ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-492-O50-1 当施設における経皮的心肺補助装置患者75 名の後方視的検討 ~予後予測因子の解析~長崎大学病院 集中治療部/ 麻酔科東島 潮、岡田 恭子、矢野 倫太郎、松本 聡治朗、松本 周平、関野 元裕、原 哲也【背景】経皮的心肺補助装置(percutaneous cardiopulmonary support; PCPS)は原疾患の治療効果が望める重症患者において重要な救命の手段となり得るが,PCPS 管理患者の救命率は決して高くはない。今回,当施設におけるPCPS 管理患者の予後に関連する因子を調査することを目的に検討を行った。【対象患者】2009年4月から2014年7月までにPCPSを導入され当院ICUに入室した患者75 名 【方法】上記75名の対象患者を生存群と死亡群の2群に分け,各臨床評価項目について統計学的解析を行った。統計はt検定を用いてp <0.05を有意とした。【結果】対象患者75名中,急性心筋梗塞・狭心症20名,肺血栓塞栓症11名,呼吸器疾患10 名,心筋炎・心筋症9名,その他25名であった。生存群は27名(36%),死亡群は48 名(64%)であった。両群間で有意差を認めた項目は,APACHEII score(26.6±1.0 vs 18.3±1.4:死亡群vs 生存群, p<0.0001),ICU入室時乳酸値(6.8±0.7 vs 4.1±1.0mmol/L, p=0.019),PCPS 導入後24 時間内最低乳酸値(4.6± 5.1 vs 1.5± 1.0 mmol/L, p=0.0002),PCPS 導入後24 時間内最高乳酸値(10.5±7.8 vs 5.0±4.2 mmol/L, p=0.0002)であった。ROC解析では,APACHEII scoreおよびPCPS導入後24時間内最高乳酸値がともにAUC=0.78と予後予測能が高いことが明らかとなった。【結語】ICU 入室初日の経過(患者重症度,PCPS導入後の乳酸値の経過)がPCPS患者の予後に関連する因子であった。過去の知見も踏まえ当院のPCPS 管理患者における現状について報告する。口演 50 心臓・循環・体液管理⑥ 2月14日(日) 11:00~12:00 第7会場O50-2 当院ICUにおける植え込み型補助人工心臓HeartMate II 植込術後管理導入プロセスの報告1)信州大学 医学部附属病院 集中治療部、2)信州大学 医学部附属病院 看護部、3)信州大学 医学部附属病院 高度救命救急センター、4)信州大学 医学部附属病院 医療用電子機器管理センター、5)信州大学 医学部附属病院 心臓血管外科大津 義徳1)、清水 彩里1)、三田 篤義1)、今村 浩1,3)、山田 真理2)、金子 香代2)、塩原 まゆみ2)、道永 祐希4)、瀬戸 達一郎5)、岡田 健次5)【はじめに】当院で重症心不全に対するBTT(Bridge to Transplant)治療として植え込み型補助人工心臓(VAD)HeartMate II を植え込んだ3症例をまとめ、地方大学病院のICUにおける植込型補助人工心臓治療導入のプロセスについて報告する。【症例1】43y.o M ベッカー型筋ジストロフィーに合併した拡張型心筋症。心不全症状出現後4ヶ月目に入院、心不全進行し入院2ヶ月後にHeartMate II 植込術施行、術後ICU滞在7日で一般病棟転棟。【症例2】44y.o M 拡張型心筋症にて5年前より加療中、2年前にMR・Paf増悪に対しMVP/Maze施行後症候性VT頻発しCRTD植え込み施行。移植登録承認後心不全増悪し当院入院し3ヶ月後にHeartMate II植込術施行、術後ICU滞在8 日で一般病棟転棟。【症例3】15y.o M 腹痛・嘔吐を契機とし発症した急性心不全にて前医入院後、特発性拡張型心筋症の診断にて当院転院した。入院4ヶ月後に心不全症状増悪しHeartMate II植込術施行、術後ICU滞在4日で一般病棟転棟。【方法】VAD植え込み術の導入にあたってICUでは1)機器の説明と取り扱いのトレーニング、2)手術-ICU受け入れ―病棟転棟までの予定表の作成、3)症例受け入れ後のフィードバックを行った。設備的には通常の心臓血管外科術後受け入れ準備に加え一酸化窒素吸入療法の併用が予定されたため機材の手配と病室としてシールドルームを準備した。 スタッフの教育はメーカーに依頼して1)のトレーニングを行った、これとは別に事前に想定されるトラブルシューティング表を作成し多職種間で検討会を行った。HeartMate II 植え込み術を当院で開始することを決定後、約3カ月間準備の上患者を受け入れ、3例とも合併症および治療上のトラブルを起こすことなく順調に術後管理施行し一般病棟へ転棟することができた。【結語】新規の高度先進治療を導入するに当たり、多職種間で連携して準備をすることでスムースに導入することが可能であった。O50-3 V-V ECMO施行中にTPTDで得られるデータはECMO 流量に影響されるか京都民医連中央病院 腎循環器センター 救急・集中治療科鶴岡 歩、河本 晃宏、那須 徹也、藤野 高久、井上 賀元【症例】45歳,男性(161cm,136kg,BMI 52.5).Pickwick症候群の疑いにて入院となり,その後呼吸状態悪化したため人工呼吸器管理となった. しかし酸素化の改善が全く見込めない状況が続き,V-V ECMOを導入した.【背景】近年PiCCO2R やEV1000R といった経肺熱希釈法(TPTD)によるモニタリングが施行される症例が増えているが, CHDFやECMOなど体外循環施行中にTPTDで得られるデータがどのような影響を受けるかについての報告は依然として少ないのが現状である.【目的】ECMO流量の違いによりTPTD で得られるデータがどのような影響を受けるかについて検討する.【方法】ECMO system は, 下大静脈脱血(左大腿静脈穿刺21.0Fr), 右房送血(右大腿静脈穿刺19.5Fr)とし, 遠心ポンプ・人工肺・回路はCAPIOXR(TERMO)を使用した.PiCCOsystem(TOKIBO)は, 右内頸静脈にtriple lumen CVC, 右大腿動脈に4Fr A sheathを確保し, 熱希釈法については同一検者により4℃以下に冷却した生理食塩水15ml を計3 回注入し測定した.ECMO のweaning が可能となった時点で,ECMO 流量4L/min(H群)と2L/min(L群)の各条件下で得られるPiCCOデータを収集し,ECMO流量の違いによってデータに影響があるか評価した【. 結果】ECMO 施行中に計13 回熱希釈測定を行うことができた.GEDI はH 群954 ±54ml/m2, L 群872 ± 41ml/m2 でありH 群で有意に高値(p=0.00065)であり,PVPI はH群1.8 ± 0.1, L 群2.0 ± 0.1でありL 群で有意に高値(p=0.00213)であった.【考察】GEDIがH 群で高値となった理由としては,ECMO により前負荷が増えたためと考えられた.今回は4L/min と2L/minの場合でのみ比較検討したが,ECMO を中断した場合と比較してどの程度影響されるかについては検討できておらず, 今後の課題である.【結語】ECMO管理中にTPTD によるモニタリングを行う場合,ECMO 流量がGEDI,PVPIに影響を与えることに注意する必要がある.