ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-473-O40-4 頸動脈血行再建術における過灌流症候群とせん妄についての評価1)筑波メディカルセンター病院、2)旧 筑波メディカルセンター病院鈴木 利枝1)、松井 智美2)、金子 勇輝1)、福田 久子1)【目的】頸動脈血行再建治療として、内膜剥離術(CEA)と頸動脈ステント留置術(CAS)経皮的血管形成術(PTA)が行われているが、術後合併症として過灌流症候群が挙げられる。術後過還流所見に加えせん妄を発症した症例と、過灌流の所見を認めたがせん妄を発症しない症例があった。過灌流症候群とせん妄との関係性について検討したので報告する。【方法】2013 年5 月~2015年7月までの期間、定時手術に限定し頸動脈血行再建治療(CAS21名・CEA34名・PTA3 名)の患者58名の患者を対象とした。対象年齢60~87歳 平均74歳。性別男性51 名 女性7名。診療記録より、(1)術後過灌流症候群の所見(SPECT所見、医師が臨床所見より過灌流症候群と判断したもの、血圧、自覚症状)(2)降圧薬使用後血圧が医師の指示範囲内となるまでの時間、過灌流症候群所見と合わせ、せん妄発症有無を後方的に調査した。せん妄の発症の判断にはICDSC ツールで4点以上をせん妄発症、4 点以下をせん妄なしとした。【結果】過灌流症候群の所見があり、せん妄を発症した患者は58 例中9 例であった。そのうち、降圧薬による血圧管理に時間を要した症例は7 例であり、ICDSC ツール4 点でせん妄を発症していた。過灌流の所見はあったが、せん妄を発症しなかった患者は57 例中3 例であった。早期に血圧コントロールが図れた症例は2例でICDSC ツール4点以下であった。1例は血圧コントロールを有しなかった。過灌流症候群の所見がなくても、せん妄を発症した症例は4例であり、血圧コントロールを必要としなかった。【考察】血圧上昇が続くと過灌流の状態が遷延し、せん妄を発症しやすいと考えられる。そのため、術後過灌流症候群の所見を認めた場合は、バイタルサインや自覚症状の継続した観察とともに、降圧薬使用による速やかな血圧コントロールがせん妄予防の一予測項目であることが示唆された。O40-5 ICU・HCU 看護師のせん妄に対するとりくみ~CAM- ICU導入前後の意識と行動の変化~都城市郡医師会病院佐藤 支保、本田 飛鳥、仮屋 千穂【背景】A病院、ICU・HCUはオープン型の運営形態であるため、各科主治医の事前指示に従い看護師の判断で対応することが多い。その中で、不眠やせん妄の対応に個人差があることを問題と捉え本研究を行った。【研究方法】看護スタッフを対象に学習会を行い、その前後で在院日数、人工呼吸療法期間、自発覚醒トライアル(SAT)開始までの日数、せん妄発生率と薬物療法の調査を行った。対象期間は学習会前の11ヶ月間(A期間)と、学習会後の11ヶ月間(B期間)とし、カルテより情報収集した。【倫理的配慮】意識調査は自由参加であること、個人が特定されないよう配慮し、データは研究のみに使用することを書面で説明した。【結果】学習会前の調査では、せん妄を正しく理解していると答えたものは24%と低い割合であったが、半年後の調査では94%に増えた。また「予防に努めるようになった」「せん妄の評価回数が増えた」の回答が増加した。延べ入院患者数、入室時SOFAスコアは両期間で差はなかったが、平均在院日数は5日間の短縮となった。せん妄発生率はA期間10.7%、B期間13.1%と増加していた。人工呼吸器使用率はA期間46.7%、B期間36.4%と差があったが、SAT 開始までの期間は両期間で有意差はなかった。薬剤療法についてはブロチゾラムとゾルピデム、抑肝散の使用率が減少し、リスペリドンが増加した。【考察】せん妄は患者の予後や医療費の増大と関連しており、早期発見と予防が重要である。本研究では、評価ツールの導入がせん妄と認識されるケースの増加につながり、また、予防を目的とした薬物療法に変化したことが示唆された。しかし、過活動型のせん妄にのみ焦点を当てており、発見されにくい低活動型せん妄への対策は今後の課題である。【結語】CAM- ICU の導入により、せん妄に対する知識や対処方法についてスタッフの認識は向上した。O40-6 A 病院集中治療室におけるABCDEバンドル導入の活動報告国際親善総合病院菅 侑也、佐々木 亜理沙、飯島 正美、澤田 大輔【背景と目的】近年,ABCDE バンドルやJ-PAD ガイドライン, 人工呼吸器離脱に関する3 学会合同プロトコルが公表された. これらは集中治療領域に携わるすべての医療者に共通の言語として適切に認識・活用され, 患者のアウトカム改善に繋がることを期待されているが, 我が国のICUは鎮痛・鎮静・せん妄評価のルーチン化は立ち後れている現状である. そして諸戦略は多職種のチーム医療が重要であり,如何に導入・継続するかが臨床現場の課題である.当ICUは「ABCDEバンドルワーキングチーム」を2013年に発足. 指針内容の周知・広報活動・各分野(疼痛:BPS,NRS. せん妄:ICDSC)の評価ツールの導入を行ったため活動内容と結果を報告する.【方法】対象:ICU看護師,医師,関係職種. 期間:2013年12月より活動開始.データ集計期間:2015年4月~7月.活動内容:2013年12 月~2014年3月:せん妄の認知度向上を図るため「せん妄新聞」というA4 用紙にテーマを設けた資料を全4 回に分けて配布. 配布先は当院の各診療科部署.医師にはICU合同カンファレンス時に配布.2014年4月~2015年3月:次年度せん妄スケール導入に向け,せん妄をテーマにしたミニレクチャーをICU看護師対象に全3回開催.勤務中に行えるよう15分間で行い,全員聴講するまで開催.2015年4月:ICDSC導入,使用率集計開始.ABCDEバンドルをテーマに1ヶ月毎にミニレクチャーを開催.集計はExcelを使用.ICU入室全患者対象とし各勤務帯の記録から集計.6月からNRS,BPS使用率集計開始.NRSはICU入室となった外科術後患者,BPSは人工呼吸管理患者を対象.結果は病棟会で月次報告した【. 成績】ICDSC使用率は4月82.8%,5月83.1%,6月86.9%,7月88.4%.疼痛スケール使用率は6 月NRS46.3%,BPS48.3%.7月NRS65.9%,BPS50% だった.【結論】使用率からせん妄評価は定着し始めていると考えられる. 疼痛評価はせん妄評価より低い使用率となった。