ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ページ
507/910

このページは 第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集 の電子ブックに掲載されている507ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-505-O56-4 血液浄化装置TR-55X での持続血液濾過モードでの透析回路側への濾液逆流現象の検討1)札幌医科大学附属病院 臨床工学部、2)札幌医科大学 医療安全部、3)札幌医科大学 医学部 集中治療医学小川 輝之1)、千原 伸也1)、島田 朋和1)、山口 真依1)、中村 勇輝1)、室橋 高男1,2)、高橋 科那子3)、巽 博臣3)、升田 好樹3)、山蔭 道明3)【目的】当院の持続血液浄化療法は血液浄化装置TR55X(東レメディカル)を用い行っている。持続血液濾過(CHF)での治療時、使用しない透析液回路側ドリップチャンバにわずかな液面上昇を確認した。原因検索したところ透析液ポンプと回路装着時の圧閉不足による濾液逆流であった。この逆流は意図しない除水となり患者に直接影響する。今回、圧閉不足が生じる装着法とそれによる逆流量について検討した。【方法】血液浄化装置TR-55Xと専用回路を用い生理的食塩水で回路内充填した.治療モードをCHFとし、使用しない透析液ポンプと回路を圧閉する前に接触点1箇所および2箇所とし回路装着位置を中心からずらした状態で圧閉した.この状態で血流量を変化させ濾過圧を50mmHg、100mmHg加えた場合のそれぞれの透析液側への逆流量を測定した。同一の実験を計5 回ずつ行った。【結果】接触点1 箇所での逆流量は濾過圧50mmHg で7.0 ± 3.3ml、100mmHg で23.0 ± 5.8ml(p=0.01)、接触点2 箇所では濾過圧50mmHgで9.6 ± 5.7ml、濾過圧100mmHg で22.4 ± 10.1ml であった(p= 0.09).【結果】TR55X はCHF モード施行時には透析液側クランプや計量センサ監視は一切行われていない.常に透析液ライン側の逆流を念頭に置き、確実なクランプやチェックを行うことが必要である.メーカー側はこの報告を受け添付文書への注意喚起とその対策についての追記を決定した。【結論】TR55X におけるCHF モードでの透析液側への濾過液逆流について,ポンプと回路との圧閉方法による濾液逆流現象を検討しメーカーへ情報提供を行なった。持続血液浄化療法は長時間にわたり施行するため,わずかな異常が蓄積すると患者に対する重篤な影響となりうる.治療提供する上で装置の構造や動作特性を十分理解し使用することが重要である。O56-5 持続緩徐式血液濾過器の(1→ 3)- β -D- グルカン値に関する基礎的検討1)北海道大学病院 ME機器管理センター、2)北海道大学病院検査輸血部、3)北海道大学消化器外科I、4)北海道大学移植外科、5)北海道大学病院臓器移植医療部太田 稔1)、岡本 花織1)、加藤 伸彦1)、南 昭子2)、財津 雅昭3)、川村 典生3)、腰塚 靖之3)、後藤 了一3)、山下 健一郎3,4)、嶋村 剛3,5)【背景・目的】(1 → 3)-β -D-グルカン(以下β -D- グルカン)は多くの病原真菌に共通する細胞壁構成成分の一部であり,深在性真菌感染症の補助診断と治療効果判定の指標として使用される.血液透析患者において再生セルロース膜(RC)から溶出したβ-D-グルカンにより偽陽性を示すことが報告されているが,持続緩徐式血液濾過器(CRRT 膜)の影響について調査した報告は極めて少ない.今回,3種のCRRT膜からのβ-D-グルカンの溶出について検討した.【方法】CRRT膜の血液側を生理食塩水1,000mlで洗浄後に血液回路先端から5mlを採取しβ-D-グルカンを測定した.CRRT膜は,ポリスルホン膜(PS)はAEF-13,セルローストリアセテート膜(CTA)はUT フィルター2100,ポリエチレンイミン表面処理アクリロニトリルメタリルスルホン酸ナトリウム共重合体膜(AN69ST)はセプザイリス150を使用した.それぞれのCRRT膜は3本使用し,β-D-グルカンは比濁時間分析法で測定した.比較対象として再生セルロース膜(RC)の透析器CL-EE18NLを使用し,同様に生理食塩液1,000mlで洗浄後に血液回路先端から5mlを3本採取しβ-D-グルカンを測定した.【結果】CRRT膜の洗浄液のβ-D- グルカン値はPS,CTA,AN69ST で測定感度(1.897pg/dl)以下であり,RC で474.5 ± 22.5pg/dl を検出した.【結論】PS,CTA,AN69ST では洗浄液中にβ -D- グルカンを検出しないため持続緩徐式血液濾過中の深在性真菌感染症の補助診断と治療効果判定に影響を及ぼさないものと考えられる.O56-6 持続血液浄化血液回路におけるAeromonas hydrophilaについて1)自治医科大学附属さいたま医療センター 臨床工学部、2)自治医科大学附属さいたま医療センター 腎臓科、3)自治医科大学附属さいたま医療センター 集中治療部安藤 勝信1)、百瀬 直樹1)、大河原 晋2)、神尾 直3)、中嶋 いくえ3)、大城 國夫3)、青松 昭徳3)、中張 浩史3)、森下 義幸2)、讃井 將満3)【目的】今回、CRRTの濾液回路および濾液計量回路からAeromonas hydrophilaが検出された症例を経験した。その経緯および対策に関して報告する。【経過】症例は57 歳男性、骨髄異形成症候群骨髄移植後、髄膜炎疑いによる意識障害の診断で当センターICUに入室し、合併する急性腎傷害に対しCRRTが開始された。CRRTはJUN-55X 505、AEF-10で行い、透析補充液としてサブラッドBSGを使用し、透析液の空タンクを廃液タンクとした。ICU 入室29日目(回路交換48時間後)に濾液回路および濾液計量回路内壁に白帯様の付着物を認めた。回路交換を行い治療を継続するが、16時間後に同部位に同様の白帯を認めたため、細菌塗抹検査および培養を提出した。塗抹でグラム陰性桿菌が確認され、培養によりAeromonas hydrophila が検出された。8日後に排液回路および濾液計量回路に再度白帯を認め、回路内液、廃液タンク内排液、汚物処理層からAeromonas hydrophilaが検出された。その後、廃液タンクをベットパンウオッシャで毎回洗浄消毒をおこない、透析液の空タンクを3 日ごとに廃棄した。その結果、同様なAeromonas hydrophila は検出されなくなった。経過中、血液培養は一貫して陰性で、臨床的な合併症を認めなかった。【考察】Aeromonas hydrophilaはグラム陰性の通性嫌気性桿菌で通常菌体の一端に単毛の鞭毛を持つが、幼若培養菌では周毛が観察されることがしばしばある。また、その発育至摘温度が30~35℃の中温性菌であることから排液が増殖に最適な環境であることが推察される。感染経路は、汚物処理層から「はね」などにより廃液タンクが感染、廃液タンク内で増殖し、ろ液回路が排液に浸水し回路内に汚染が広がったと考えられた。流路があるにしても流れに反して菌が増殖することは様々な環境下で確認がされている。【結語】ろ液回路内にAeromonas hydrophilaの繁殖を経験した。廃液タンク内の汚染を防ぐ対策が重要である。