ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-457-O32-4 小児cardiac ECMO後の腎予後の検討静岡県立こども病院 循環器集中治療科中野 諭、大崎 真樹、三浦 慎也、濱本 奈央【背景】ECMO患者におけるAKI合併は予後不良のriskとされる、また心疾患術後患者のECMOはAKI合併のhigh riskとされる。そのため当院ではECMO導入後全例においてCHDFによるCRRTを併用している。一方でECMO症例に合併したAKI患者の腎予後に関しての報告は少なく、詳細は不明である。Cardiac ECMO 後の腎予後に関して調査し、検討した。【対象・方法】2010.1.1より2015.6.30までのCardiac ECMO患者の診療録を調査し、後方視的に検討した。検討項目は、ECMO導入要因、ECMO管理期間、ECMO離脱後CRRT使用期間、ECMO 導入24時間後・離脱時尿量、退院時CRRTの有無とした。【結果】期間中49 例にECMO管理を行った(ECPR19 例、人工心肺離脱困難16 例、その他14 例)。39 例(80%)で、ECMO 離脱可能であった。26 例(53%)は生存退院し、10例は院内死亡、3 例は現在入院中であった。ECMO導入24 時間後の尿量の中央値は0.42(0-8.9)ml/k/hであった。ECMO 離脱可能であった39 例の離脱時尿量の中央値は0.6(0-6.9)ml/k/h であった。39 例中32 例(82%)は最終的にCRRT 離脱可能であった。最終的にCRRT 離脱可能であった32 例中16 例(50%)はECMO 離脱時にCRRT(PD のみ11 例、CHDF のみ4 例、CHDF → PD1例)を要し、その使用期間の中央値は0.5 日(0-57 日)であった。ECMO 離脱後CRRT 離脱可能であった32 例とCRRT離脱不可であった7例を比較すると、ECMO管理期間が長く(離脱120 vs 離脱不可276時間 p<0.01)、敗血症合併が多く(離脱2/32 vs 3/7 p <0.05)、単心室患者が多く(離脱26/32 vs 離脱不可7/7 p < 0.01)、離脱時の尿量が少なかった(離脱1.15 vs 離脱不可0.05ml//kg/時 p<0.01)。【考察・結語】Cardiac ECMO患者の腎予後は比較的良好であると推察された。一方、敗血症合併例などで、長期ECMO を要す例や、単心室患者等においてECMOを契機にESRDとなる症例も見られた。こうした症例に対する管理向上が今後の課題である。O32-5 大血管転位症患者における新生児期Arterial switch術後急性腎障害発症riskの検討1)国立循環器病研究センター 小児循環器科、2)国立循環器病研究センター 心臓外科海老島 宏典1)、黒嵜 健一1)、三宅 啓1)、坂口 平馬1)、北野 正尚1)、帆足 孝也2)、鍵崎 康司2)、市川 肇2)、白石 公1)【諸言】新生児症例における人工心肺(CPB)を用いた開心術後の急性腎障害(AKI)発症率に関する報告は少ない。我々は新生児期にArterial switch operation(ASO)を行った大血管転位症(TGA)患者における術後AKI の発生頻度および危険因子に関して検討を行った。【方法】当院で2011 年から2014 年までの4 年間に新生児期にASO を施行したTGA 25 例のうち手術直後からECMO 補助を要した2 例を除いた23 例をAKI network criteriaをもとにAKI群、非AKI群に分類した。またAKI stage II およびIII に達した症例をsevere AKI と定義し、術前、術中、術後の各項目に関して後方視的に検討を行った。【結果】術後AKI は23例中17 例(74%)に認めた。AKI stage 内訳はstage I: 9 例、II: 5 例, III: 3 例であり、8 例(35%)がsevere AKI だった。以下の項目でAKI群、非AKI群間に有意差を認めた。Apgar score5分値(AKI:7.8, 非:9.5, p <0.01)、体重(AKI:2.8kg, 非:3.2kg, p: 0.02)、手術時日齢(AKI:6.2日, 非: 9.0日, p:0.04)、術後mBP(AKI: 55.2 mmHg, 非:66.1mmHg, p:0.01)capillary leak syndrome(CLS)合併頻度(AKI: 94.1%, 非:50%, p: 0.04)。severeAKI 群では上記に加えCPB 時間も有意に長かった。(severe AKI: 270.8 分, 非:190.3 分, p:0.01)。多変量解析では、AKI/非AKI 群では体重・手術日齢・術後mBP に、severe AKI 群では体重・CPB 時間・術後mBPに有意差を認めた。【結語】低体重、手術時日齢、長時間のCPB、術後低血圧はAKIの危険因子となり、AKI 群では高率CLS を合併していた。O32-6 小児循環器集中治療室における心疾患新生児期死亡例の検討1)国立循環器病研究センター病院 小児循環器集中治療室、2)国立循環器病研究センター病院 小児循環器科、3)国立循環器病研究センター病院 小児心臓外科黒嵜 健一1)、海老島 宏典1)、三宅 啓1)、坂口 平馬2)、北野 正尚2)、帆足 孝也3)、鍵崎 康治3)、市川 肇3)、白石 公3)【背景】小児循環器学や胎児心臓病学、心臓外科学の発展により、小児心疾患の治療成績は向上した。より早期から診断治療が行われるようになったが予後不良例も存在する。【目的】新生児期死亡に至った心疾患児の概要と経過を調査検討すること。【方法】2011年から2014 年の4年間に当院小児循環器集中治療室に入室した新生児は372 例、このうち新生児期死亡した14例(3.8%、男児4、女児10)を対象として、診療録より後方視的に調査検討した。【結果】在胎週数は中央値37(範囲31-40)、体重2426(1316-3736)g、アプガースコア1分5(1-8)点、5分7(3-9)点で出生し、入室時日齢は0(0-7)。診断は先天性心奇形13例(機能的単心室9例)、劇症型心筋炎1 例で、合併症は染色体異常4 例、多発奇形2 例、胎児水腫2 例など。胎児診断後の10 例は待機的に院内出生、他の4例は緊急搬送入院。入室後経過について、5例(36%)は愛護的治療のみ希望、胎児水腫2例はドレーン留置とペーシング施行し集中治療、ショック状態で入室した1 例は回復せず、共通肺静脈低形成を伴う右側相同心1 例は手術適応なし、劇症型心筋炎はECMO導入も改善なし、他の4例(29%、純型肺動脈閉鎖を伴う重症大動脈弁狭窄、低出生体重ターナー症候群で卵円孔狭窄と類洞交通がある左心低形成症候群、circular shuntを伴うエプスタイン病、重度肺静脈狭窄合併の右側相同心)にはカテーテル治療/心臓血管外科手術を施行したが、いずれも新生児期の日齢9(0-25)で死亡に至った。【結語】新生児期死亡した心疾患は、重症全身症候群を合併した愛護的治療選択群、現時点では救命不能な疾患群、積極的治療により救命可能性がある疾患群がそれぞれ1/3であった。新たな診断治療技術の発展に期待が期待される。