ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-537-DP16-4 結核性髄膜炎との鑑別が困難であった癌性髄膜炎の1 例倉敷中央病院 麻酔科楠 宗矩、大竹 孝尚、生津 綾乃、河合 恵子、古谷 明子、入江 洋正、山下 茂樹背景髄膜炎の原因としては, 感染性・腫瘍性・薬剤性等が挙げられる。結核性髄膜炎と類似した臨床症状を呈し,診断に難渋した癌性髄膜炎の症例を経験したので報告する。症例37歳男性,身長170cm,体重71kg。2ヶ月前より両眼痛,後頚部痛,頸部前屈困難の症状を認めた。その後,体重減少,間欠的な咳嗽や嘔気,ふらつきが出現し,37度台の発熱も認めた。近医で頚部X線,CT,頭部MRI,上部消化管内視鏡検査を施行したが原因の特定には至らなかった。呂律困難感,脱力感も出現し, 近医へ救急搬送されるも診断はつかず退院となったが,翌日意識レベルの低下を認め,当院へ救急搬送された。来院時,GCS:E3V3M5,項部硬直あり。不穏状態のため鎮静し,気管挿管を施行した。頭部CTで両側大脳半球皮質,側脳室周囲に石灰化病変を認め,髄液検査は初圧が30cmH2O以上,細胞数19/μl,蛋白266mg/dl,全細胞中23%を占める異型細胞を認めた。頭部MRIでは水頭症,髄膜炎を疑う所見を認めた。胸腹部CTでは, 右肺上葉に結節影,両肺野に多発結節影,左肋骨に癌転移を疑う腫瘤, 椎体に病的骨折を認めた。亜急性の経過であること,両肺野多発結節影,脳室周囲の石灰化病変が存在することから,粟粒結核・結核性髄膜炎を疑ったが,右肺上葉の結節影が非典型的であり, 肺癌の多発転移・癌性髄膜炎の可能性を考えた。治療の遅れによる重症化を懸念したため, 抗結核薬(EB,INH,PZA,RFP)を開始し陰圧管理とした。その後,髄液細胞診よりAdenocarcinomaと診断し,各種検体の塗抹,核酸増幅検査結果も陰性であった。結核治療は終了し,肺癌多発転移による髄膜炎に対して化学療法を開始した。徐々に意識レベルは改善し,ICU 入室5日目に抜管した。考察・結語若年男性の亜急性経過をたどる癌性髄膜炎を経験した。髄膜炎は緊急性が高く, 診断と初期治療の遅れが転帰に影響を及ぼすため, 迅速な対応が必要とされる。初発症状として髄膜炎を呈する肺癌は珍しく,結核性髄膜炎との鑑別が困難であった。DP16-5 名古屋大学におけるMELIt Trialの開始にあたって名古屋大学大学院医学系研究科 救急・集中治療医学分野錦見 満暁、江嶋 正志、沼口 淳、松田 直之【はじめに】名古屋大学大学院医学系研究科 救急・集中治療医学分野は,基盤研究および臨床研究として,集中治療における急性期病態のメラトニンの病態生理学を検証するとともに,メラトニンの急性期病態における役割を検証しようと考えている。【目的】メラトニン受容体アゴニストであるラメルテオンのICU における有効性を明らかにすることを目的として,MELIt Trial(Melatonin Evaluation of Lowered Inflammation in ICU Trial)を2015 年5 月に開始した。【方法】2015年5 月より2016 年3 月までの間に,当院救急・内科系集中治療室に入院となる20 歳以上の患者を対象とする。対象となった患者に対して二重盲検法でラメルテオン投与群とプラセボ投与群に割り付け, 入院時より連日ラメルテオン8 mg もしくはプラセボを1 日1 回,21時に投与する方針とした。一次エンドポイントはICU 在室期間, 二次エンドポイントは炎症反応の推移(入院時からのCRP, 血清pH, 血清乳酸値の推移), せん妄の有無と重症度(CAM-ICUによるせん妄の有無, 在室期間中に使用されたリスパダール及びプロポフォール, デクスメデトミジンの使用量),ICU退室時の転帰とする。合わせて,血中メラトニン濃度を当研究室において時系列で評価する。【結語】本研究は,ラメルテオンのICU 患者への有効性を検討する臨床基盤試験であり,かつラメルテオンの抗炎症作用を調査した臨床試験である。中間報告を含めたプロトコールの紹介を行う。DP16-6 aEEG に対する麻酔薬と低体温の影響について- 周術期の使用経験から東京医科大学 麻酔科学分野 集中治療部関根 秀介、今泉 均、長尾 明紘、山田 梨香子、長島 史明、沖田 綾乃、竹下 裕二、矢数 芳英、内野 博之【はじめに】集中治療においても脳卒中の発症は患者予後に重大な影響を与えることからその予防と早期検出が大切であるが、確実なモニターは未だ存在しない。脳虚血においては、脳波所見が脳血流量よりも脳損傷の程度を正確に反映している場合がある。脳波の異常は虚血障害の予後ともよく相関することから、心停止後昏睡患者の予後の予測として蘇生ガイドラインでも心肺停止後の早期脳波検査の実施や脳低体温治療患者の連続脳波モニタリング(cEEG)が推奨され、近年、新生児領域のみならず成人集中治療領域においてもその使用が報告されている。aEEG は、cEEG の生波形とアンプリチュードの変化を圧縮表示する。長時間のモニタリングも可能であることから、周術期や神経集中治療領域での使用により脳損傷の早期診断の一助となる可能性がある。しかし、周術期や集中治療患者では鎮静・鎮痛下であり、鎮静・鎮静薬のaEEG に対する影響についての解釈が必要であるが十分な議論はなされていない。今回我々は、aEEG についてプロポフォール(P)、レミフェンタニル(R)による全身麻酔下乳房切除術の経過と人工心肺症例(大動脈弓部全置換術、大動脈弁置換術の2症例)の経過を比較検討し、術中の脳梗塞発症時の脳波変化に遭遇した。【結果】PR による、脳波の平坦化やaEEG の最小振幅値の低下は認めなかった。低体温(20-25℃)により、脳波の平坦化とaEEG の最小振幅値の低下を認めた。術中にsuppression-burst(SB)を示した症例では術後に脳梗塞が判明した。【考察】麻酔薬によりaEEG の最小振幅値の低下を認めなかったことから、鎮静・鎮痛下でもaEEG の低下やSB を認める場合には脳機能障害の存在を疑う必要がある。【結語】鎮静・鎮痛下でも脳波上SB を認める場合は脳障害の存在を考慮する必要がある。