ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-533-DP14-4 脈波伝搬時間により脈圧変化を予測できるか?高知大学医学部 麻酔科学・集中治療医学講座山下 幸一、矢田部 智昭、立岩 浩規、田村 貴彦、阿部 秀宏、横山 正尚【目的】日常診療において循環管理は依然として血圧で行われている。そのため観血的動脈圧を測定しない場合には急激な循環変動をリアルタイムに捉えることは困難である。今回、血流の運動方程式から導かれる脈圧(PP)と脈波伝搬時間(PWTT)間の理論式(PP = α PWTT + β)を動物実験で検証し、PWTTが非侵襲的にPPを測定する新たな循環管理指標となる可能性を検討した。【方法】高知大学動物実験委員会の承諾後、豚3 頭を対象に研究を実施した。ケタミン、ミダゾラムにより全身麻酔を導入し気管挿管を行った。麻酔導入後、心電図、大腿大動脈圧、プレシスモグラムをポリグラフシステム(RMT-1000、日本光電、東京)で記録し、酸素―イソフルラン、ケタミン、ベクロニウムで麻酔を維持した。循環が安定した後ノルアドレナリン、ニトロプルシド、エスモロール、ドブタミンを投与し血圧±30%または頸動脈血流量±30%まで変化させそれぞれ15分間PWTTとPPを同時に測定した(各400ポイント)。相関関係はスピアマン順位相関係数を用いた。【結果】PPとPWTT間の関係は、(Case1)PP =-0.3 PWTT + 116、ρ = -0.77, p < 0.0001(2000ポイント)、(Case2)PP = -0.3 PWTT + 111、ρ = -0.89, p < 0.0001(2000ポイント)、(Case3)PP = -0.3 PWTT + 116、ρ = -0.87, p < 0.0001,(2000ポイント)であった。【考察・結語】PWTTとPP 間には、傾き-0.3の直線的な関係があることが明らかとなった。切片の差から個体差はあるもののPWTTからPPの変化を捉えることが可能と考えられた。PWTTはリアルタイムにPP変化を捉えることが可能な循環指標と考えられる。DP14-5 術中RPP 抑制は術後カテコラミン量に影響するか―短時間作用型β1 遮断薬による抗虚血効果の検討―大阪大学 医学部附属病院 麻酔・集中治療医学教室講座前畠 慶人、藤野 裕士近年, 手技の工夫により低心機能患者への心臓手術が拡大施行されている. 当院では同患者の僧帽弁置換術(MVR)はon pumpbeating 下に短時間作用型β 1 遮断薬であるランジオロール(オノアクト)を高用量投与し, 心拍数を抑制して手術の補助を行っているが, 低心機能での心拍数抑制は長期予後として心機能の保持または改善が報告されている.【方法】MVRを施行した低心機能症例11 例(DCM8 例,ICM3 例) を対象とし, 術中のRPP(ratepressure product =心拍数×収縮期血圧)と,pump off 後のカテコラミン使用量(Vasoactive inotropic score(VIS)に投与時間(分)を加味してt-VISとして試算)との相関を検討した.【結果】RPPとVIS 間には高い負の相関(p < 0.05)がみられた.【考察】高RPP =心筋虚血のため心機能が低下し多量のカテコラミンを要すると考えていたが,低心機能患者のRPPは心筋保護より心機能そのものの指標になっている可能性がある. 心室容量や壁厚を因子とする心室ストレスの影響,DCM やICM の病態の差異,preconditioningなどの関与を, データ測定時機を含め共に検討する必要がある.DP14-6 豚敗血症モデルにおけるブドウ糖初期分布容量の変化の検討1)弘前大学 医学部 附属病院 集中治療部、2)弘前大学大学院 医学研究科 麻酔科学講座橋場 英二1)、斎藤 淳一2)、葛西 俊範2)、赤石 真啓2)、丹羽 英智1)、櫛方 哲也2)、廣田 和美2)豚敗血症モデルにおいて、中心部細胞外液量を示すブドウ糖初期分布容量(IDVG)を他の体液量評価法と共に測定した。【方法】倫理委員会承認後、豚8頭を使用しエンドトキシン(ET, 15-20μg/kg)により敗血症モデルを作成した(敗血症群5頭、コントロール群3 頭)。輸液は乳酸リンゲル液(4 mL/kg/hr)を投与した。IDVGは2g のブドウ糖で測定し、Bp、HR、CVP、CO、胸郭内血液量(ITBV)などはPiCCOを使用した。循環の維持にはドブタミンを使用した。測定はET 投与前、投与後1、2、4、5時間目に行った。統計学的検討は、RM-ANOVA with Dennett’s testにより行い、P<0.05を有意差ありとした。【結果】敗血症群の各測定値の変化を表に示した。ET投与による敗血症ショック時、IDVG/BW、ITBV は有意な低下を示したが、CVP は変化しなかった。コントロール群では、IDVGに有意な変化は認められなかった。【結語】ET 誘発敗血症性モデルにおいてIDVG は有意な低下を示すことが分かった。IDVGは敗血症においても心臓前負荷の一指標となる可能性が示唆された。