ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-557-DP26-4 搬送経路上でECMOの緊急挿入が予期された小児肺移植症例の長距離患者空輸に従事した経験1)札幌医科大学附属病院 臨床工学部、2)札幌医科大学 医学部 集中治療医学、3)防衛省航空自衛隊 航空医学実験隊菅原 康介1)、島田 朋和1)、橋本 佳苗1)、千原 伸也1)、室橋 高男1)、片山 洋一2)、巽 博臣2)、升田 好樹2)、山蔭 道明2)、山口 大介3)【背景】生体肺移植は限られた施設でしか行われず,特に北海道からは地理的な理由から航空機による搬送が必要となる.今回,搬送中の急変時に航空機内でのECMO導入が必要となる可能性があった症例の搬送チームの一員として臨床工学技士が携わった.【症例】10歳女児.骨髄移植後に発症した慢性閉塞性細気管支炎の急性増悪に対して人工呼吸管理を行っていたが,病態の改善が得られず,生体肺移植の適応と判断された.【準備】ECMO導入可能な医療環境が必要であったため,機動衛生ユニットを有する航空自衛隊航空機動衛生隊による搬送が実施された.搬送経路は当院(防災ヘリ)→航空自衛隊千歳基地(航空機)→大阪国際空港(救急車)→京都となった.当院医師と航空機動衛生隊や防災ヘリ,救急車搬送を要請した北海道防災航空室,消防局の搬送担当者との協議で,狭隘なヘリ・航空機・救急車内スペースおよび電力を確認し,機材の選定や手配を行った.加えてチームのスタッフと協議し,ユニット内でのECMO導入に備えて物品,処置スペースや機材配置などを選定した.収集した情報から必要機材一覧表および機器点検表を作成し,事前に点検した.この際,搬送先の臨床工学技士とも綿密に連絡を取りあった.【搬送】千歳基地離陸前,機内で航空機動衛生隊員と搬送の流れやユニットの仕様について最終確認を行った後,ユニット内に設置された人工呼吸器の使用前点検の実施,患児の搬入,ECMO装置などの機材を設置した.大阪国際空港着陸後,患児を救急車に載せ換え,病態が悪化することなく,約5 時間後に移植施設に到着した.【まとめ】ECMO導入が予期される長距離搬送において臨床工学技士が機材の選定や手配,使用環境の調整にチームの一員として携わることで円滑に準備が進み,急変時の迅速な対応など,より安全な患者搬送に寄与できると考えられた.DP26-5 当院におけるECMO装着患者の搬送シミュレーションについて1)徳島大学病院 臨床工学技術部門、2)徳島大学大学院 病態情報医学講座 救急集中治療医学堀川 卓志1)、近田 優介1)、林 昌晃1)、森西 啓介1)、小野寺 睦雄2)、西村 匡司2)【はじめに】Extracorporeal membrane oxygenation(ECMO)は重篤な心不全、呼吸不全に対して使用される。呼吸不全患者ではECMO中にCT検査が必要となる事が多い。搬送中のトラブルは生命に直結する危険性がある。本院臨床工学技術部門は安全にECMO患者の搬送を行うため、模擬患者をCT検査室まで搬送するシミュレーション訓練を行っている。【方法】搬送時のトラブルに対してトラブルシューティングマニュアルを作成した。ハンドクランク、延長ガスパインピング、延長電源コード、再プライミング用の輸液ライン等の搬送用キットを作成した。シミュレーション時には血液ポンプ停止、バッテリ切れ、酸素ボンベの残量切れ、ガスチューブ外れ等のトラブルを模擬的に発生させて対応する訓練を実施し、マニュアル通りに対応できるか調査した。また、CT 撮影時のECMO 装置やスタッフの配置を確認した。【結果】臨床工学技士10 人でシミュレーションによる訓練を行った。血液ポンプ停止、バッテリ切れのトラブルに対しては、全スタッフが迅速に対応できた。しかし、2人は酸素ボンベの残量切れ、ガスチューブ外れに対するトラブルを発見するまでに数秒を要した。また、CT撮影時の装置、人員配置は全てのスタッフがマニュアル通りに行えた。【結語】ECMO施行中の搬送シミュレーション訓練を実施した。搬送時のトラブルシューティングマニュアルを作成することにより全てのスタッフが対応することができたが、対応時間に差があった。今後も定期的なシミュレーションが必要である。DP26-6 ECMO 中における輸血管理1)心臓病センター 榊原病院 診療支援部門 臨床工学科、2)心臓病センター 榊原病院 循環器内科、3)心臓病センター 榊原病院 心臓血管外科有道 真久1)、永田 和之1)、中島 康佑1)、大下 智也1)、村木 亮介1)、林田 晃寛2)、坂口 太一3)【はじめに】心臓手術の人工心肺管理において血液製剤の使用は、小児、成人共に合併症や死亡率を増加させると報告されている。ECMO 管理においても同様に報告されているが、小児領域の報告が多い。今回、当院での成人ECMO 管理において血液製剤使用に関して後ろ向きに検討したので報告する。【対象】2012年11月~2015年6月までの成人ECMO 症例69例のうち、生存日数が30日未満の患者は除外した38 例を対象とした。対象の内訳はCardiac ECMO:19 例、ECPR:16 例、Respiratory ECMO:3 例であった。【方法】システムはECPR にテルモ社製エマセブ、Cardiac ECMO、Respiratory ECMO にMedtronic 社製ジャイロポンプ+MERA社製NHP人工肺を用いた。血液製剤使用に関しては、採血データ、出血、SvO 2 およびLacより決定した。比較検討項目は、ICU 滞在日数に関連すると考えられる因子38 項目とした。統計学的検討はWilcoxon 検定、Spearman 相関係数を用い、p < 0.05 を有意差ありとした。【結果】RBC 単位数:12.46 ± 17.5、FFP 単位数:4.52 ± 5.72、PC 単位数:7.8 ± 12.8、ICU 滞在日数:23.7 ±20.2 であった。独立因子として、CHDF、RBC 単位数、栄養開始日数、導入時のHb、HCT、BE、EF において有意差を認めた。また、RBC 総使用単位数とICU 滞在日数においてp<0.0001であり、弱い正の相関(R 2=0.38)を認めた。【考察】心臓手術の周術期管理において、血液製剤使用により人工呼吸管理日数の延長や急性腎障害の発生など様々な合併症が報告されている。導入前の重症度がそれぞれ異なることから一様に評価できないが、RBCの輸血単位数の増加に伴ってICU滞在日数の増加を認めたのは、RBCによる合併症も関与していると考えられた。また、必要最低限の血液製剤使用により、医療コストの削減にも寄与すると考えられた。【結語】血液製剤使用について厳密に管理する事により、様々な恩恵が得られることが示唆された。