ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-482-O45-1 CNS-FACE の改訂ポイントと改訂版の内容1)山口大学 大学院 医学系研究科、2)小倉記念病院、3)日本赤十字九州国際看護大学山勢 博彰1)、立野 淳子2)、田戸 朝美1)、山勢 善江3)【目的】重症救急患者、集中治療を受ける患者の家族ニードとコーピングを測定するツールであるCNS-FACEの開発から12年が経過した。そこで、CNS-FACE の測定の妥当性と効率性を高めるため、2 年前より改訂版の作成に取り組んできた。今回は、CNS-FACEの改訂ポイントを明らかにし、それに基づいて作成した改訂版の内容を紹介する。【方法】CNS-FACEの利用実態と利点、欠点・改善点について、CNS-FACEを使用している看護師208名を対象にしたWeb 調査と、16 名に対するインタビュー調査の結果を基に評価項目の修正を行った。調査によって明らかとなった改訂ポイントに基づき、改訂版CNS-FACE(WEB版)を作成した。調査に関しては、所属する大学の研究倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】調査結果から、<評価項目の洗練と項目数の検討><病期に応じたアセスメントの視点がわかるようにする><経時的変化を一覧できるようにする><ポータブル型PC などでも評価できる>の改訂ポイントが明らかとなった。これを基に、評価項目を洗練した。結果の表示では、横棒グラフだけでなくレーダーチャートによる表示、日ごとの経緯がわかる折れ線グラフ(トレンドグラフ)を追加した。さらに、個別のアカウントを付与し、過去の結果と対比させる機能も追加した。【考察および今後の課題】調査結果を基にしたCNS-FACEの改訂を行い、初期バージョンより評価結果をよりビジュアルでわかりやすく表示できるものとなった。今後は、改訂版による実際の測定データを収集し、ツールとしての信頼性と妥当性を検証する予定である。また、アプリケーションソフトは、Windows版とiOS版を作成し、ポータブル型PC などでも活用できるものを目指している。口演 45 倫理・終末期・看護ケア 2月14日(日) 11:00~12:00 第2会場O45-2 ICU における体外式VAD装着患者の終末期看護の一例~家族と共に終末期に向き合えた事例を通して~1)東京大学医学部附属病院 看護部、2)東京大学大学院医学系研究科健康科学 看護学専攻荒木 知美1)、池田 真理2)、加藤 翼沙1)、山本 則子2)【緒言】補助人工心臓(ventricular assist device:VAD)装着患者の多くは、心移植へむけて長期間待機するが、待機中に合併症を発症し、終末期をむかえる者もいる。その際、循環補助がなされているため、緩徐に多臓器不全が進み、ゴールの見えない治療が継続されることがある。本研究はVAD 装着患者の、終末期に向けて行った看護について検討し、患者と家族が望む最期を支えた看護実践について明らかにすることを目的として実施した事例研究である。【方法】担当看護師チームが看護記録より看護実践内容を振り返り、詳細に文章化した。看護師チームの主任及び研究者が共同で内容を検討し、実践の意図にそって看護実践についてのカテゴリーを生成した。【結果】対象は虚血性心筋症により体外式VAD を装着した40代男性とその家族で、ICU を経て一時改善し、一般病床に転棟した。その2ヶ月後脳出血を発症しICUへ再入室するが、回復せず約1ヶ月半後にICUにて永眠された。看護ケアは以下の4つのカテゴリーにまとめられ、1.家族の現状を把握するため、家族それぞれと対話し、IC に同席することで、受け止め状況や反応を観察した。2. 患者と家族が安心できるように、家族へ患者の様子を伝え、回復期には家族にケアへの参加を促した。3. 家族が相談しやすくなるように、積極的に会話し、話しやすい関係を築くよう努めた。また、家族をねぎらい、共感の姿勢で接することに努めた。そして、4.患者と家族が満足できるように、最後の過ごし方について希望を聞き出し、家族と協同して実施した。【考察】本事例では、患者・家族と信頼関係を築き、相談しやすい関係を保つことで、患者・家族の悲嘆や不安をできるだけ軽減できたようだった。患者が意思決定出来なくなった場合、家族が満足できる終末期を迎えるためには、家族の希望をかなえられるよう、家族と同じ方向に向かって協同して様々な看護ケアが実施されていることが明らかになった。O45-3 救命救急センターにおけるグリーフケア1)北里大学病院 救命救急・災害医療センター EICU、2)北里大学 医学部 救命救急医学、3)北里大学病院 医療支援部上高 円佳1)、土屋 志保1)、片岡 祐一2)、新井 久稔2)、高橋 恵3)、山野辺 みち子1)1.はじめに 当院救命救急センター(以下当センター)は、生命危機に瀕した救急患者とその家族に対応しており、患者や家族の悲嘆への介入頻度が高い。また、重症患者の多くは家族が患者の代弁者となり意思決定しなければならないことが多い。2015年6月より3学会合同ガイドラインに則り、多職種によるグリーフケアチームを立ち上げ活動を開始した。グリーフケアチームの活動の実際と、今後の課題について検討したため報告する。2.カンファレンスの実際 2015年6月1日から7月30日の期間、カンファレンスは週2回(月曜日、木曜日)計17 回開催し、当センター搬送患者のうち救急外来15 名、救急ICU42名、救急病棟20名を対象とした。メンバーは医師(救急科・精神科)、看護師(救急ICU・救急病棟・救急外来・グリーフケアナース・トータルサポートセンター)、医療ソーシャルワーカーの多職種で構成した。対象は突然の発症・受傷により生命危機状態に陥った患者とその家族、当センター搬送時に心肺停止状態であった症例や自殺企図による症例など、患者や家族の悲嘆が大きいと考えられた症例であった。カンファレンス内容は、病状の受け止めや身体的・精神的苦痛に対する支援、治療方針の確認や患者の家族背景、病棟移動後の継続支援の必要性などについて検討した。転帰は全体の58%が他病棟への転棟と転院であり、40%が当センターでの死亡退院だった。3. 考察と今後の課題カンファレンス開催時は、死別に対する悲嘆への介入が中心になると想定していた。しかし、実際は発症・受傷に伴う動揺や今後に対する不安、精神疾患に伴う家族の心理的負担などの問題が抽出された。抽出した問題を多職種で共有することで、認識のずれを修正でき、専門性を生かした早期介入が可能となった。今後は症例数を増やし、カンファレンスで抽出する問題をカテゴリー化し特性を把握していく。また、グリーフケアチームの活動目標を明確にしていく。