ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-490-O49-1 HIT におけるヘパリンコーティングカニューレを継続使用したPCPSに対して, 血小板数の回復を認めた1 症例1)国立循環器病研究センター 臨床工学部、2)国立循環器病研究センター 輸血管理室、3)国立循環器病研究センター 麻酔/ 集中治療科吉田 幸太郎1)、林 輝行1)、前田 琢磨2,3)、四井田 英樹1)、西垣 孝行1)、高橋 裕三1)、小川 浩司1)、松本 泰文1)、服部 希衣子1)、宮田 茂樹2)【背景】ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)と診断すれば, ヘパリンコーティング(HC)された医療材料を中止することが推奨されている. しかし, HITにおけるHC の影響は報告が少なく不明である. 今回, 経皮的心肺補助法(PCPS)のHCカニューレに関しては, 交換に伴うリスクを考慮して継続使用したが, 血小板数の回復を認めた症例を経験したので報告する. 【症例】47歳男性.身長180cm, 体重83kg. 背部痛, 発熱を主訴に受診. 徐々に心機能低下による循環不全を認めたことからIABPおよび PCPSを導入後, 当院へ搬送となった. 心筋生検により劇症型心筋炎と診断, 頭部CTでは脳梗塞の所見を認めた. 【方法】PCPSシステムは平和物産社製EndumoR-6000, そのシステムのHCはT-NCVCRコーティング(イオン結合), 送脱血カニューレはメドトロニック社製バイオメディカス21・23Fr, そのHC はCarmedaRバイオアクティブサーフェス(共有結合)を使用した. 【臨床経過】血小板数は入院直後8.5 万/ μ L, 第4 病日から2.9 万/ μ L と低下を認め血小板輸血を実施, 第7病日に再度2.8 万/ μL へ低下, HIT を疑い酵素免疫測定法および機能的測定法により陽性の結果を得てHIT と診断した. 直ちに抗凝固剤をヘパリンからアルガトロバンへ変更, 第10 病日にPCPS システムをノンヘパリンコーティングへ交換したが送脱血カニューレは継続使用した。第10 から第18病日までの血小板数は4-6 万/ μL で推移したが, 第19 病日に7.7 万/ μ L と血小板数の回復を示し, 第22 病日には10 万/ μ L 台へ上昇した。第21病日の頭部CT では軽度の出血性脳梗塞を認めたが, 心機能の回復に伴い第25病日にPCPSを離脱した. 【考察および結語】HITと診断すればHCを有した医療材料を中止すべきであるが, 交換できない場合の対応方法は明確に決まっていない. HCの影響は血液接触面積やヘパリン結合方法の違いでヘパリン溶出量が異なるため, 各HC のヘパリン溶出量を検討する必要がある.口演 49 心臓・循環・体液管理⑤ 2月14日(日) 11:00~12:00 第6会場O49-2 気管支喘息発作を発症した17kg女児に対するダブルルーメン体外循環肺補助用カニューレによるECMO の経験1)沖縄県立南部医療センター・こども医療センター MEセンター、2)沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 小児集中治療科大城 幸作1)、藤原 直樹2)、八坂 有起2)、制野 勇介2)【はじめに】呼吸不全に対するV-V ECMOでは2本のカニューレを使用し、内頸静脈や大腿静脈での送・脱血が行われるが、今回、気管支喘息重積発作によるCO2貯留のため、右内頚静脈から15Frダブルルーメンカテーテル(ヨストラ体外循環肺補助用カニューレ)を用いて、ECCO2R(extracorporeal CO2 removal)を目的とし、血流量800ml/min(47ml/kg/min、CI 1.1L/min/m2)の少ない流量にてECMOを維持し、脱血管の追加をせず、救命し得た症例を経験したので報告する。【症例】5歳、17kg女児。TV120ml を確保するのにPIP50cmH2O必要であったため、Manual baggingにてベネトリン吸入を施行されていた。血ガスデータとしてCO2196mmHg、PO2234mmHg、pH6.956 とアシデミアコントロール不能のため、ECMO 導入となった。ECMO 導入の際、酸素化は保っていたため、高血流量での補助は必要でないと判断し、細径のダブルルーメンでのECMO 導入。血ガス結果では20分後でCO265.3mmHg、60 分後で28.91mmHg までの改善。4日目にはECMO離脱し、7日目には抜管となり、神経学的異常は認められなかった。脱血圧は-34mmHg、送血圧は人工肺入口・出口で433mmHg、360mmHg であり、流量の制限は脱血よりも送血側にあった。【使用機器】人工肺・回路は泉工社製SOLAS、コンソール・遠心ポンプはSORIN社製SCPC を使用した。【結語】低酸素を伴わないECCO2R 目的のECMOでは、ダブルルーメンカニューレでの低流量補助でも有効であった。O49-3 心筋炎に対しPCPSを施行した13 例の検討東京医科歯科大学医学部附属病院 MEセンター倉島 直樹、佐藤 由利、星野 春奈、野田 明里【はじめに】循環不全に伴う機械的補助はIABP、PCPS が選択とされる。心筋炎症例は他の疾患に比べ、救命率は高い。しかし、PCPSでの循環補助は完全に代行できるとは言えない。症例によってはPCPSによる後負荷増大に伴う肺うっ血や細径カニューレに伴う溶血など臓器不全を進行させる問題点も多い。【方法】今回、本学において2008 年から2015 年4 月までに経験した13例において管理期間、予後、補助循環方式について検討したので報告する。【結果】平均年齢38 歳、性別男性6 例、他施設からの転院8例(61.5%)で全例補助循環併用化に転院搬送症例。本学でのPCPS管理期間4.8日、30日生存11例(84.6%)、独歩退院7例(53.8%)、IABP 併用11 例(84.6%)、CBP 併用6 例(46.1%)、体外式補助人工心臓移行(全例両心補助)5 例(38.4%)であった。【考察】転院症例が6割と多く、そのうち5例がPCPS離脱不可能であり、両心補助へと移行したが、予後不良であった。両心補助法は、左心補助にニプロ社製補助人工心臓を装着し、右心補助としてFV-PA 送血PCPS を用いた。直近の1 例では、両心共に遠心ポンプを用いた補助とした。直近1 例は、前医でも補助循環日数が1日と短く、両心に遠心ポンプを使用することで、高流量での補助が可能であった。心筋炎は救命率が高いが、PCPSによる合併症を考慮し、デバイス選択を行うことが重要であると考えられた。