ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-541-DP18-4 DIC を合併した重症敗血症に対する遺伝子組み換えトロンボモジュリン投与の効果の検討1)慶應義塾大学 医学部 麻酔学教室、2)埼玉メディカルセンター奥田 淳1)、鈴木 武志1)、鈴木 悠太1)、印南 靖志1)、御園生 与志2)、上田 朝美1)、森崎 浩1)背景:遺伝子組み換えトロンボモジュリン(rTM)はDIC 治療薬の一つであり、未分画ヘパリンと比較して高いDIC 改善率を示すと報告されているが、生命予後改善効果については議論がある。そこで、当院におけるDIC 合併重症敗血症に対するrTM 投与の効果を後ろ向きに検討した。方法:平成25年4月1日から平成26年5月31日までの14か月間に重症敗血症の診断でICUに入室し、DICを合併した患者を対象とした。DICの診断には急性期DICスコアを用い、rTM投与群と非投与群における、DICスコアの推移および転帰を比較検討した。統計処理は、Mann-Whitney U testまたはFisher Exact test を用い、P値0.05未満を有意とした。結果:対象となるDIC 合併重症敗血症患者は30 例であった。そのうちrTM投与群は20例、非投与群は10例であった。rTM投与群および非投与群の入室時のSOFA scoreはそれぞれ11.5[9-13]、11.5[6-15]であり、有意差はなかった。DIC と診断した時点でのDICスコアは、rTM投与群で5.5[5-8]、非投与群で5[4-7]であり、両群で有意差はなかったが、DIC診断7 日目のDICscoreは、rTM投与群で3[1-5]と投与初日と比べて有意に低下した(p=0.01)。一方、非投与群の7日目DIC scoreは4.5[1-7]と、改善はみられなかった(p=0.249)。院内死亡率は、rTM 投与群では25%(5/20)、非投与群で40%(4/10)であり、rTM 投与群にて低い傾向にあったものの、有意差はなかった(p=0.431)。結語: DIC合併重症敗血症に対するrTM の投与は、DIC離脱を早め、生命予後を改善する可能性が示唆された。DP18-5 敗血症性DIC におけるリコンビナントトロンボモジュリンの有用性1)東京医科歯科大学医学部附属病院 救命救急センター、2)東京女子医科大学東医療センター 救命救急センター世良 俊樹1)、牛澤 洋人1)、高橋 宏之2)、遠藤 彰1)、落合 香苗1)、森下 幸治1)、相星 淳一1)、加地 正人1)、磯谷 栄二2)、大友 康裕1)【背景】敗血症性DICの治療薬として、2008 年から組み換えヒト可溶型トロンボモジュリン(以下rTM)が使用されるようになったが、未だその有用性についてのエビデンスは十分ではない。【目的】敗血症性DIC患者において、rTM 投与患者(rTM群)は非投与患者(対照群)と比較して、28日後の死亡率が低下するか(primary outcome)を検討する。【デザイン】前向きオープンラベルのランダム化比較試験(UMIN000003799、東京医科歯科大学倫理委員会承認番号1314))(現在進行中)。【対象・方法】2008年10月から2011年3月、2012年4月から2015年7月までに当救命救急センターに入院した敗血症患者で急性期DIC基準を満たし本人または家族から同意の得られた患者。封筒法にて2群に割り付け。【結果】rTM投与群は29 名、対照群は31名で、28日死亡率は、rTM 投与群24.1%、対照群25.8%(P=0.56)で差はなかった。有害事象はrTM 投与群に1 例出血がみられた。【結語】現時点では、rTMは従来の治療群と比較して敗血症性DIC患者の28日死亡率を改善させるとはいえない。さらに症例を増やして十分な症例数で比較する必要がある。【主なLimitation】単施設研究。原因疾患の多様性。