ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-543-DP19-4 脳卒中急性期患者にシリアスリハビリテーションゲームソフトを用いた起立運動による廃用症候群の予防の効果1)徳島大学病院、2)徳島大学大学院 医歯薬学研究部 保健科学部門 看護学講座系折坂 明里1)、南川 貴子2)、市原 多香子2)、日坂 ゆかり2)、原田 路可1)、田村 綾子2)【研究目的】練習機器シニア用のシリアスリハビリテーションゲームソフト「リハビリウム起立くん:メディカ出版」を使用して、片麻痺の生じた脳卒中患者の運動前後での筋肉量変化について確認し、廃用症候群予防の一助とする。【方法】急性期脳卒中の患者に、発症後の歩行が可能となった直後から5 日間「起立くん」を使用した起立運動訓練を行った。評価は、生体電子インピーダンス(In-body S10:インボディ・ジャパン社)を使用して、初回の筋肉量計測と5 日後の筋肉量を比較した。なお、急性期であるために、運動の前中後に血圧を中心としたバイタルサインの測定を行い、変化がないことを確認しながら運動を実施した。また、患者の発言について逐語録を作成した。分析は、筋肉量はWilcoxonの順位和検定で、有意水準を5%未満とした。患者の発言内容はカテゴリー化を行った。なお、倫理的配慮は大学病院倫理審査委員会で承認後に本人に研究の実施と公表の許可を受けて実施した。【結果】研究に参加した脳卒中患者は3 名で、開始時期は発症後3~9 日目で、脳梗塞1 名、脳出血2 名、麻痺側は全員左あった。平均年齢は61.7歳(SD11.47)、男性2名、女性1名であった。運動前後の下肢筋肉量は、2名は麻痺側に増加が認められた(p=0.290)。1名は健側と麻痺側ともに減少していたものの、その差は極少で、有意差も認めなかった。患者の発言内容は、「楽しみながらできる」「やる気が出る」「通常のリハビリ以外に運動できてよい」などの発言が聞かれた。【考察】先行研究では、1週間で筋肉量の低下がみられていた。しかし、今回の「起立くん」の5日間の使用で、有意差を認めはなかったものの、増加の傾向があった。患者の発言は、患者のやる気につながるという好評価が多かった。サンプル数が少なく、回数や頻度を今後再度検討する必要があるが、急性期からの積極的起立訓練を行うことの必要性が再確認できた。DP19-5 急性期脳血管障害患者の他動的足関節運動中の非運動肢の下腿筋肉酸素化状態1)東海大学 医学部 附属病院、2)東海大学 健康科学部、3)東海大学 情報教育センター岩本 敏志1)、沓澤 智子2)、栗田 太作3)【目的】ICUに入室した患者に対し、関節拘縮や筋力低下を予防するために、他動的足関節運動などの理学療法が行われている。健常人では、一側の他動的足関節背屈運動(ROM)が対側の非運動肢の微小循環に影響を及ぼすことを山川らが第40 回学術集会で報告している。急性期脳血管障害(CVD)患者にも、このROM は日常的に施行されるが、脳の病変により、ROM中の対側肢の微小循環が変化している可能性がある。本研究では、ICUに入室した片麻痺のあるCVD患者に一側のROMを行い、両側の腓腹筋酸素化状態を同時測定し、非運動肢の筋肉酸素化状態について検討した。【方法】対象は、急性期CVD患者10名(右麻痺:5名、左麻痺:5 名、72.9± 10.4歳)。測定は、入室7 日目に実施した。ROMは、5分間(他動的背屈運動20秒、解除10秒を1回とし、10回行う)を左右1 回ずつ実施し、両側の腓腹筋酸素化状態を近赤外分光法にて同時測定した。【結果および考察】非運動肢に関しては、健側、麻痺側問わず、1. 健常人と同様の背屈運動に同期した血液量の変化、2. 同期しない不規則な血液量の増減、など、患者によって差異が認められた。また、患者の中にはROM の対側肢の血液量の増加が認められた。これらの所見は、ROMにより惹起される神経系の反応が、中枢神経系の影響を受けていることを推定させる。DP19-6 看護チームアプローチの効果~早期離床実現のための活動~地方独立行政法人 広島市立病院機構 広島市立広島市民病院越水 久美、石本 やえみ【はじめに】A病院ICUにおいて早期離床を目指した看護ケアを提供する為、病棟における看護チームで現状調査と研修会を系統的に行った。この看護活動の結果を報告する。【目的】病棟看護チーム活動および、看護師が習得した知識、技術が看護実践に及ぼす効果を検証する。【活動内容】A 離床に関する資料による学習、読み合わせBA病院ICU離床開始基準、中止基準の確認C端座位、腹臥位などの看護援助技術演習D鎮痛、鎮静管理に関する研修E 看護チームの活動目標を病棟全体への提示と実践【調査方法】研修会実施前後の受動座位および端座位実施状況を後方視的に調査した。<対象>成人患者、開胸術後、人工呼吸器管理あり、ICU 在室2 日以上、重症度APACHE2 10 から20 <調査期間>A活動前2013 年5 月1 日から6 月30 日、B活動中2014 年1 月1 日から2月28日、C活動後2014年10月1日から11月30日<調査内容>各調査期間におけるICU退室までの受動座位と端座位の実施率【結果】受動座位実施率に変化はなかった。端座位実施率は調査期間A25%、B50%、C89%であった。【考察】活動前には受動座位までの援助にとどまる状況が多かった。活動後は端座位までリハビリテーション介入を行う看護師が増加した。ICU入室直後から、患者のQOLを見据えた早期離床を目指す看護ケアを提供する看護師が増加した。早期離床の意義や効果を認識した看護師は多職種チームにおいて患者情報の提供やケア方法の提案を行うようになる。【結論】看護チームの系統的、継続的な活動は他の看護師の認識を変化させる。看護師の認識の変化は看護実践に影響を与える。看護プロセスのアウトカムを患者の変化に着目した看護活動は病棟全体の看護実践に影響を与える。患者のアウトカムをデーターで可視化しながら取り組む活動は、達成感を共有でき次の変化につなげることができる。