ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-573-DP34-4 覚醒剤使用歴のある患者に発症した動揺性の意識障害を伴った特発性血栓性血小板減少性紫斑病の一例東海大学医学部付属病院 総合内科桑野 公輔、石原 徹、小松 昌道、沖 将行、柳 秀高、小澤 秀樹、高木 敦司症例は39歳男性。覚醒剤使用で逮捕歴がある患者。入院前日、頭痛を主訴に受診中に異常行動出現したため警察署内の留置所に拘留されていた。入院当日、留置所内で痙攣しているところを発見され当院搬送となった。来院時、JCS 200 の動揺性意識障害を認めていたが、尿中トライエイジは陰性であった。検査所見は血小板 8000 /μl、Hb 9.5 g/dl、血清Cr 2.57 mg/dlであった。上記所見に加え末梢血中に多数の破砕赤血球認めたため血栓性微小血管障害症(TTP)疑いの診断で緊急入院となった。入院後、気道確保目的に人工呼吸器管理開始した後、直ちに血漿交換(PE)およびステロイド投与開始。第4 病日には意識改善および2日連続の血小板数正常化認めたためPE中止となったが、意識変容および血小板減少出現したためPE再開となった。これは新鮮凍結血漿投与(FFP)によるbooster 効果によりADAMTS 13 インヒビターに対する抗体産生が亢進された結果と考えられた。入院時提出したADAMTS13 活性 < 0.5 %およびADAMTS13インヒビター定量3.2 BUであり特発性TTP の確定診断となった。PE継続に加え第9病日よりステロイドパルス療法施行するも血小板、LDHおよび破砕赤血球数改善認めなかったため院内の倫理委員会の承認を得て、リツキシマブ375 m 2/ 週× 4 回の投与開始。その後、徐々に意識状態改善認め、第14 病日には血小板数> 15 万/μ lと改善認め全身状態安定認め第63 病日退院となった。諸外国のガイドラインでは難治性TTP に対しリツキシマブが推奨されている。本症例でもリツキシマブ投与後より各種検査所見および意識障害改善認めており有効と考えられた。治療後に測定したADAMTS13活性およびインヒビター定量は正常化しており、症状再燃も認めていない。覚醒剤使用歴のある患者に発症した動揺性の意識障害を伴った特発性TTP の一例を経験したので若干の考察を交えて報告する。DP34-5 Secondary TTP 病態におけるトロンボモジュリン製剤の有効性日立総合病院救命救急センター 救急集中治療科中村 謙介、高谷 信宏、大道寺 洋顕、大島 和馬、徳永 蔵人【背景】TTPはvWF 多重体を切断するADAMTS13 の酵素活性の低下により微小血管内皮にてずり応力を生じ血小板凝集、血栓をきたす病態である。ADAMTS13 活性が著減しADAMTS13 inhibitor 陽性となる定型的TTP と、原病に併発しADAMTS13 活性低下が軽度に留まるsecondary TTP があり、septic DIC などにおいて後者をきたし臓器不全を合併することがしばしばみられる。トロンボモジュリン製剤rTMは血管内皮障害を改善させることでTTP を軽快させる可能性があり、これまでにrTM 単剤で軽快したTTP症例を報告している。今回我々は、自施設においてsecondary TTP病態に対して使用したrTMの有効性に関して検討を行った。【方法】当院救命救急センターに2013 年4 月~2015 年3 月に入室し、1.破砕赤血球を伴う溶血性貧血(Hb < 12g/dl以下)2.血小板減少(< 100× 103/μ L)3.ADAMTS13活性< 50%を満たした症例を抽出し、後ろ向きに解析を行った。【結果】16 人(男性8 人女性8 人、75.0 ± 11.7 歳)がinclusion し、全員がKDIGOstage2 以上の腎障害、DIC を伴っていた。rTM 投与群11例とrTM 非投与群5 例を比較し、背景疾患や重症度などbasic characteristics に有意差はなかった。TTP 治療の重要なoutcome である血小板に関して、3.3 ± 2.6 → 11.3 ± 14.6 vs 3.5 ± 3.7 → 5.7 ± 3.9 (x1000/ μ l)とrTM 投与群で有意に血小板数の増加が認められた(p=0.034)。【結論】TTPは血管内皮障害を介して血中TM値が非常に高値となる病態として知られる。また血中TM値高値の症例ほどrTMは血管内皮障害を軽減させ投与意義があると考えられる。TTP 病態にrTMは血管内皮障害軽減を介して有効であると考えられた。DP34-6 口腔癌術後における深部静脈血栓症の発生頻度と危険因子の検討1)群馬大学 大学院 医学系研究科 顎口腔科学分野、2)群馬大学医学部附属病院 歯科口腔・顎顔面外科、3)群馬大学医学部附属病院 集中治療部、4)群馬大学大学院医学系研究科 麻酔神経科学小板橋 敦1)、宮崎 英隆2)、高山 優2)、小川 将2)、牧口 貴哉2)、國元 文生3)、齋藤 繁4)、横尾 聡1,2) 【目的】外科手術における術後肺血栓塞栓症は重篤な合併症のひとつであり,その主原因は深部静脈血栓症(以下DVT)である.今回,口腔癌術後におけるDVTに関する臨床的検討を行ったのでその概要を報告した.【方法】2010 年1月から2013 年7 月に当科で加療を行った口腔癌の手術症例229 例を対象に,術後30 日以内に認められたDVT の発症率,身体要因および手術要因の比較を行った.高リスク群105 例に対しD-dimer,FDP のモニタリングを行い,カットオフ値の検討を行った.【結果】12例に深部静脈血栓を認めた(発症頻度5.2%).ICS(2002)の一般外科手術の発症率25%に比較し極めて低かった.再建術を伴う手術での発症が多く,比較的低侵襲の手術後発症例は血栓症リスク因子の高い既往を有していた.DVT発症群が非発症群と比べて,手術時間,出血量,術後2~7 日目のD-dimer,FDP で有意差を認めた.術後2 日目以降にD-dimer が8 μ g/ml,またはFDP が18 μ g/ml 以上で,かつ検査値の上昇傾向を示す患者を陽性,それ以外を陰性とすると,DVT診断の感度100%,特異度94% であった.これらの症例の治療はいずれも循環器内科対診のうえ,早急な抗血栓薬の投与を行い,予後は良好であった.【考察】口腔癌手術は全例ヘパリン予防投与を行うほどDVT 発症は高頻度ではないが,当科では術後2 日目以降にD-dimer が8 μ g/ml,またはFDPが18 μ g/ml以上で,かつ検査値の上昇が継続する患者には画像検査施行前に低用量ヘパリンの先行投与を行うことで,DVT の早期治療を行っている.【結論】口腔癌手術では一般的なDVTリスクはもとより,再建を伴う長時間手術を行うにあたり,常にDVTの可能性を念頭に置く必要がある.