ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-470-O39-1 足部の位置と運動間隔が下腿パンピング運動中の総大腿静脈血流速度に及ぼす影響について1)東京工科大学 医療保健学部、2)兵庫医療大学 リハビリテーション学部高橋 哲也1)、森沢 知之2)【目的】深部静脈血栓症予防を目的に行われる下腿パンピング運動の最適な方法を検討する基礎研究として、総大腿静脈血流速度に及ぼす足部の位置と下腿パンピング運動間隔の影響を検討した。【方法】対象は健常男性10名。ベッド上で足部の位置を変えた3 種類の肢位(Supine、Head up、Leg up)を取り、安静時と運動の間隔が異なる(休息なしで繰り返す、底背屈後に休息2 秒を入れ繰り返す、底背屈後に休息4秒を入れ繰り返す)下腿パンピング運動を行わせた。その時の総大腿静脈最大血流速度を、超音波画像診断装置(ACUSON P300 Ultrasound System,SIEMENS)を使用してパルスドプラ法にて鼠径部で測定した。【結果】総大腿静脈最大血流速度は、休息なしで下腿パンピング運動を繰り返した場合、Leg up条件がSupine条件より有意に低値を示した(p< 0.01)。休息2 秒を入れ下腿パンピング運動を繰り返した場合、Leg up 条件がHead up 条件より有意に低値を示した(p< 0.01)。休息4 秒を入れ下腿パンピング運動を繰り返した場合、Leg up 条件がSupine 条件とHead up 条件より有意に低値を示した(p <0.01)。総大腿静脈血流速度の増加量は、全ての運動間隔においてLeg up 条件はHead up 条件、Supine 条件に比べて有意に低値を示した(p<0.05)。【結論】総大腿静脈血流速度には、下腿パンピング運動の間隔の違いでは差は認めず、足部の位置がより強く影響していた。口演 39 早期離床・リハビリテーション② 2月13日(土) 11:00~12:00 第11会場O39-2 大腸穿孔患者の大腰筋断面積と歩行能力との関連1)国立病院機構 名古屋医療センター リハビリテーション科、2)独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター集中治療科、3)金沢大学大学院医薬保健研究域保健学系渡辺 伸一1)、大野 美香2)、森田 恭成2)、鈴木 秀一2)、染矢 富士子3)【目的】本研究では大腸穿孔術後の筋力低下に着目し,腹部CT を用いて腰部主要筋の骨格筋断面積を定量的に評価し,歩行自立との関連性を明らかにすることを目的とした.【方法】調査対象は,外科で大腸穿孔に対して,緊急開腹術を施行し,術後 ICU 管理を行った 63 症例のうち除外基準に相当する 28 例を除いた 35 例に対し,歩行自立群(n= 21)と歩行非自立群(n= 14)の 2群に分類した.患者背景・術前要因,術後経過要因,腰部主要筋の筋断面積の 33 項目に対して比較を行った.さらに,歩行自立と関連する要因を多変量解析にて検証するために,歩行自立の可否を目的変数として,2 群間の比較で有意差を認めた項目を説明変数としたロジスティック回帰分析を行った.【結果】歩行自立群は歩行非自立群と比較して,APACHE2 スコアにて有意に低値であり,血清アルブミンにて有意に高値であった.また,ICU 滞在日数,初回端座位までの日数が歩行自立群で有意に短縮していた.転帰では歩行自立群が有意に自宅退院の割合が多く,転院の割合が少なくなっていた.ロジスティック回帰分析にて歩行自立と関連する要因として抽出された項目は,APACHE2 スコア,転帰,大腰筋面積の 1 日当たりの変化率であった.【まとめ】大腸穿孔患者においては,術後の全身性の筋力低下が起こることを念頭に置いた上で,早期からの離床を目指す必要性が考えられた.また,離床が困難な症例については十分なリスク管理のもとに,ベッド上でも行うことのできる筋力トレーニングを検討する必要性が示唆された.O39-3 生体肝移植術施行患者における周術期の身体運動機能に関する検討1)長崎大学病院リハビリテーション部、2)長崎大学病院集中治療部、3)長崎大学大学院医歯薬学総合研究科移植・消化器外科、4)長崎大学大学院医歯薬学総合研究科内部障害リハビリテーション学花田 匡利1)、及川 真人1,4)、名倉 弘樹1)、関野 元裕2)、東島 潮2)、日高 匡章3)、曽山 明彦3)、江口 晋3)、神津 玲1,4)【目的】生体部分肝移植術(Living-donor Liver Transplantation;LDLT)は,高侵襲手術であり,さらに移植肝(グラフト)の定着に依存するため,術後の回復過程は一様ではない.LDLTでは,術前からの低栄養および肝機能低下に加えて,術後では代謝亢進状態のために骨格筋を中心とした身体運動機能にも多大な影響を及ぼすことが推測される.今回,LDLT 周術期における身体運動機能の経時的変化について検討した.【対象と方法】LDLT患者17 例を対象に,握力,膝伸展筋力および大腿四頭筋筋厚,6分間歩行距離(6MWD),ADLスコア(Barthel Index)を術前および術後1,3ヵ月の時点で評価し,経時的推移を検討した.なお,全対象者で周術期理学療法を実施した。【結果】対象者の平均年齢は56歳.手術時間は768分,出血量は8266ml であった.左葉グラフトが15例(88%)で,標準肝容積比は39%であった.術後1ヵ月において握力,膝伸展筋力,筋厚,6MWDで有意な減少を認めたが,術後3ヵ月では筋厚を除いて,術後1ヶ月値より有意な改善を認めた.また,術後3ヶ月における膝伸展筋力および筋厚は,術前値の約85%まで回復を認めた.ADLスコアは,術前,術後1ヶ月,3ヵ月それぞれの間において有意な変化を認めなかった.【考察】LDLT 患者の身体運動機能は,術後1ヶ月において術前値より低下を認め,術後3ヵ月で回復を示す結果となった.今回の結果から,手術侵襲の影響が大きい術後早期の骨格筋機能を中心とした運動機能の低下予防,加えて運動療法による理学療法の長期フォローアップの必要性が明らかとなった.