ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-530-DP13-1 ICU長期滞在症例の検討信州大学医学部附属病院 集中治療部三田 篤義、清水 彩里、大津 義徳、今村 浩【背景】近年、高齢患者の増加や、ドクターヘリ搬送等による重症患者の集約化により、大病院における重症患者数は増加傾向にある。当施設の集中治療室(ICU)は満床が常態化しており、病床稼働を円滑に行うことが限られた医療資源を有効に活用する上で重要である。そのような中、ICU 長期滞在を余儀なくされる症例があり、問題となっている。そこで、このような症例の特徴を明らかにするために検討を行った。【対象】当施設ICUに2014年4月1日から2015年3月31日の1年間に入室した患者844例のうち、滞在日数が14 日を超えた29 例(3.4%)を本研究の対象とした。これらの症例について、その特徴、予後を検討した。【結果】年齢は中央値65歳(0~81歳)、男女比18:11、入室の原因となった疾患は、心血管疾患12例、呼吸器疾患9例、脳神経疾患4例、腫瘍2例、その他2例で、11例(37.9%)は感染を契機に病態が悪化し、ICU入室となっていた。緊急入室が20例(69.0%)を占め、APACHEスコアは22.3±9.2点で、院内予測死亡率は37.4±26.4%であった。滞在日数は中央値27日(15 日~193日)、予後は、死亡退室が11例(37.9%)、入院死亡が15例(51.7%)で、ICU滞在日数が14 日以内の815例では死亡退室が20例(2.5%)、入院死亡が42例(5.2%)であったのに比べて高率だった。【結語】ICU長期滞在症例は全入室症例に占める割合は少ないが、超過日数は多く、病床の有効活用の点で問題であった。救命できた症例がある一方、長期入室患者の予後は短期入室患者に比べて悪かった。救命の努力は当然のことであるが、救命を期待できない症例に対しては、集中治療から緩和療法への切り替えのタイミングや、重症管理を継続する必要がある慢性期症例をどう扱うかなど、検討すべき様々な問題があると考えられた。デジタルポスター 13 重症度・予後評価 2月12日(金) 13:30~14:30 デジタルポスターブース3DP13-2 ICU 長期滞在患者の背景と予後1)水戸協同病院 総合診療科、2)水戸協同病院 救急・集中治療科高木 雅生1)、五十野 博基1)、長谷川 隆一2)【背景】 重症度が高い患者、重篤な合併症がある患者ではICU 滞在期間が長期化することが予想されるが、それらの背景や予後についての報告は少ない。今回当院ICUにおける長期滞在について検討した。【方法】 2012年7月から2015年7月までの3年間で、2 週間以上ICUに滞在した患者を対象とし、カルテ記載を基に入室時APACHE2 スコア、年齢、性別、診療科、DICの有無、敗血症の有無、免疫不全の有無、手術の有無、輸血の有無、死亡率を調べ、滞在期間との関連や予後について検討した。なお免疫不全の定義は糖尿病・肝不全・腎不全・悪性腫瘍の罹患、ステロイド・免疫抑制剤使用とした。【結果】 2週間以上滞在した患者は27名で、男性17・女性10例、平均年齢は65歳(18~91歳)、平均入室期間は31.4日(14~212日)、APACHE2スコアは平均14(4~23)。診療科は外科系9例・内科系18例で、術後症例は16例、DIC合併例は11例、最終転帰は死亡6 例(死亡率22.2%)であった。滞在期間が長期化した原因は、原疾患によるものが22例と最も多く、内わけは敗血症が14例(63.6%)、続いてくも膜下出血(SAH)3 例(13.6%)、破傷風2 例(9.1%)、ANCA 関連血管炎1 例(4.54%)、間質性肺炎1 例、NMDA 受容体脳炎1 例であった。上記敗血症症例のうち9 例(64.2%)は免疫不全症例であった。合併症により滞在期間が伸びたものは3 例で、他には診断が困難で早期の適切な治療介入ができずに滞在が長期化したもの1例、悪性腫瘍・心不全の終末期であるが抜管できずに長期化したものが1例であった。【考察】 長期滞在の主な原因は敗血症であり、免疫不全に関連する患者背景が大きなリスクとなっていた。さらに敗血症による死亡例は5例あり、4 例でDIC を発症し血流障害に伴う臓器機能低下を来していた。【結語】 免疫機能の低下を伴う敗血症症例ではICU の滞在期間が延長しやすく、予後も不良である。DP13-3 術後集中治療患者における高ビリルビン血症の患者予後予測能に関する検討神戸大学医学部附属病院 麻酔科長江 正晴、巻野 将平、江木 盛時、溝渕 知司【背景】術後ICU患者における入室後の高ビリルビン血症は、患者予後と関連する事が知られている。しかし、患者予後予測におけるビリルビン値の最適な評価方法や閾値はいまだ不明である。【方法】本研究は、2008~2013 年に48 時間以上の術後集中治療を要し、術前検査で血清総ビリルビン値が2.0mg/dl 未満であった2913名を対象とした後ろ向き研究である。入室直後、入室1・2・4日目、入室後2 日間の最高値、入室後4日間の最高値を抽出し、病院死亡との関係を受信者動作特性(ROC)曲線下面積で評価した。【結果】ROC曲線下面積は、入室直後= 0.60、入室後1 日目= 0.61、2 日目= 0.64、4 日目= 0.63、入室後2 日間最高値=0.59、入室後4日間最高値= 0.62であり、入室後2日目で最大であった。また、そのcut-off値は1.9mg/dlであった(図1)。【結語】術後集中治療患者の血清総ビリルビン値の上昇は死亡率増加に有意に関連し、その予測能はICU入室2日目で最大であり、cut-off 値は1.9mg/dlであった。