ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-453-O30-4 院内心停止に対するECPR 施行症例の転帰の検討1)済生会横浜市東部病院 集中治療科、2)済生会横浜市東部病院 臨床工学部星野 哲也1)、大村 和也1)、金尾 邦生1)、木村 慎一1)、相馬 良一2)、森實 雅司2)、高橋 宏行1)【背景】院内心停止症例において通常の心肺蘇生に比較してextracorporeal cardiopulmonary resuscitation(ECPR)が生存率を改善するという報告が散見され、その予後改善効果が期待される。しかし日常臨床ではECPRを実施されても院内心停止症例の転帰は決して良い印象はない。そこで院内心停止に対してECPR が施行された症例の転帰を検討することにした。【方法】2012 年1 月1日から2015年3 月31 日の間に院内発生の心停止に対してECPR を施行し、重症集中治療室に入室した症例を後方視的に検討した。【結果】対象症例は18 例、年齢73 ± 14 歳、男性14 例、女性4 例であった。初期波形はVF/pulslessVT4 例、PEA11 例、Asystole3例で、目撃のある症例は14例であった。心停止からPCPS導入までの時間は24 分(中央値)であった。発生場所は一般病棟6 例、ICU5例、カテーテル室5例、手術室1例、生理検査室1例であった。発生場所別のPCPS導入までの時間(中央値)はカテーテル室17.5分、一般病棟24分、ICU24分であった。28 日生存例は5例(27.8%)で、すべてカテーテル室または手術室での心停止発生症例であった。【考察】心停止からPCPS 導入までの時間はカテーテル室で最も短く、次いで一般病棟とICUであり、比較的速やかにECPR が実施されていた。しかし一般病棟とICU 症例の転帰は不良であった。医療環境の整ったICUで施行されたECPRが転帰の改善に結びつかなかった原因として、原疾患の重症度や併存疾患の存在などが考えられる。【結語】ICUや一般病棟で心停止となった症例にECPRが施行されても、その転帰は不良であった。重症度などの患者背景や急変前の状況などの詳細な検討を行い、転帰不良の原因を探り、院内心停止症例の予後改善を図りたい。O30-5 院内ICUに入室した院内心肺停止患者についての検討1)京都第一赤十字病院 麻酔科、2)京都第一赤十字病院 救急科井上 敬太1)、奥田 裕子2)、藤本 佳久1)、平山 敬浩1)、香村 安健2)、松山 広樹1)、長門 優1)、阪口 雅洋1)、竹上 徹郎2)、平田 学1)【はじめに】入院心肺停止患者では, 数時間前より生理学的変化が出現することが報告されている. 当院では患者急変時のCode blueSystem はあるが院内急変事案に対する十分な検討はされていない.今回我々は, 院内心肺停止後に集中治療室に入室した患者について, 患者背景や生理学的な異常兆候の出現時期について後方視的に調査した.【方法】2014 年4月~2015年3月に院内ICUに緊急入室した院内心肺停止蘇生後患者を抽出し、患者背景, 入室12時間前,6時間前,3時間前,1 時間前の血圧, 脈拍数,SpO2, 意識レベル, 呼吸数を後方視的に検討した.【結果】該当症例は6例であった.平均年齢77.2歳,APACHE 2 score 15.1,平均在室日数 16.1日.入室後30日の生存5例,死亡1例であった. 心肺停止に至った原因は, 術後合併症が2 例, 原因不明が2 例, 処置中やリハビリ中の不整脈によるものが2 例であった。術後合併症による症例では 12 時間前より頻脈, 血圧低下,呼吸数増加, 意識変容を認めていたが,輸液などにより経過観察されていた. 不整脈に起因する心肺停止では明らかな前駆症状を認めなかった. 呼吸数はほぼ全症例で記録がされていなかった.【考察】周術期に生理学的変化を認めていてもその変化が軽微であったり変動したりする場合, 集中治療介入がなされず経過観察された結果,心肺停止状態に至ったものと考えられた. これらの症例に対しては,早期介入により心肺停止を防ぐことができたと思われた. また呼吸数は重症患者における重要なパラメーターにもかかわらずほぼ全例で記載されておらず, 重症患者認識についての教育や集中治療医へのコンサルト環境の構築が必要であると考えられた.O30-6 ドクターヘリで対応した院外心肺停止症例の検討1)徳島県立中央病院救命救急センター、2)徳島県立中央病院外科、3)徳島県立三好病院救急科三村 誠二1)、田根 なつ紀1)、森 勇人1)、川田 篤志2)、大村 健史1)、森下 敦司2)、川下 陽一郎2)、奥村 澄枝3)、住友 正幸3)目的・方法:平成24 年10 月運航範囲を徳島県全域、淡路島全域として徳島県ドクターヘリの運航を開始、平成27 年6 月には出動が1000回を超えた。院外心肺停止症例は、救急救命士の処置拡大などプレホスピタルでの活動により、ドクターヘリが要請されることは少ない。しかし、閉じ込め事例や救助事例、キーワード方式による要請などで心肺停止症例に遭遇することは少なくない。今回、徳島県ドクターヘリで対応した院外心肺停止症例に関して、ドクターヘリ運航記録、予後調査、診療録などから検討した。 結果・考察:就航から平成27年8月中旬までの約2年10ヶ月間で約1050件の出動があり、うち58%が現場出動、42%が転院搬であった。傷病内訳では外傷44%、心大血管系17%、脳血管障害17%、小児4.3%、その他15%であった。蘇生後の転院搬送を除く院外心肺停止症例は43 例4.3%であった。外因性20 例、内因性23 例、医療機関までの搬送は、ヘリ搬送9 例、陸路搬送34 例、救命救急センターへの搬送例は21例であった。ヘリ搬送中は自動胸部圧迫システムを使用していた。予後調査では生存退院例は6例14%であった。ドクターヘリで対応した院外心肺停止症例は、陸路で当院に搬送される症例に比べ外傷の割合が多かった。搬送は直近の医療機関への陸路搬送が多かったが、約半数が救命救急センターに搬送され集学的治療が行われていた。ドクターヘリ活動での心肺停止症例の救命率向上は、早期要請、消防機関との連携、初期治療、医療機関への情報提供、指示オーダーなど、マネージメント等マネージメントも重要である。