ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-571-DP33-4 気管挿管後声門下狭窄症3 症例の検討1)長野県立こども病院 麻酔科、2)長野県立こども病院 小児集中治療科阿部 世紀1)、佐藤 公則2)、天笠 俊介2)、北村 真友2)、笠井 正志2)、松井 彦郎2)【背景】気管挿管後の声門下狭窄症は、近年では比較的稀となってきたが、依然として報告例が散見される。当院でも、最近、3症例を経験したので報告する。【症例】症例1.3歳女児。身長88cm、体重11.8kg。2相性脳症による痙攣重責のため、症例2.1ヶ月男児。身長58cm、体重4.9kg。急性細気管支炎による呼吸不全のため、症例3.3ヶ月男児。身長53cm、体重3.2kg。ダウン症で心室中核欠損症の根治術のため、それぞれ気管挿管人工呼吸管理となった。気管チューブのサイズ・種類、リークの有無、気管挿管期間、気管挿管回数、声門下狭窄の程度(Cotton-Myer 分類)、抜管後再挿管までの期間、転帰を下表に示す。【考察】3例とも、気管チューブ周囲のリークがない太いサイズを使用していた。気管挿管期間は長く、気管挿管回数も複数回に及ぶが、2症例は抜管後の再挿管に伴っていた。抜管後に呼吸症状が悪化するまでの期間には幅があり、注意を要する。【結語】3例中2例が気管切開を要しており、気管チューブのサイズは慎重に選択する必要がある。DP33-5 EMG 気管チューブ抜管後に喉頭浮腫による気道狭窄を認めた4 例1)山口大学 医学部 附属病院 集中治療部、2)山口大学医学部麻酔・蘇生・疼痛管理学分野勝田 哲史1)、松田 憲昌1)、藤原 康弘1)、上田 晃志郎1)、松本 聡1)、若松 弘也1)、松本 美志也1,2)EMG気管チューブ(以後EMGT)は声帯の筋線維に誘発される活動電位をモニタするための挿管チューブである。EMGT 抜管後に喉頭浮腫による気道狭窄を発症した4 例を経験した。【症例1】40歳代、男性。頭蓋内微小血管減圧術を施行し、手術室で抜管してICUに入室した。上気道の狭窄音と呼吸困難感が続き術後1日目に喉頭浮腫を認め再挿管した。ステロイドの投与とフロセミドの持続静注を行い、術後7 日目に浮腫の軽減を確認して抜管した。【症例2】70歳代、女性。頭蓋内微小血管減圧術を施行し、手術室で抜管してICUに入室した。上気道の狭窄音があり術後1日目に右披裂部に浮腫を認めステロイドの投与を開始した。術後3 日目のICU 退室時には症状が改善した。【症例3】40 歳代、男性。甲状腺全摘術、頸部郭清術を施行した。術後に両側披裂部に浮腫を認め挿管のままICUに入室した。術後2日目に気管切開を施行し、術後13日目に浮腫の改善を認め気管切開チューブを抜去した。【症例4】70歳代、女性。甲状腺全摘術、頸部郭清術を施行した。術後に手術室で抜管し一般病棟に帰室したが、呼吸苦の訴えがあり、披裂部の浮腫を認めたためICU に入室し、直ちに挿管した。術後1日目に浮腫は改善し抜管した。【考察・まとめ】当院では2013 年3 月から2015年7月まで、37例に対しEMGTを使用し、4 例(10.8%)に喉頭浮腫を認めた。一般的に抜管後喉頭浮腫の発生率は2.3~6.9%で、高齢者、女性、36時間以上の挿管等で多いとされている。しかし、今回の4 例の手術時間は5~7時間で挿管時間も短く、年齢、性別も様々であった。当院の手術時に使用している挿管チューブはポリ塩化ビニルで形成されているのに対しEMGT はシリコーン樹脂で形成され、またサイズが等しいチューブの外径を比較するとEMGTはより太い特徴があり、浮腫の原因の可能性がある。EMGTを使用する手術では時間、年齢、性別に関係なく抜管後の喉頭浮腫に注意する必要があると思われる。DP33-6 当院救命救急センターにおける遅発性気管切開術後気道狭窄に関する検討日本医科大学千葉北総病院 救命救急センター久城 正紀、齋藤 伸行、八木 貴典、阪本 太吾、岡田 一宏、中山 文彦、本村 友一、益子 一樹、原 義明、松本 尚【はじめに】気管切開術後の晩期合併症として術後気道狭窄は稀に経験される病態である。この遅発性気道狭窄を発症した場合、治療や日常管理に難渋することが多く、気道の問題であるため致命的となり得る。【目的】気管切開術後の遅発性気道狭窄の特徴を明らかにすること。【方法】2012年1月1 日から2015 年8月31日に当科で気管切開術を施行した252例中、遅発性気道狭窄を発症した5例(1.9%)を対象とし、遡及的に発生要因、治療・管理について検討した。気管切開術は、すべて救命救急センター所属の外科医により外科的手技が選択された。【結果】症例の内訳は男性3例、女性2例、平均年齢59.2歳(41-84)であった。原疾患は4 例が胸部外傷による呼吸不全、1例が頭部外傷による遷延性意識障害であった。気管切開術は、平均第5.8 病日(3 - 5)に施行され、気道狭窄症状は、気切カニューレ抜去後、平均10.2日(1 -20)で出現していた。気道狭窄の原因は気切部瘢痕狭窄が2 例、気切部肉芽形成が2例、声門下肉芽形成が1例で、肉芽形成の原因には直接外傷による輪状軟骨損傷が疑われた。【考察】当院救命救急センターでの気管切開術後の遅発性気道狭窄発生率は1.9%と低かった。その要因としては、瘢痕狭窄と輪状軟骨損傷が挙げられた。しかし、事前に診断することはできず、結果として狭窄症状により発見された。【結語】気管切開後の遅発性気道狭窄の要因は、単純な瘢痕狭窄だけではなく、外傷に起因することがある。今後は早期診断により気道狭窄を回避することが可能かどうかについて検討する必要がある。