ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-579-DP37-4 譫妄を発症したsepsis患者に対する機能予後影響因子からみたリハビリテーションの役割1)北里大学病院 リハビリテーション部、2)北里大学 医学部 救命救急医学宮崎 道輝1)、片岡 祐一2)、見井田 和正1)、神應 智道2)、服部 潤2)、浅利 靖2)【背景】sepsis患者における譫妄の発症は,全身性炎症反応症候群の結果生じた瀰漫性脳障害と考えられており,長期的に生存した患者において認知機能障害の発生につながると考えられている.【目的】ICU入室中に譫妄を発症したsepsis患者の機能予後に影響を与える因子を抽出し, リハビリテーションの役割を検討する.【対象・方法】2014年5月~2015 年7月に当院ICUに入院したsepsisの診断となった内科・外科患者(除外:脳血管障害,認知症,精神疾患有)でリハビリ処方があった53例中,CAM-ICUで譫妄有の評価となった43例を対象に,予後指標を退院時ADL自立度評価尺度(Functional Independence Measure:FIM)とし, 背景因子, 重症度, 鎮静・鎮痛薬の使用・期間・投与量, 代謝障害, 人工呼吸管理期間,譫妄分類・期間,リハ開始・初回離床・歩行までの期間との関係について相関係数を算出し,退院時FIM規定因子を重回帰分析で抽出した.【結果】退院時FIM と有意な相関を認めた因子は,septic shock, 譫妄期間, 総譫妄/ 昏睡フリー日数%,ICU退室時譫妄の有無,ICU 在室期間,人工呼吸器管理期間,最低P/F値,リハビリ開始までの日数,離床の有無,歩行訓練の有無であった. 重回帰分析より,歩行訓練の有無(30例),ICU退室時譫妄の有無(10例),人工呼吸器管理期間(11.7± 16.2日),総譫妄/昏睡フリー日数%(27.5±23.2%),septic shock(38例)の順に退院時FIM の有意な規定因子であった(R2=0.636).【考察】譫妄を発症したsepsis 患者の重症度や退室時譫妄の存在は機能予後に影響をもたらす因子であると考えられ, 人工呼吸器からの早期離脱や譫妄/ 昏睡フリー日数を増加させる為の早期リハビリ介入を多職種で行う必要があることが示唆された.DP37-5 ICU 多職種カンファレンス導入による早期離床促進に及ぼす効果1)水戸協同病院 リハビリテーション部、2)筑波大学附属病院水戸地域医療教育センター 救急・集中治療科、3)水戸協同病院 看護部、4)水戸協同病院 臨床工学部中川 義嗣1)、長谷川 隆一2)、高木 雅生2)、柏 俊一1)、土子 紗也香1)、坂田 薫1)、辻村 悠1)、吉田 和歌子1,3)、長津 貴子3)、丸岡 正則4)【背景】早期離床には,疾患の重症度や医学的安静度,離床判断力などが関与するとされ,治療方針の共有や多職種の協調的な介入が重要である.当院は6床のOpen ICUを有する2次救急病院であるが,ICU専従医師の着任に合わせ,迅速で効率的な診療を目的に,多職種によるカンファレンス(以下,多職種カンファ)が毎朝開催され,2014年8月より理学療法士も参加することとなった.そこで,理学療法士の参加前後における離床及び退院等に要した期間を調査・比較し,ADL回復や社会復帰に及ぼす多職種カンファの効果と有用であった要因について検討することとした.【方法】対象は,2015/4/1~2015/12/28の間に当院ICUへ入室した患者で,ICUに3日以上在室し脳・心臓・整形外科疾患の各クリティカルパス非適用の者を対象とした.対象患者は,理学療法士の多職種カンファ参加前(4/1~7/31:以下,カンファ前)と,参加後(9/1~12/28:以下,カンファ後)に群分けし,ICU 入室からリハビリ介入,端座位・立位・歩行開始,ICU 退室,退院までに要した期間を比較した.統計解析は,SPSS Statistics Base(Ver.23,IBM)を用いShapiro-Wilk検定の後,Mann-Whitney検定により両群間を比較した.有意水準はp<0.05とし,値は中央値(第1-第3 分位)で示した.【結果】対象は,カンファ前群28 名,カンファ後群21名,平均年齢75.3±14.4 歳であった.ICU 入室からリハビリ介入開始までの期間は,カンファ前群4日(3-6)に対し,カンファ後3日(2-3)と有意に短縮した(p<0.001).他方,ICU入室から端座位・起立・歩行開始及び,ICU退室,退院までの期間については,有意差を認めないものの全てにおいてカンファ後群で短縮する傾向であった.【考察】多職種カンファへの理学療法士の参加は,リハビリ開始のみならず,その後の離床促進や入院期間短縮に効果的であった.離床に対する多職種間の協力や効率的な診療方針の立案が有用であったと考える.DP37-6 ICU 専任理学療法士配置前後におけるICU 入室患者の在院日数の比較検討1)群馬大学医学部附属病院 リハビリテーション部、2)群馬大学医学部附属病院 集中治療部山口 裕臣1)、戸部 賢2)、菅谷 知明1)、長谷川 信1)、田澤 昌之1)、日野原 宏2)、国元 文生2)、和田 直樹1)【背景】近年、集中治療患者の早期リハビリテーションによりICU滞在日数、在院日数の短縮などが報告されており、早期離床介入の重要性が高まっている。当院では2014 年7 月よりICU専任理学療法士(physical therapist;PT)を配置し、早期からのリハビリ介入が可能となった。ICU専任PTの役割は、毎朝の他職種合同カンファレンスで離床介入を含めた治療方針の決定、リハビリ対象患者の選択、リハビリ介入患者の進捗状況の伝達、リハビリ診療を行うことである。運用を開始し約1年が経過したので、専任PT 配置前後のICU 入室患者のICU 滞在日数、在院日数などを調査した。【対象・方法】対象は、専任PT 配置前の2012 年10月から2013年3月の6か月間と配置後2014年10月から2015年3月の6か月間にICU入室し生存退院した患者とした。方法としては、専任PT配置前と後の2群間でのICU入室経路(院外、院内急変、予定手術後)、ICU入室時における重症度(acute physiologyand chronic health evaluation 2 score:APACHE2)、院内死亡率、ICU滞在日数、在院日数を後ろ向きに抽出し検討した。【結果】専任PT配置前の入室患者数は319名で、入室経路別割合は、院外・院内・予定手術後の順に、27.0、12.5、60.5% であった。PT配置後の入室患者数は493 名で、その割合は、31.9、16.4、51.7% であった。入室時のAPACHE2 は、前12.4 点、後13.3 点で、平均ICU滞在日数は前3.9日、後4.8日であった。院内死亡率は、前13.0%、後9.9%で、退院までの平均在院日数は、前33.2日で後30.9日であった。【考察】ICU運営ベッド数が11床から17床へ増床となったため、入室患者数の増加はあったが、専任PT配置後では、予定手術患者の割合の減少、入室時平均APACHE2スコア上昇にもかかわらず、平均在院日数は減少した。今後更なる調査が必要ではあるが、ICUに専任PTを配置し、早期からリハビリ介入を積極的に行ったことも在院日数の短縮に寄与した可能性もある。