ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ページ
452/910

このページは 第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集 の電子ブックに掲載されている452ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-450-O29-1 成人マウスの低酸素症に対する100%酸素蘇生は炎症とアポトーシスを惹起する1)神戸大学医学部附属病院救命救急科、2)西脇市立西脇病院麻酔科西村 与志郎1)、植木 正明2)、安藤 維洋1)、岡田 直己1)、西村 侑翼1)、比森 千博1)、大坪 里織1)、山田 克己1)、前田 祐仁1)、西山 隆1)【目的】現在、新生児の低酸素症に対する蘇生では、空気による蘇生が推奨されているが、成人の低酸素症に対する蘇生はいまだ、100%酸素による蘇生が行われている。今回、成人マウスの低酸素症に対する100%酸素が脳での炎症サイトカイン、アポトーシスに及ぼす影響を検討した。【方法】実験は関連大学動物実験倫理委員会の承認を得て行った。生後8 週齢の雄マウスを特製の低酸素暴露ボックスに入れ、空気(対照)で再酸素化する群と、30分間、8%酸素で曝露する群に分け、その後、30分間、100%酸素で再酸素化する群(100%酸素群)と21%酸素で再酸素化する群(21%酸素群)に分けた。酸素濃度は麻酔ガスモニター(IMI社)で確認した。再酸素化2.5 時間後に脳を取り出し、TNF α(tumor necrosis factor alpha)、5 時間後にIL-1 β(interleukin-1beta)、9 時間後にcaspase-3(アポトーシスの指標)、BDNF (brain-derived neurotrophic factor: 脳由来神経栄養因子)mRNA(N=7)をreal time PCRで測定した。統計学的検討は、一元配置分散分析検定を用いて、p<0.05以下を有意差ありとした。【結果】100%酸素群は、21%酸素群に比べて、脳組織TNF αおよびIL-1β mRNA発現の上昇を引き起こし、caspase-3 mRNA発現も増加させた。しかし、BDNF mRNA発現には両群に差はなかった。【考察】成人マウスの低酸素症に対する蘇生では、100%酸素は21%酸素比べて炎症反応を惹起し、アポトーシスを誘導した。以上より、新生児での蘇生と同様に、成人低酸素時の蘇生時には100%酸素は脳障害を引き起こす可能性が示唆されたので、21%酸素(空気)での蘇生を検討する必要がある。口演 29 心肺蘇生・蘇生後ICU管理① 2月13日(土) 11:00~12:00 第6会場O29-2 出血性ショック時初期輸液の選択が蘇生後肺傷害に与える影響(ラット出血性ショック蘇生モデルを用いて)1)岡山大学大学院 医歯薬総合研究科 麻酔蘇生学、2)香川県立中央病院 麻酔科、3)岡山県立大学 保健福祉学部中村 龍1)、井上 一由2)、清水 裕子1)、谷岡 野人1)、山岡 正和1)、高橋 徹3)、森松 博史1)【背景】出血性ショックに対する輸液蘇生後には、しばしば酸化ストレスによる急性肺傷害を起こすことが知られている。今回我々は、ラット出血性ショック蘇生モデルを用いて初期輸液の選択が蘇生後肺に与える影響について検討した。【方法】出血性ショックは、雄性SD ラットの大腿静脈より脱血し平均血圧30mmHg にて60分間維持した。その後、初期輸液を投与しショック前の血圧を60 分保ち出血性ショック蘇生モデルを作成した。初期輸液製剤として生理食塩水、ヒドロキシエチルデンプン130000(以下HES)を各々5 匹ずつ用いた。これらの2群において、各輸液必要量、血圧・脈拍の変動、血液ガスデータ、ショック蘇生後3時間のHE 染色による肺組織の状態、肺Wet/Dry ratio、肺TNF- α mRNA、肺HMGB-1mRNA 発現量の比較検討を行った。【結果】生食群に比較しHES 群では有意に輸液量が少なかった。(輸液量/ 脱血量:生食群vs HES 群、3.61 ± 0.76 vs 1.29 ± 0.16, p < 0.05)血液ガス検査、組織学的検討において両群間で差は認めなかった。肺Wet/Dry ratioはHES群が有意に低値であった。(肺W/Dratio:生食群vs HES 群、5.26 ± 0.07 vs 5.03 ± 0.09, p < 0.05)肺TNF- α発現量は両群間で差はなかったが、肺HMGB-1mRNA 発現量はHES 群において有意に多かった。(mRNA densitometry:生食群vs HES 群、8.89× 106 ± 0.51× 106 vs 15.7× 106 ± 2.60×106, p<0.05)【結論】蘇生後3時間の時点では、組織学的には両群で差は認められなかったがHMGB-1mRNA発現量はHES群で有意に高かった。初期輸液の選択が蘇生後の肺傷害に影響を与える可能性があると考えられた。O29-3 アムロジピンが出血性ショック後の生存率に及ぼす影響の検討金沢大学附属病院 麻酔科蘇生科山本 剛史、栗田 昭英、谷口 巧背景:Ca拮抗薬であるアムロジピンは高血圧症患者の降圧に広く使用される薬剤である.しかし、アムロジピン内服中に出血性ショックに陥った場合の炎症反応や生存率に及ぼす影響はまだ不明である.今回、動物を用いてアムロジピンの投与が出血性ショックの炎症反応や生存率に及ぼす影響を検討した.方法:SD雄ラット60匹をランダムに3つのグループに分けた.対象群(n=20): 内服なし.低用量群(n=20):アムロジピン(10mg/kg/day)内服× 5 日. 高用量群(n=20):アムロジピン(30mg/kg/day)内服× 5 日の前処置を行った.その後麻酔下に気管切開と大腿動静脈と内頸動脈にカニュレーションを行った.内頸動脈から脱血し収縮期血圧が40mmHg以下の状態を誘発し40 分間維持した後、脱血した血液の半分と同量の乳酸リンゲル液を静脈から返血することで蘇生を行った.蘇生後8時間観察を行い、血行動態、血液ガス分析値、サイトカイン値、生存率に関して比較を行った.統計として群間比較にrepeated measure ANOVA、post hocとしてBonferroni法を用い、生存比較にはKaplan-meier法を用い、有意差p< 0.05とした.結果:8 時間後の生存率はそれぞれ対象群(75%)、低容量群(80%)、高容量群(75%)であり、各群に有意差は認めなかった.血圧、心拍数は対象群で有意に高く維持された.考察・結語: アムロジピンの内服が出血性ショックモデルに及ぼす影響およびメカニズミ関してはさらなる検討を要するが、アムロジピン内服による血圧低下が出血性ショック後の生存率に影響を及ぼさないことが示された。