性を検討した。【結果】各栄養関連指標の第1、7、14日の継時的変化に関しては、Alb2.6±0.8、1.9±0.7、1.8±0.8 g/dl、TPも同様に6.1±1.2、5.0±1.2*、5.2±1.3* g/dlと有意に低下した。ChEに関しては、140±70、120±66、102±67* U/Lと有意に低下した(平均±標準偏差、*P<0.05 vs.第1病日)。それ以外の指標では有意な変化は認められなかった。次に、各栄養関連指標の第14病日までの最低値と生死との関係を解析したところ、LDL-chol 47±2.6 vs 27±5.6* mg/dl、HDL-Chol 20±1.1 vs.13±11* mg/dl、Alb 1.8±0.64vs.1.2±0.47*g/dl、TP 4.5±1.2 vs.3.4±1.0*g/dl、T-chol 95±37 vs.70±30* mg/dl、TG 79±45 vs.68±37 mg/dl、ChE 110±61 vs.69±39* U/L(平均±標準偏差、*P<0.05生存群vs.死亡群)と、TG以外においては生存群と死亡群の間に有意な差を認めた。【考察・結語】敗血症患者において、Alb、TP、ChEは経過とともに低下することがわかった。各種栄養関連指標の値は、生存群と死亡群では有意差を認めており、予後指標として役立つ可能性がある。DP38-3 敗血症早期の運動介入はPGC-1 αを介して脂質代謝と生存率を改善する1)日本医科大学大学院医学研究科救急医学分野、2)京都大学大学院医学研究科初期診療・救急医学分野、3)京都大学大学院農学研究科食品生物科学専攻栄養化学分野苛原 隆之1,2,3)、佐藤 格夫2)、大嶽 康介1,2)、齋藤 龍史2)、角田 洋平2)、森 智治2)、大鶴 繁2)、井上 和生3)、小池 薫2)、横田 裕行1)【目的】敗血症発症後早期に運動することが病態にどのような影響を与えるかは分かっていない。本研究ではマウス敗血症モデルに急性期における低強度の運動を課し、エネルギー代謝動態や生存率の変化を調べた。また脂質代謝に重要な役割を持つPGC-1αの発現の変化も調べた。【方法】C57BL/6マウスに生食(C; control群), 1mg/kg(L; low dose 群), 5mg/kg(M; medium dose群),10mg/kg(H; high dose群)のLPS を腹腔内投与し敗血症モデルを作製した。その後絶食とし、呼気ガス分析による間接熱量測定を72 時間施行してエネルギー代謝動態の変化を測定した。さらに各群に急性期の低強度トレッドミル運動を課し、運動介入による生存率と代謝動態の変化を調べた。また、LPS 投与後16時間の肝臓におけるPGC-1 αのmRNAとタンパク質の発現を、定量PCRおよびウエスタンブロットにて測定した。【結果】運動介入によりH群の生存率が有意に改善した(100% vs 50%, p<0.05)。間接熱量測定ではM群およびH群でLPS投与後16時間の急性期FAOが有意に抑制されていたが、運動介入により全ての群で上昇する傾向をみとめた。またH群の生存例の急性期FAOは死亡例に比して有意に高く、生存率と急性期FAOとの関連が示唆された。PGC-1 α発現は安静時には敗血症群で有意に低下していたが、運動介入によりほぼ全ての群で有意に上昇していた。すなわち敗血症急性期の低強度の運動によりPGC-1α発現が活性化され脂質代謝が改善することが、生存率改善に寄与していることが示唆された。【考察及び結論】敗血症発症後の急性期の運動介入が病態そのものに対する治療的効果を持つ可能性があるというのは、全く新しい画期的な知見である。また、PGC-1 αを活性化する他の介入にも同様の効果を得られる可能性があり、臨床における重症患者への栄養療法にも応用可能と思われる。