ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-475-O41-4 人工呼吸管理を含む集中治療を実施した急性心不全患者への栄養療法1)堺市立総合医療センター 呼吸器内科、2)堺市立総合医療センター 栄養サポートチーム、3)堺市立総合医療センター 循環器内科郷間 厳1,2)、小原 章敏3)、西田 幸司1)【目的】人工呼吸を要する急性重症心不全病態への栄養療法と効果については未だ明確な指針は得られていないと考える.特に,循環動態が落ち着いておらず経腸栄養開始が難しい時期の静脈栄養の有用性は明らかになっていない.ICUで集中治療中の栄養療法が経過に与える影響をNST 介入記録より検討して今後の指針の参考とすることを目的とした.【方法】週1 回実施しているICU 入室中重症例へのNST 回診症例のうち人工呼吸管理を必要とする急性重症心不全症例の栄養投与と状態の経過に対する後ろ向き観察研究.【結果】2012年9月から2015年3 月までのICU入室重症患者へのNST介入実症例数204例中,急性心不全症例は35例であった.初回介入時のICU在室平均日数は4.7 日.男性19 例,女性13例.平均年齢70.6歳.急性心筋梗塞23例,心肺停止蘇生後心不全2例,慢性心不全増悪10 例.初回回診時の蛋白投与の有無がエネルギー投与量500 kcal 以上か以下かを分けることになっており,蛋白投与ゼロの19例では,投与エネルギーは平均277 kcal(0~500 kcal),蛋白投与ありの16例では投与エネルギーは平均934 kcal(560~1337 kcal)であった.30日以内死亡は8例認め,このうち6例が初回の回診時の蛋白投与がなかったが,ECMO使用3例を含み,より重症の病態であった.30日以内生存27例のうち初回回診時の血清アルブミン値は平均2.6 g/dL,経過中のアルブミン値最低値は蛋白投与が遅かった群と早期開始の群で,いずれも平均2.1 g/dLであった.長期療養を要した1例を除く生存26例中,早期蛋白投与なし13 例,あり13 例とすると入院期間はそれぞれ32.2日と44.5日であった.【考察および結論】今回検討対象症例の大半は,悪化前に慢性の栄養障害がなかったと推測され,生命予後の点からは一時的なunderfeedingは許容される可能性が考えられた一方で,入院期間に対しての栄養療法の影響は明確とならなかった.O41-5 心不全入院患者に対する栄養管理と指導 ― 文献検索とメタ解析1)社会医療法人近森会 近森病院 臨床栄養部、2)高知大学医学部麻酔科学・集中治療医学講座宮島 功1,2)、矢田部 智昭2)、田村 貴彦2)、横山 正尚2)【緒言】心不全入院患者に関する早期栄養管理に関する明確なエビデンスはない。また、入院中の栄養指導が再入院予防に有効であるとする研究がある。心不全入院患者に対する栄養管理と指導が再入院率および死亡率に与える影響について文献検索とメタ解析を行った。【方法】栄養管理については2015 年4 月にPudMed,Cochrane Library,Ovid medline,医中誌で((heart failure OR cardiacfailure OR cardiac insufficiency OR cardiac dysfunction)AND nutrition AND randomized)をキーワードに、栄養指導については2015 年7 月に、PudMed で(diet OR counseling OR education OR nutrition)AND (randomized) AND(heart failure ORcardiac failure OR cardiac insufficiency OR cardiac dysfunction) および、(heart failure OR cardiac failure OR cardiacinsufficiency OR cardiac dysfunction)AND(multidisciplinary and randomized)をキーワードに各々ランダム化比較試験を抽出した。文献検索と精査は栄養管理については独立した3名で、指導については2名で行った。メタ解析はReview Manager Version5.3(RevMan)(The Cochrane Collaboration, 2014; The Nordic Cochrane Centre,Copenhagen, Denmark)を用いて行った。【結果】栄養管理について検索された論文は299編あり、条件に合致した39 編を精査したが、心不全患者の早期栄養管理についての研究はなかった。指導については重複した174 編を除く1297 編のうち条件に合致した35 編を精査した。入院中の栄養指導は,90 日、180 日以内の再入院率を有意に低下させた(オッズ比 0.53[0.37-0.76], p=0.0004; 0.44[0.27-0.72], p=0.001)。しかし、死亡率には影響しなかった。【結語】心不全入院患者の早期栄養管理に関する研究はなく,今後,この分野での研究の必要性が明らかになった。また、入院中の栄養指導は,患者の再入院率を低下させることが明らかなとなった。O41-6 集中治療室における急性期心不全患者の血中BNPと栄養状態の関連性の検討社会医療法人近森会 近森病院 臨床栄養部宮島 功、宮澤 靖【はじめに】血中BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド:brain natriuretic peptide)は、心不全が重症であるほど血中濃度が高値を示し、心不全のバイオマーカーとして心不全診療に利用されている。BNP と栄養状態の関係についての報告は少なく、今回、急性期心不全患者の血中BNP 値と栄養状態の関連性について検討した。【方法】対象は、2014 年9 月から2015 年5 月に、心不全にて当院集中治療室に入院した患者とし、緊急手術患者は除外した。入院時の血中BNP値で3分位に群分けし、BNP が低値の群から、Q1、Q2、Q3 とし、各群の患者背景および栄養関連因子について比較検討を行った。【結果】対象者数は、139名(男女比=75:64)で、平均年齢は79.0±11.3歳であった。各群間で年齢、性別に有意差は認めなかった。入院時のEF は、BNP の値が最も低値であるQ1 に比べ、Q3 で有意に低値であった(50.3 ± 16.9、41.6 ± 14.8、%:p < 0.05)。また、BMI はQ1 に比べQ3 で有意に低値であり(24.5 ± 4.3、21.3 ± 3.3kg/m2:p < 0.01)、%AMC においてもQ1 に比べQ3 で有意に低値であった(109.0 ± 13.6、100.1 ± 10.9%:p < 0.01)。また、栄養状態の指標であるMNA-SF はQ3 がQ1 に比べ有意に低値であり、CONUTスコアは有意に高値であった。ICU在室日数および在院日数は、有意差は認めなかったがBNPが高値の群でより長期となる傾向にあった。また、退院時のAlb 値がQ3はQ1に比べ有意に低値を認めた。【考察】血中BNPの値が高値の患者ほど、EFは低値であり心機能の低下が示唆された。また、BNPが高値の患者ほど、痩せ型で骨格筋が少なく、栄養状態が悪い傾向にあり、入院時の血中BNPの値が栄養状態および体格、骨格筋量に関連があることが示唆された。また、退院時のAlb値も低値を示しており、入院時のBNPが高値の患者は、より積極的な栄養サポートが重要であると思われる。