ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-491-O49-4 長期化したECMO管理における問題点1)市立札幌病院 臨床工学科、2)市立札幌病院 救命救急センター板坂 竜1)、猫宮 伸佳1)、那須 敏裕1)、前中 則武1)、進藤 尚樹1)、高氏 修平2)【はじめに】近年重症呼吸不全に対するRespiratory ECMO 施行症例が増加傾向である。当院においても症例数は増加し長期化する症例も少なくない。今回、長期化した際の当院ECMO 管理の方法を検討したので報告する。【症例・方法】2013 年1 月から2015年7月までにV-V ECMO を施行した18 症例。その内30日以上の管理となった6例(肺炎3 例、インフルエンザ1 例、気胸1 例、術後換気不全1例)を対象とした。カニューレは内頚静脈脱血、大腿静脈送血を第一選択とした。人工肺はBIOCUBE 6000(NIPRO)、遠心ポンプはRota Flow(MAQUET)を使用。ヘパリンコーティングされたLong回路を用いて過度な陰圧を避けるよう配置し、回路内圧測定にはCardia Press(JMS)を用いている。ECMO Flow を低流量にした際は膜面積の小さい人工肺やHigh FlowShunt(人工肺出口‐ 遠心ポンプ入口)を用いた症例もある。【結果】2例離脱(1例生存退院、1例入院中)、3例非離脱(3例死亡)、1 例ECMO 稼働中である。男性:5 人、女性:1 人、平均年齢:63.6 歳、平均稼働時間:58.5日、平均回路交換回数(人工肺単体も含む):7.8 回。【考察】6 例ともHypoxiaによりECMO 導入し酸素化は改善されたが、自己肺の線維化に伴い換気不全によるHypercapniaがECMO離脱時に問題となり長期化した。またECMO長期管理に伴う出血性合併症が問題となる症例が多く、これに伴い抗凝固薬を休止せざるを得ない症例では人工肺交換の頻度が増加していた。しかし、膜面積の小さい人工肺、High FlowShuntなどの管理により、予期せぬ性能不良は防げたのではないだろうか。自己肺の予備能が低下していた症例では、人工肺交換の際の血圧低下や徐脈イベントが出現する傾向がみられた。【結語】長期ECMO 患者では人工肺に依存した状態となっており、ECMO 管理中は致死的合併症の発症に注意すべきである。今後も安定したECMO 管理に努めたい。O49-5 当院ECMOにおける溶血に関する揚程と陰圧の後ろ向き解析結果について1)心臓病センター榊原病院 臨床工学科、2)心臓病センター榊原病院 循環器外科、3)心臓病センター榊原病院 循環器内科中島 康佑1)、永田 和之1)、大下 智也1)、有道 真久1)、林田 晃寛3)、平岡 有努2)、鍵山 暢之3)、坂口 太一2)【背景】ECMO管理における様々な合併症の一つに溶血があげられるが、主に遠心ポンプにおける揚程と過陰圧によって起こるとされている。ELSOのガイドラインにも「-300mmHg以上で溶血が発生する」とされているが当院での溶血に関する揚程と陰圧のcut off 値は定められていないのが現状である。そこで溶血に関する揚程と陰圧に関して後ろ向きに解析し、一定の見解を得たので報告する。【対象】2012 年9 月から現在までのECMO症例(VA・VV含む)82例を対象とした。【方法】ECMO 管理における最大Flowと回転数から各社カタログ値を参照に揚程を算出し、また送血カニューラの圧損・人工肺の圧損・回路の圧損、更に平均血圧65mmHgとし陽圧を算出した。この結果より陽圧から揚程を引くことによって陰圧を算出した。また血液検査において溶血(+)と判定された症例において揚程と陰圧のcut off値の解析を行った。【結果】陽圧182.3±42.7mmHg、遠心ポンプ揚程387.2±163.0、陰圧-204.9±148.6であった。またそこから得られたDataを元に更に解析を行った結果、ROC曲線を用いて揚程440mmHg(AUC0.782)、陰圧-275mmHg(AUC 0.775)を得ることが出来た。【考察】今回の解析では粘性等を考慮に入れていない為限界はあるが、今後は解析結果から算出された揚程と陰圧を考慮に入れて送脱血管の選定・追加を行っていくべきであると考えている。またこれらに関しては様々な報告・経験での話を聞くが、下肢合併症のない適正サイズ(CT等あれば送血部位の70%以下の送血管を選定する)の送脱血管の選定を行うにあたっては、揚程を400mmHg以下にすることを考慮すると当院でも陰圧を-150mmHg 以上に抑えるべきであると考えている。O49-6 長期型(シリコンコーティング)膜型人工肺の使用時における、早期にガス交換能を低下させる因子の検討浜松医科大学医学部附属病院 医療機器管理部加茂 嗣典、江間 信吾、川村 茂之、伊藤 裕美、大村 守弘、森田 耕司、林 秀晴【はじめに】体外式肺補助法(Extracorporeal Membrane Oxygenation:ECMO)は重要な救命手段として普及している。長期管理においては安定したガス交換能を有することが重要で長期型膜(非対称膜や複合膜)が用いられることが多く回路交換の頻度も軽減する。一方で長期型膜使用においても、ガス交換能が早期に低下する症例も経験する。【目的】今回、泉工医科工業社製の長期型シリコンコーティング膜型人工肺エクセラン(以下エクセラン)を使用し、頻回な人工肺の交換を要した症例について、臨床的特徴を明らかにすることを目的とした。【症例と経過】34歳、男性、皮膚筋炎を発症し入院となった。入院から約1ヵ月後に間質性肺炎の増悪と気胸発症による高度な呼吸不全のためV-VECMOを導入した。導入後、計7回の回路交換を実施(エクセラン5回)した。エクセラン使用1~3回目は定期交換(平均9.0日)、4~5回目はガス交換能低下(平均4.0日)のため交換した。V-VECMO開始40日後にCHDFを開始し、45日後に多臓器不全合併のため死亡した。【方法】エクセラン使用開始から3 回目の回路交換(長期交換)までと、回路交換の間隔が短くなった4回目の開始~5 回目終了時(短期交換)でECMO 設定条件及び検査データを比較した。【結果】ECMO設定条件は、ガス流量(長期:平均4.0L、短期:平均8.3L)、吹送ガス対血流量:V・/Q・(長期:平均1.1、短期:平均2.3)が短期交換時で増加した。検査データでは、白血球数(長期:平均8.3×103/μl、短期:平均15.4×103/μl)、プロカルシトニン(長期:平均0.5ng/ml、短期:平均3.6ng/ml)、フィブリノーゲン(長期:平均370mg/dl、短期:平均483mg/dl)はそれぞれ短期交換時に高値を示していた。【まとめ】白血球数、プロカルシトニン、フィブリノーゲンが高値を示す症例では、長期型膜型人工肺のガス交換能を早期に低下させる可能性が示唆された。