ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-554-DP25-1 褐色細胞腫破裂による急激な血行動態悪化に対し、集中管理により緊急手術を回避し,待機手術に成功した一例1)日本医科大学付属病院 心臓血管集中治療科、2)日本医科大学付属病院 循環器内科、3)日本医科大学付属病院 内分泌代謝内科、4)日本医科大学付属病院 内分泌外科、5)日本医科大学付属病院 外科系集中治療科黄 俊憲1)、林 洋史1)、圷 宏一1)、山本 剛1)、岡本 彬美3)、杉原 仁3)、五十嵐 健人4)、市場 晋吾5)、萩原 かな子2)、清水 渉2)症例は37歳女性。3年前より前屈時に動悸や頭痛の自覚あり、近医で行った腹部超音波検査で8cm大の右副腎腫瘍を認め、褐色細胞腫疑いで当院紹介受診した。MIBGシンチグラフィ施行のため自宅で前処置の下剤を内服したところ、排便後に急激な頭重感と動悸、腹痛、嘔気が出現し救急搬送。来院時血圧240/125mmHg, 脈拍数120-150回/分まで上昇あり、胸部単純写真及びCT 上著明な肺水腫を認めた。心筋トロポニンT 陽性であり、褐色細胞腫クリーゼ及びカテコラミン心筋障害による急性心不全と判断し集中治療室入室。酸素投与と安静、ドキサゾシン内服による降圧管理にて速やかに肺水腫は改善した。血中・尿中カテコラミン値及びMIBG シンチグラフィ所見より褐色細胞腫と確定診断し、待機手術の方針となったが、第5 病日排便時の怒責に伴い再度血圧が上昇し、強度の腹痛と嘔吐が出現。フェントラミン持続静注開始したが血圧コントロール困難であり、収縮期圧300台、脈拍数140台まで上昇がみられたため、ニカルジピン、ニトログリセリン、ランジオロールを併用し、鎮静・鎮痛も行った。腹部CTにて腫瘍内出血を認め、褐色細胞腫破裂と診断。一時ショックとなったがカテコラミン投与及び大量補液にて血行動態は安定したため、保存的治療継続し、第8 病日腫瘍摘出術を施行した。術中バイタルに変動は見られず、手術は問題なく終了。術後も血行動態安定して経過し、第19病日自宅退院となった。褐色細胞腫の自然破裂は極めて稀で、重篤かつ不安定な血行動態が特徴とされ、その致死率は30-50%に上る。しかし、緊急手術の成績は不良であり、血行動態安定後の待機手術が望ましいとされている。本症例は、褐色細胞腫破裂により急激な血行動態の悪化が見られたが、迅速な対応により血行動態を安定させることができ待機手術に成功した貴重な一例であり、報告する。デジタルポスター 25 心臓・循環・体液管理④ 2月13日(土) 11:00~12:00 デジタルポスターブース5DP25-2 食道癌術後に冠動脈攣縮による心停止をきたした1 症例1)横浜市立大学附属病院 集中治療部、2)横浜市立大学附属病院 消化器・肝移植外科、3)横浜市立大学附属病院 麻酔科出井 真史1)、水谷 健司1)、小坂 隆司2)、山本 夏啓1)、堺 結有1)、吉田 輔1)、山口 嘉一1)、高木 俊介1)、山口 修1)、後藤 隆久3)症例は69歳男性、158cm、58kg。検診で指摘された胸部中部食道癌に対して胸部食道切除・胃管再建(後縦隔経路)・腸瘻増設術が施行された。術中経過に問題はなかったが、術後1日目に集中治療室で覚醒させ自発呼吸テストのため体位を半坐位に変換したところ、急激な血圧低下と高度房室ブロックから心停止となり蘇生が行われた。その後施行した冠動脈造影では明らかな器質的狭窄を認めなかったが、アセチルコリン負荷により3枝とも高度狭窄が出現し冠攣縮性狭心症と診断された。神経学的後遺症は認めず、歩行退院した。食道癌手術周術期の冠攣縮については過去にも報告が散見されるが、術後の報告は少ない。しかし食道癌手術など術後も挿管下で集中治療管理を継続する症例では、手術侵襲に加えて鎮静薬や覚醒に伴う自律神経の不均衡、高侵襲による循環血液量の不足など、麻酔中と同様の冠攣縮リスクが継続する。そのため術後管理においても十分な注意と予防が必要と考えられるので報告する。DP25-3 感染性心内膜炎の疣贅により急性心筋梗塞を認めた一例虎の門病院 循環器センター内科桑原 政成、森谷 学、富田 康弘、石村 理英子、児玉 隆秀、三谷 治夫、藤本 陽、石綿 清雄、大野 実症例は48歳男性。38歳の時に僧帽弁逸脱症を指摘されていた。2015年2月頃から週3回程度38℃台の発熱を認め、近医で抗生剤加療を行われていた。3 月に入り、連日38℃を超える発熱を認め、精査のため大学病院受診。造影CT検査で脾腫、脾梗塞が認められ、感染性心内膜炎の疑いで循環器専門病院に転院。経食道エコー図検査で僧帽弁前尖に粘液腫は認めるものの、後尖には所見はなく、感染性心内膜炎は否定的と診断され、再度大学病院に転院され成人Still病の精査・加療を行われた。4月にPET-CT検査を施行され、びまん性の骨髄集積を認めたため当院血液内科に紹介入院。入院2日後、呼吸状態悪化したため循環器内科紹介。心エコー図検査で僧帽弁前尖にvegetationを疑う所見を認め、感染性心内膜炎に伴う急性心不全と診断し、非侵襲的陽圧換気療法などで加療を行った。入院時の血液培養4セットからStreptococcus mitis/oralis を認め、抗生剤はPCG + GMで加療を行った。合併症精査で、多発する脳梗塞と感染性脳動脈瘤、微量のくも膜下出血、脾梗塞、腎梗塞の所見を認めたが、全身状態の安定化を認めており、抗生剤加療を継続し血液培養の陰性化6週後に手術の方針とした。血液培養の陰性化4週後、シャーワー中に突然の胸痛を認め、12 誘導心電図でII、III、aVFでST 上昇の所見を認めた。急性心筋梗塞の診断で緊急カテーテル検査を施行。右冠動脈の房室結節枝に99%狭窄病変を認め、同部位を血栓吸引カテーテルで吸引したところ、vegetationを疑う構造物が吸引され、血流改善を認めたためステント留置は行わなかった。病理では石灰化を伴う血栓と胞子状微細顆粒状構造物の所見を認め、感染性心内膜炎由来と考えられた。6月に僧帽弁形成術を施行し、経過良好にて7 月に退院。感染性心内膜炎の加療後5週後、血液培養陰性4週後に生じた、疣贅由来の急性心筋梗塞は報告が稀であり、手術時期についても考えさせられる貴重な症例であり報告する。