ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ページ
531/910

このページは 第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集 の電子ブックに掲載されている531ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-529-DP12-4 気管切開患者に対する高流量酸素療法の効果:附属キャップ位置の違いによる評価1)神戸大学附属病院 集中治療部、2)神戸大学附属病院 麻酔科、3)神戸大学附属病院 臨床工学部門、4)徳島大学病院 ER・災害医療診療部三住 拓誉1)、藤本 大地2)、上野 喬平2)、北 博志3)、今中 秀光4)、溝渕 知司2)【背景】経鼻高流量酸素療法は鼻腔に高流量ガスが流入することによって気道に陽圧環境を作り様々な臨床効果を生み出す酸素療法である。我々は、気管切開患者に対する高流量酸素療法においてもデバイスの工夫によって同様の効果が得られるのではないかと考えた。今回、F & P 社のOptiflowTM 気管切開コネクタを用い、ガス流量を変化させ附属のキャップの位置を通常位と低位にした場合で比較し、呼吸に対する影響を検討した。【方法】同意を得た呼吸機能の正常な術後気管切開患者20名に対し、コネクタを装着した状態で、酸素40%ガス流量20・40・60L/min の各状態においてキャップの高さを通常位(通常群)と低位(低位群)に設置し、1. 食道内圧、吸気流量を測定し、圧容量曲線からその面積を積分して呼吸仕事量を計算 2. 気道内圧を測定 3. 動脈血液ガス(pH,PaO2,PaCO2)を測定し、比較検討した。統計にはWilcoxon single-ranks testを用いP<0.05を有意差ありとした。【結果】呼吸仕事量、血液ガス所見は、各ガス流量とも通常群と低位群の間で有意差を認めなかった。一方、平均気道内圧は全てのガス流量において通常群と低位群の比較で有意差が認められた(中央値mmHg: 20L/min 通常群0.062、低位群0.160; P < 0.001: 40 L/min通常群0.338、低位群0.918; P<0.001: 60 L/min通常群0.954、低位群1.603; P<0.001)。【 考察】キャップを低位に設置することによって平均気道内圧が上昇することがわかった。これは、通常位に比べ低位にすることで気管内に流入する気流が増加したことが主な原因であると考える。DP12-5 High-flow nasal cannula 療法(NHF療法)は人工呼吸器離脱成功に有効である1)国立病院機構 長崎医療センター 救命救急センター、2)国立病院機構 長崎医療センター ME機器センター山田 成美1)、白水 春香1)、日宇 宏之1)、増田 幸子1)、中道 親昭1)、高山 隼人1)、谷脇 裕介2)【目的】当院ではHigh-flow nasal cannula療法(NHF療法)を導入し高い人工呼吸器離脱成功率を得ている。そこでNHF 療法導入前後の症例を検証し、臨床工学的な実験データを元に考察する。【方法】NHF 療法導入前後の2010年から2011年と2013 年から2014 年で気管挿管および人工呼吸器装着例の離脱成功率を比較する。また臨床工学部で得た実験データより人工呼吸器離脱成功要因を検証する。【成績】NHF導入前の抜管成功率は297例中90.57%、抜管後にNPPVによる陽圧換気を要したのは22例だった。NHF療法導入後の抜管成功率は446例中94.17%、抜管後は全てNHF療法を行った。臨床工学部の実験データでは、気管切開を施行した患者7 例でインスピロンT ピースによる酸素投与とHigh-flow による酸素療法を実施し、High-flowによる酸素療法で有意に心拍数が減少、吸気時・呼気時気管内圧が上昇した。この結果よりNHF 療法は自発呼吸サポート効果が高いと考えられ人工呼吸器離脱時の酸素投与療法として有効と考えられた。【結論】NHF療法は人工呼吸器離脱に有効である。DP12-6 2014年におけるハイフローネーザルカヌラによる呼吸管理の解析名古屋大学大学院 医学系研究科 救急・集中治療医学分野東 倫子、日下 琢雅、海野 仁、眞喜志 剛、山本 尚範、江嶋 正志、田村 有人、沼口 敦、角 三和子、松田 直之【はじめに】当講座は,教育・診療・研究指針として策定した救急・集中治療管理バンドルの多くに,「末梢気道開放バンドル」を導入し,全身管理の向上を目標している。その一環として,ハイフローネーザルカヌラ(HFNC)の使用が,2014年には増加してきている。2014年における当講座管理したHFNCによる呼吸管理を解析した。【方法と結果】2014年1月1日から2014年12月31日の1年間で,HFNCを用いた在室2日以上の集中治療症例を抽出した。該当症例は,全18例であり,平均年齢71.6±8.9歳,ICU平均在室日数8.1 ±3.9 日,ICU入室日APACHEII スコア29.3± 4.3,予測死亡率が66.9±13.6だった。疾患の内訳は間質性肺炎の急性増悪が6例(33.3%)と最多であり,重症敗血症が4例(22.2%),肺高血圧症が4例(22.2%)だった。NPPVへの移行は4例(22.2%),気管挿管への移行は1例(5.6%)に留まっており,1症例以外の全例で呼吸状態の改善が得られており,ICU内死亡は1例(5.6%)だった。しかし,28 日死亡は全例で3例(16.7%)であり,いずれもICU 入室時から気管挿管を希望しない症例だった。【結語】APACHEIIスコアが高いにもかかわらず,生命予後は比較的良好だった。しかし,病棟移行後の管理については,再考が必要と評価した。HFNCの使用により,多くの症例でNPPVや気管挿管を回避できており,生命予後の改善につながる可能性があると評価した。