ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-459-O33-4 誤嚥性肺炎の治療方針決定におけるプロカルシトニンの有用性1)聖マリアンナ医科大学 救急医学、2)東京ベイ浦安市川医療センター柳井 真知1)、江原 淳2)、藤谷 茂樹1,2)、津久田 純平1)、高松 由佳1)、森澤 健一郎1)、平 泰彦1)【目的】誤嚥性肺炎(肺臓炎)はICU/HCU で頻繁に遭遇する疾患であるが抗菌薬の必要性の判断に迷う場合がある。抗菌薬開始の判断、投与期間決定に対するプロカルシトニン(PCT)の有用性を検討する。 【方法】聖マリアンナ医科大学病院、東京ベイ浦安市川医療センターICU/HCUへ誤嚥性肺炎(肺臓炎)で入院した成人患者を対象とした。入院時または第1病日のPCTが0.25ng/mL 未満の場合は化学性肺炎のみで細菌性肺炎は生じていないと判断し抗菌薬を開始せず、0.25ng/mL 以上の場合は細菌性肺炎の発症と考えて抗菌薬を開始した。以後第4、7、10病日にPCTを測定し、抗菌薬を開始した患者ではPCT0.25ng/mL未満またはピーク値の10%未満への低下、あるいは臨床所見の改善をもって抗菌薬を終了した。【 結果】対象患者は47人(男性27人、女性20人)、年齢77±16歳、肺炎重症度スコアは111.0±30.4であった。喀痰培養からの分離菌は口腔内常在菌が最多(27人、57.4%)であった。35人(25.5%)で入院時または第1病日のPCTが0.25ng/mL以上であり抗菌薬を開始した。抗菌薬投与期間は6.7 ±2.8日で、PCTが0.25ng/mL未満またはピーク値の10%未満で抗菌薬を終了した患者が8人、臨床所見の改善を根拠に抗菌薬を終了した患者が25人、二次感染の合併や転科により抗菌薬が継続された患者が2 人であった。PCT0.25ng/mL 未満またはピーク値の10%未満となるまで全例抗菌薬を継続したと仮定すると投与期間は7.6 ±2.6 日に延長した。 抗菌薬を開始しなかった12 人は全例治癒し14日以内の肺炎での再入院も認めなかった。【結論】PCTを指標とした抗菌薬開始判断により誤嚥性肺炎・肺臓炎に対する不要な抗菌薬投与を減らせる可能性がある。しかしその後連日測定ができない状況でPCTを指標に抗菌薬の中止を行うと抗菌薬投与期間が延長する可能性がある。O33-5 ICU での入院加療が必要であった急性咽頭炎・喉頭炎の検討1)飯塚病院 集中治療部、2)飯塚病院 耳鼻咽喉科生塩 典敬1)、安達 普至1)、鶴 昌太1)、原口 正大2)、上村 弘行2)、臼元 典子1)、鮎川 勝彦1)【背景】咽喉頭の急性炎症性疾患の中でも急性喉頭蓋炎や扁桃周囲膿瘍は、気道緊急となりうる致死的な感染症であり、救急・集中治療領域においても極めて重要な疾患である。血液検査で炎症マーカーであるC 反応性蛋白(CRP)は、以前から感染症のマーカーとして広く使用されており、近年では細菌感染症のマーカーとしてプロカルシトニン(PCT)も多く用いられているが、局所感染症には有用ではないと報告されている。【目的】致死的な局所感染となりうる咽喉頭の急性炎症性疾患のCRP とPCT の有用性について検討することである。【対象と方法】2013 年7月から2015 年8月に、咽喉頭の急性炎症性疾患の診断で当ICUでの入院加療を要した患者10 例に対して、診療録などを用いて後ろ向きに検討を行った。【結果】年齢(中央値)は50.5歳、平均年齢は54歳、男性6 例、女性4 例であった。病名は急性喉頭蓋炎が3例、急性喉頭蓋炎に扁桃周囲膿瘍を併発したのは6例、その他は1例であった。WBC(中央値)は16395/ μ l、CRP(中央値)は18.07mg/dl、PCT(中央値)は0.75ng/ml で、全症例で緊急気管挿管が行われていた。また、急性喉頭蓋炎のみの全3例は重症度分類でGrade2以上であり、CRP≧10mg/dl、PCT≦0.3ng/mlであった。周囲に膿瘍を形成するような急性喉頭蓋炎ではPCT(中央値)0.9ng/ml と軽度上昇を認めた。【結論】緊急気管挿管を要するような致死的な咽喉頭の急性炎症性疾患では、CRP は反応がみられるがPCT はあまり反応せず、PCTは有用なマーカーにはならないと考えられた。今後、症例数を重ねたさらなる研究が必要である。O33-6 意識障害の原因が非ウレアーゼ産生菌の閉塞性尿路感染症による高アンモニア血症であった1 症例公立昭和病院 救命救急センター山口 和将、渡辺 隆明、佐々木 庸郎、小島 直樹、稲川 博司、岡田 保誠意識障害の原因が、非ウレアーゼ産生菌の大腸菌による閉塞性尿路感染症によって高アンモニア血症を生じたことにあった1症例を経験したので報告する。【症例】60歳、男性。既往歴にポリオによる両下肢麻痺があった。嘔気、嘔吐で発症し、その12時間後に辻褄の合わない言動が出現し、救急搬送された。来院時、腹部膨満著明で意識レベルGCSE1V3M5であったが、その3時間後にはGCSE1V1M1となった。頭部CT検査、頭部MRI 検査で異常所見はなく、血液検査で血清アンモニア値は152 μ g/dl と高値であった。腹部膨満の原因精査のために行った腹部CT検査で、膀胱拡張が著明に認められるとともに、膀胱内にストルバイト結石と考えられる高吸収内容が認められた。尿pHは8.0であり、尿のWBC反応は陽性であった。以上より、入院当初はウレアーゼ産生菌による閉塞性尿路感染症による高アンモニア血症を意識障害の原因と考えた。気管挿管、Foleyカテーテルの挿入、輸液、CMZの投与を行った。入院翌日には血清アンモニア値は53μ g/dlと正常範囲に低下し、意識は清明となり、気管チューブの抜管ができた。後日、尿培養からウレアーゼ非産生のE. coliが検出された。【考察】尿閉の患者が意識障害を呈している場合には、高アンモニア血症が原因になっている可能性を念頭に置く必要がある。本症例の尿路感染症の起炎菌は大腸菌であったが、アルカリ性尿ではアンモニウムイオンが脂溶性アンモニアとなり膀胱静脈叢に移行するため、ウレアーゼ産生菌による感染でなくても、尿閉により高アンモニア血症になることが知られており、注意を要する。