ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-547-DP21-4 ICU 患者を対象としたESBL 産生菌腸管内保菌者検出の意義福岡大学病院 救命救急センター川野 恭雅、水沼 真理子、星野 耕大、山崎 玲子、森本 紳一、西田 武司、石倉 宏恭【目的】ESBL産生菌は多くの抗菌薬に耐性を示すことから、感染症診療において重要な細菌の一つであるが、ICU入院患者の腸管内保菌者を特定することによる臨床的意義を検討した報告は少ない。今回我々は便検体を用いたESBL 産生菌の積極的監視培養が抗菌薬使用量(AUD)や院内死亡率へと与える影響を検討したので報告する。【対象と方法】2013 年4 月から2014 年9 月に当院救命救急センターへ入院した成人症例を対象とした。便検体による監視培養でESBL産生菌のスクリーニングを行わなかった期間(前期;2013年4月から12月)とスクリーニングを行った期間(後期;2014年1 月から同年9月)の2群に分類し、各種培養(喀痰・尿・便・血液等)によるESBL 産生菌検出率、キノロン系抗菌薬・第3 世代セファロスポリン・タゾバクタム/ピペラシリン(TAZ/PIPC)およびカルバペネム系抗菌薬のAUD、院内死亡率とESBL 産生菌関連院内死亡率を2 群間で比較した。【結果】症例数は前期670例、後期575例であった。各種培養にてESBL産生菌を認めた症例は前期 20例、後期 71例であり、その検出率(前期3%、後期12.3%、p<0.05)では2群間に有意差を認めたが、AUD[キノロン系抗菌薬(前期6.8、後期10.4、p=0.27)、第3 世代セファロスポリン(前期19.9、後期33.3、p=0.36)、TAZ/PIPC(前期48、後期50.7、p=0.55)、カルバペネム系抗菌薬(前期27.3、後期60.3、p=0.06)]では2 群間に有意差を認めなかった。また、院内死亡率(前期17.9%、後期 16.1%、p=0.3)とESBL 産生菌関連院内死亡率(前期0.1%、後期0.2%、p=0.55)でも2 群間に有意差は認めなかった。【結論】当院救命救急センターにおいて、積極的監視便培養を用いてESBL 産生菌の腸管内保菌者を同定することは抗菌薬使用量及び院内死亡率に影響を与えなかった。DP21-5 人工呼吸器関連肺炎と人工呼吸器関連イベントのサーベイランスの相違と有用性についての検討1)佐久総合病院 救命救急センター、2)東京ベイ浦安市川医療センター 集中治療科小林 絵梨1)、内藤 貴基2)、岡本 賢太郎2)、川口 剛史2)、片岡 惇2)、則末 泰博2)、岡田 邦彦1)、藤谷 茂樹2)【目的】人工呼吸器関連肺炎(Ventilator-Associated Pneumonia:VAP)は入院日数、死亡率の増加と関連するとされており主要な院内感染の一つである。感染管理においてサーベイランスは対策の根幹をなすものであるが、VAPに関しては診断のゴールドスタンダードがない点、診断に胸部レントゲン所見など客観性に欠ける項目があるなどの問題があった。そこで米国疾病管理予防センター(CDC)から人工呼吸器関連イベント(Ventilator-Associated Event:VAE)が提唱され、より客観的なサーベイランスが可能となった。しかしVAEはVAPと相関性に乏しいことが知られており、感染管理のためのサーベイランスとしての有用性ははっきりしていない。本研究ではVAE とVAP の関連を明らかにし感染管理におけるVAE サーベイランスの問題点を検討する。【方法】当院ICUに7月1日~31 日に退室したすべての挿管患者49 例を対象としてサーベイランスを行った。VAE のサーベンランスには当院で採用している日本光電の生体情報管理システム(CAP)の自動VAEサーベイランス機能使用した。VAPサーベイランスはICU から提出された痰培養陽性例と、臨床的にVAP の治療を行った症例からCDC の定義を満たすものを抽出した。【成績】49例の年齢は平均71± 10歳、挿管日数は中央値2(1-5)日であった。49 例中VAE と診断された症例は1例(2.0%)、VAPと診断された症例は6 例(12.2%)であった。VAE と診断された症例は消化管穿孔で閉創していない創部を閉腹した後の呼吸状態悪化によるものでVAP ではなかった。またVAP と診断された症例はすべての症例でVAEの基準を満たさなかった。【結論】VAEは世界標準の客観的指標のためICUにおけるサーベイランスに重要である。しかし臨床的にVAPと診断され治療される症例はVAEの定義を満たすほど呼吸状態の悪化を伴わない可能性があり、感染管理の観点からはVAPを正確に反映していない可能性があるため注意が必要である。DP21-6 中心静脈カテーテルの感染率 3 年間の調査 ~岡山大学高度救命救急センター~1)岡山大学病院 救急科、2)岡山大学病院 高度救命救急センター、3)岡山大学医療教育統合開発センター、4)岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 救急外傷治療学講座平岡 知浩1)、木口 隆2)、山内 英雄4)、飯田 淳義3)、塚原 紘平1)、湯本 哲也1)、松尾 瑞恵1)、佐藤 圭路1)、鵜川 豊世武4)、氏家 良人1)【背景】救急および集中治療において中心静脈カテーテルは必要不可欠であるが、不適切な挿入手技や不十分なケアは感染の原因となる。しかし、適切な管理をすることにより、挿入部位にかかわらず感染率を低く抑えられる報告がある。今回我々は当院高度救急救命センターにおける中心静脈カテーテルの感染率および部位毎の感染率について検討した。【方法】対象は2012 年4 月~2015 年3 月に当院高度救急救命センターに入院し中心静脈カテーテルを挿入した患者で、電子カルテを用いて後方視的にカテーテル挿入日数、挿入部位、基礎疾患、感染の有無を検討した。感染の定義はNHSN(National Healthcare Safety Network: 全米医療安全ネットワーク)感染症判断基準を使用し、カテーテル挿入時はすべてマキシマルプリコーションで行った。【結果】カテーテル567本、カテーテル延べ日数3,822日、患者285人において、感染が確認されたカテーテルは7本(1.23%)、1.83件/1,000カテーテル日だった。挿入した患者の背景としては外傷および敗血症が多く、部位毎の比較では鎖骨下静脈に挿入した群(n=23)、内頚静脈に挿入した群(n=274)、大腿静脈に挿入した群(n=270)の感染数は、1 本(4.35%)、1 本(0.36%)、5 本(1.85%)であり3群間で有意な差は認めなかった。感染が確認された患者は外傷が多く(7例中5例)、挿入期間(平均 10.0日)は感染を起こさなかった群(全体平均 6.7 日)と比べ、より長い傾向にあった。【考察】外傷患者では頚椎保護の点から挿入部位として大腿静脈を選択されることが多いこと、清潔が保ちにくいことが感染と関係していると考えられた。またカテーテル挿入期間が感染率上昇と関連している可能性が示唆された。【結語】マキシマルプリコーションに則った挿入操作および適切なカテーテルケアがあれば挿入部位にかかわらず感染率を低く抑えられると思われる。今後は何日で入れ換えるのが妥当か検討していきたい。