ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-578-DP37-1 ICU の人工呼吸患者における抜管後の器械的排痰補助(mechanical insufflation-exsufflation,MI-E)の有用性1)聖マリアンナ医科大学病院 リハビリテーション部、2)聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 リハビリテーション部、3)川崎市立多摩病院リハビリテーション科、4)聖マリアンナ医科大学救急医学横山 仁志1)、堅田 紘頌1)、渡邉 陽介1)、松嶋 真哉2)、中田 秀一3)、森澤 健一郎4)、柳井 真知4)、高松 由佳4)、津久田 純平4)、平 泰彦4)【目的】器械的排痰補助(mechanical insufflation-exsufflation,MI-E)は, 神経筋疾患を中心とした呼吸筋や咳嗽弱化例の気道クリアランスに有用視されている.近年,集中治療領域においてもその有用性が広がりつつある.そこで本研究では,ICUの人工呼吸患者における抜管後のMI-Eの有用性を検証した【. 方法】対象は2014年8月から2015年7月までの期間に当院ICUに入院した挿管下人工呼吸患者である.取り込み基準は,顔面,気道・胸部外傷がない18歳以上の成人で,48時間以上の人工呼吸療法を必要とした症例で自発呼吸試験を完遂したものとした. そのうち抜管後に呼吸リハのみを実施した症例(CR 群)と呼吸リハにMI-E を併用した症例(MI-E 群)に分け,MI-E の効果を後方視的に検証した. 調査項目は, 対象の基本属性,抜管前の各呼吸指標と抜管後48 時間以内における再挿管の有無, 痰による気管支閉塞の有無, 胸部画像所見による無気肺・肺炎の有無,NPPV・high flow therapy(HFT)使用の有無,P/F ratio, そしてventilator free days(VFD),ICU滞在日数,抜管後ICU滞在日数とし, 両群間で比較検討した.【結果・考察】CR 群(25 例),MI-E群(21例)の年齢(68±14 歳vs68 ± 15 歳),SAPS2(52 ± 15vs57 ± 17), 抜管前の各呼吸指標, 初回抜管日(4 ± 3 日vs5 ± 4 日)は両群間で差を認めなかった. また,NPPV・HFT使用率(32%vs29%),VFD(22±6日vs22±5日),ICU滞在日数(8±7日vs7±5日)にも有意差は認められなかった.しかし,再挿管率(16%vs5%),痰による気管支閉塞の併発率(28%vs10%),抜管後ICU滞在日数(5±6日vs2±2日)では有意差を認めないもののMI-E 群で低値を示し, 無気肺・肺炎の併発率(36%vs10%),P/F ratio(238 ± 81vs351 ± 119)では両群間に有意差を認めた(p <0.05). 以上のことから,ICUの人工呼吸患者における抜管後のMI-Eの併用は,無気肺・肺炎ならびに痰による気管支閉塞の回避, 酸素化の早期改善, 再挿管予防, 抜管後ICU 滞在期間の短縮に寄与する点で有用と考えられた.デジタルポスター 37 早期離床・リハビリテーション② 2月13日(土) 13:30~14:30 デジタルポスターブース7DP37-2 当院ICUにおける人工呼吸器離脱困難症例へのアプローチの分析1)飯塚病院 リハビリテーション部、2)飯塚病院 集中治療部田中 雅也1)、江里口 杏平1)、坂本 智代1)、横手 翼1)、安達 普至2)、鮎川 勝彦2)【背景】人工呼吸器管理指針ABCDE バンドルでは理学療法士は早期離床を担う。当院でもICU 専従理学療法士が重症患者へ365日を通して早期離床、加えて身体所見に基づく呼吸理学療法で、呼吸管理と人工呼吸器離脱へ支援している。その中で呼吸器離脱に難渋する症例(以下、離脱困難症例)では、日々の状態から個々に目的・アプローチ手段を選択し、指標を設け離脱可能か予測を行ってきた。【目的】離脱困難症例の転帰と呼吸理学療法上で重要視した点、実施したアプローチ、離脱判断指標を検討すること。【対象と方法】2014年4月1日から2015年7月31日に当ICUで気管内挿管を行った人工呼吸管理(以下IMV)のもと理学療法を実施した患者のうち、最終的にICU在室中にIMVを離脱した離脱困難症例48名を対象とした。離脱困難症例の定義はIMVの開始から1 週間以上継続した患者(1)、1週間以内に一度抜管するも再挿管を要した患者(2)とした。以後の経過で最終的に気管切開術を回避できた群(A)と気管切開を要した群(B)に分類し、1A群27 名、1B群12 名、2A群4 名、2B群5 名とした。各患者のアプローチと離脱の判断指標、IMV期間を各グループで検証した。【結果】呼吸理学療法で重要視した点は1Aおよび2Aで肺うっ血や胸水の影響、1B は無気肺、2A は2B で理学所見上の呼吸筋力低下がそれぞれ多かった。平均IMV期間(日)は1A 10.2、1B 19.8、2A 7.6、2B 21.2 で、B 群で長期化する傾向であった。A群では離床が最適であったケースが多く、B群では体位ドレナージや上肢自動運動が欠かせない者が多かった。離脱判断指標としてはほぼ全例で動的コンプライアンスを用いていた。【結論】無気肺や呼吸筋力低下を認めた患者は、最終的に気管切開を行われているケースが多く、今後アプローチ内容をそれぞれ強化する必要が考えられた。DP37-3 当院ICUにおける挿管下人工呼吸器装着患者に対する早期リハビリテーションと鎮静剤総投与量との関連性1)神戸市立医療センター中央市民病院 リハビリテーション技術部、2)神戸市立医療センター中央市民病院 救急部西原 浩真1)、岩田 健太郎1)、小柳 圭一1)、前川 利雄1)、瀬尾 龍太郎2)、朱 祐珍2)[目的]当院ICUにおいて、専従理学療法士(PT)の導入前後で挿管下人工呼吸器装着患者に対する早期リハビリテーション(リハ)と鎮静剤総投与量との関連性を調査報告する.[対象と方法]当院ICU入室後に挿管下人工呼吸管理が3 日以上経過した患者群を対象とし、専従PT 導入後である2014年5~12月までの連続135 例(専従群、 65.8± 17.7歳)と導入前の2013 年5~12月までの連続91例(非専従群、 66.8±16.4歳)の2 群間でICU入室期間、リハ開始までの日数、離床までの日数、人工呼吸器装着(MV)期間、Ventilator-Free-Days(VFD)、肺合併症罹患率、ICU内での離床率、在院日数、鎮静剤3剤(プロポフォール、ミダゾラム、デクストメデトミジン)の総投与量に関して比較検討した.[結果]専従群は非専従群と比較して、 鎮静剤総投与量は2 群間において有意差は認めなかった.しかし有意にリハ開始までの日数は早く(1.2± 1.3 vs 2.5 ±1.8日 p< 0.001)、離床開始までの日数が早かった(3.2 ± 3.8 vs 4.4 ± 5.0 日 p=0.002). またVFD は長く(18.5 ± 7.5 vs 15.1 ± 9.2 日 p=0.003)、肺合併症罹患率(31.1% vs45.1% p < 0.05)が低かった. 更に、離床率(73.3% vs 54.9% p=0.004)が高くなり、在院日数は短縮した(28.9 ± 26.3 vs 33.8 ±27.9 日 p=0.008). [考察]今回当院ICU において鎮静剤3 剤の総投与量に有意差は無く、医師の使用用途も同様であった. 一方で専従PT導入後、 挿管下人工呼吸器装着患者の訓練頻度が増加し、リハ開始と離床開始が早まり、ICU内での離床率が上昇していた.効率的なリハ介入により日中の覚醒と活動度が維持され、VFDの延長や肺合併症罹患率が有意に低下したと考える.[結論]研究仮説と異なり、専従PT導入前後において鎮静剤総投与量は減量していなかった.しかし、専従PT導入後は合併症の予防と概日リズムを保つことが可能となった.