ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-477-O42-4 国際栄養調査結果からみたICU の栄養管理の現状と課題1)済生会横浜市東部病院 栄養部、2)済生会横浜市東部病院 集中治療科原口 さやか1)、大村 和也2)、工藤 雄洋1)、藤谷 朝美1)、高橋 宏行2)【背景】 集中治療領域において、早期経腸栄養や適正量の栄養補給がガイドラインでも推奨されている。しかし実際の臨床ではこれを達成できていない症例も多い。当院ではICU に管理栄養士が配置され、カンファレンスで多職種により栄養処方を検討している。【目的】国際栄養調査において、ICUにおける栄養管理に関する観察研究がなされており、今回本研究に参加したので当院におけるICUの栄養管理について報告する。【方法】対象:国際栄養調査のプロトコルに従い、ICU 入室時もしくは入室後48 時間以内に人工呼吸管理を要し、72時間以上ICUに滞在した18歳以上の患者30例(71±13歳、男性26例・女性4例)。期間:2014 年10月~2015 年2月内容:栄養補給ルート・開始時期・補給内容、血糖値【結果】調査期間中に腸を使用できなかったのは2例。経腸栄養を実施した28例において、開始時期はICU入室後38時間であった。また内11例は経静脈栄養と併用で栄養補給が行われた。目標栄養量の80%を達成したのは、エネルギーは入室7 日目、たんぱく質は入室8日目であった。血糖値は141± 39mg/dL、総入室日数あたり180mg/dL以上を示したのは14%(0-71%)、入室中低血糖を示した例はなかった。【考察】当院ICUにおいて、経腸栄養は早期に開始できており、また入室1 週間で目標栄養量の80%をほぼ達成できていた。しかし、目標量に近づけることはできているが、急性期における適正な投与量の把握は難しく、行われた栄養療法の評価も重要であると考える。また平均血糖値は140-180mg/dL 内であったが、入室中に高血糖であった日数は症例によって0-71%と大きな差がみられ、課題として血糖管理が挙げられる。今後は目標栄養量の設定と投与栄養内容の見直しを行い、個々の患者の病態や重症度にあわせた栄養療法へつなげていきたい。O42-5 国際栄養調査2013:本邦におけるグルタミンの投与の実態1)自治医科大学附属さいたま医療センター 麻酔科集中治療部、2)神戸市立医療センター中央市民病院 麻酔科/NST、3)自治医科大学附属さいたま医療センター 看護部小山 洋史1)、東別府 直紀2)、中川 温美3)、神尾 直1)、讃井 將満1)目的:本邦のICU において、実際のグルタミンの投与量や予後への影響についての大規模なデータは今までにない。2013 年の国際栄養調査の結果から、グルタミン投与に関してのデータの解析を行ったので報告する。方法:2013 年に25カ国190施設(本邦20施設)のICUにおいて、ICUに入室して48時間以上人工呼吸器を要した18 歳以上の患者を横断的に調査して、入室から12日間の栄養投与と臨床データの採取を行った。本データを基に、本邦と海外におけるグルタミン投与患者の割合、投与量、グルタミン投与を行った疾患群に関して比較を行った。グルタミン投与、並びに投与量と死亡との関連について解析を行った。結果:グルタミンの投与が行われた患者の割合は海外4.8%(177/3661)、本邦26.6%(101/379)であった(< 0.05)。投与群における投与日1 日当たりの平均投与量は海外22.9g/day(0.31g/kg/day)、本邦で8.7g/ 日(0.15g/kg/day)であった(< 0.05)。年齢の中央値は海外投与群61 vs 非投与群63(= 0.30)、本邦66 vs 68(= 0.39)であり、APACHE2スコアの中央値は海外投与群21vs非投与群22(= 0.42)、本邦25vs22(< 0.05)であった。投与群においては海外では外傷が多く(海外27.7%vs 本邦6.9%)、本邦では心血管系が多かった(海外3.4%vs本邦32.6%)。多変量解析において、海外ではグルタミン投与と60日死亡が関連し(<0.05 オッズ比1.73)、総投与量と60日死亡とも関連した(<0.05 オッズ比1.19)。一方本邦のデータでは、グルタミン投与群が有意に60日死亡の低下と関連があったが(<0.05 オッズ比0.39)、総投与量との関連は認められなかった(=0.77)。結論:海外と比較して、本邦においてのグルタミンを投与した患者の割合は多く、投与日1日あたりの投与量は少なかった。既存のデータと同様に、海外では投与群で死亡と関連があったが、本邦では死亡の低下と関連があるという逆の結果となった。投与量や疾患群の差異による影響が示唆された。O42-6 集中治療領域における胃蠕動薬の使用状況について~国際栄養調査の結果から~1)聖路加国際病院 循環器内科、2)神戸市立医療センター中央市民病院水野 篤1)、東別府 直紀2)【目的】集中治療領域におけるGastroparesisは30~50%と高頻度に認められ、電解質および血糖コントロールを行う事やオピオイドなどの胃蠕動を妨げる薬剤を中止する以外に、エリスロマイシンやメトクロプラミドなどの胃蠕動薬の投与が一つの治療法となる。日本においては集中治療医の判断で各薬剤の適応を検討されているが、これらの胃蠕動薬の使用状況に関してはほとんど情報がない。【方法】調査対象基準は2013年に施行された国際栄養調査対象症例全例である。国際栄養調査の対象は集中治療室入室前後より気管挿管, 人工呼吸を行い、72 時間以上の集中治療室滞在した,各施設連続8 症例以上である。本研究における胃蠕動薬にはエリスロマイシン、メトクロプラミド、ドンペリドン、イトプリド、モサプリド、パンテノールが含まれた。【成績】総34420症例日の中、日本では3451症例日が登録されていた。胃蠕動薬の投与は11.0%であり、全世界では17.6%でありやや日本では少ない傾向にあった。日本での胃蠕動薬の投与割合は胃蠕動薬投与された症例日中、エリスロマイシン(8.2%)、メトクロプラミド(48.8%)、ドンペリドン(20.3%)、イトプリド(12.4%)、モサプリド(33.0%)、パンテノール(0.3%)とメトクロプラミドが最も多い状況であった。【結論】日本での胃蠕動薬の投与状況の現状を判断し、今後実際のGastroparesis の頻度および治療介入の質に関して検討してゆくべきだと考えられた。